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雨降らずルピー固まる【フィスコ・コラム】

2023/10/15 9:00 FISCO
*09:00JST 雨降らずルピー固まる【フィスコ・コラム】 インド通貨ルピーの過去最安値圏でのもみ合いが続いています。原油高は一服したものの、米金融引き締め観測で下押し圧力は継続。インフレ高止まりなら来年の総選挙にも影響しかねず、インド中銀は為替介入により一段のルピー安を食い止めているもようです。 インド準備銀行(中銀)は10月6日に開催した定例会合で、主要政策金利のレポレートを6.5%に据え置きました。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めは長期化するとの見方から、ドル高・ルピー安に振れやすい地合いが続いています。それでも8月以降は過去最安値圏の1ドル=83ルピー台で下げ渋り、他の新興国通貨と異なり底堅さが際立っています。 インドの消費者物価指数(CPI)は5月に前年比+4.25%と、中銀目標の4%に一旦は接近したものの、7月には+7.44%に再び加速。直近の9月は低下し中銀の許容範囲+2-6%には収まったものの、なお高水準です。インド国内の今年の降雨量は地域によってばらつきがあり、作物の流通の不安定化は食品価格、ひいてはCPIを押し上げます。中銀もインフレ見通しについて、警戒を緩めていないようです。 一方、モディ首相は来年4-5月に予定される総選挙を念頭に、先手を打ち始めています。モディ氏率いるインド人民党(BJP)は現時点で最大野党のインド国民会議(INC)をリードしており、与党勝利がメーンシナリオ。BJPは企業重視、INCは生活優先の違いがあり、インフレ再燃により総選挙前に景気減速に陥れば、野党がラフル・ガンジー氏を次期首相候補として巻き返すシナリオも考えられます。 モディ氏は自身の3期目入りを確実にするための活動を加速させています。国内物価が不安定化するなか、モディ政権は白米の禁輸、一部野菜の輸出関税導入、政府在庫の放出、近隣諸国からの緊急輸入などで国内供給を優先し、インフレ安定化に注力しています。ただ、ルピー安を食い止めなければインフレ再加速や経常赤字拡大で、さらにルピー安を招いてしまうリスクがあります。 中銀はモディ氏のインフレ抑制と景気回復に向けた取り組みに呼応し、夏場以降に為替介入でルピー安を抑制。主要な輸入品目である原油は相場が落ち着きつつあるとはいえ不安定で、経常赤字拡大も警戒されます。インドの場合、利上げが必ずしも思惑通りの通貨高につながらず、むしろ今後の減速に先回りした利下げが一部で期待されます。外貨準備高も潤沢とみられるため、ルピーは低位安定が見込まれます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《TY》