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上げ渋るユーロ・ドル相場【フィスコ・コラム】
2023/4/23 9:00
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*09:00JST 上げ渋るユーロ・ドル相場【フィスコ・コラム】 ユーロ・ドル相場が約1年ぶりの高値圏に浮上も、心理的節目の1.10ドル付近でもたついています。年内の米利下げ観測によりドル安に振れれば、ユーロは同水準で定着の見通し。ただ、欧州中央銀行(ECB)の利上げ余地は縮小し、上値の重さが目立ちます。 2023年のユーロ・ドルは主にECB当局者のタカ派的な見解とドルの弱含みで緩やかに押し上げられ、2月初旬に1.10ドルをワンタッチ。その後、ユーロの利益確定売りに押されて失速したほか、米中堅行の倒産でリスクオフのドル買いに下押しされます。クレディ・スイスの経営破たんを受け、域内金融機関への連鎖を懸念したユーロ売りが優勢となり、一時1.05ドル付近に下げました。 4月に入ってユーロは上昇基調に転じ、昨年4月以来1年ぶりの高値となる1.107ドル台に一時浮上したものの、1.10ドル台の定着に失敗。それでも底堅さが目立つのは、債券市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ観測が広がり始め、ドル売りに振れやすい地合いが継続しているためです。一方、ECB当局者は5月4日の理事会に向け、0.50ポイントの大幅利上げ維持の可能性に言及し、ユーロをサポート。 FRBの政策についてはインフレ沈静化や米国経済の減速懸念で、今後も利下げ観測によるドル売り圧力がユーロを支える要因となりそうです。ユーロの先行きに関しては、金融不安は払しょくされていないものの、過度な警戒感が和らいだことで強い売り圧力は後退。そうした中、域内ではインフレ鈍化の見通しと基調インフレ率鈍化の進行、金融政策の効果、の3条件を満たしているかが焦点になります。 ユーロ圏はインフレ沈静化により、実体経済への悪影響は弱まりつつあります。ドイツのプラス成長見通しは好材料と言えるでしょう。ただ、経済指標をみると、ユーロがさらに水準を切り上げられるようには思えません。例えば消費者信頼感指数は昨年9月の最悪期からは改善したものの、大幅なマイナス。4月28日の1-3月期域内総生産(GDP)が前回を下回れば、回復一服感からユーロ売りが見込まれます。 一方、主要産油国の減産を受け、NY原油先物(WTI)は1バレル=80ドル付近と高値圏での推移が続いています。原油相場が堅調ならインフレも高止まり、ユーロ圏経済にとっての好材料にはなりにくいでしょう。昨年は1ユーロ=1ドルの等価(パリティ)を割り込む場面もありました。足元はそんな状況を脱したとはいえ、本格回復には至っていません。今後大台に定着しても、一段の上昇は抑制されるとみます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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