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豪ドル支える新政権、「反中」姿勢はマイナス要因か【フィスコ・コラム】
2022/6/19 9:00
FISCO
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*09:00JST 豪ドル支える新政権、「反中」姿勢はマイナス要因か【フィスコ・コラム】 オーストラリアがインフレ高進を背景に金融引き締めを加速させ、豪ドルは新たな上昇局面に入りました。足元はドルに翻ろうされていますが、目先は底堅い値動きが予想されます。総選挙で発足した新政権の政策運営が、豪ドル高を後押ししそうです。 米連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め加速への思惑から、足元のドルはほぼ全面高。しかし、主要通貨が全般的に対ドルで弱含み基調を強めているなか、豪ドルの底堅さが目立ちます。豪ドル・ドルは節目の0.70ドルを割り込んでも、同水準に戻す場面がみられます。ポンドやユーロに対しては数年来の高値圏で推移し、主に欧州通貨に対して買いが入りやすい地合いです。 コロナ禍やウクライナ戦争を背景としたインフレ高進を抑止しようと、豪準備銀行(中銀)が引き締め姿勢を強めているのが豪ドル高の主因です。今年1-3月期の消費者物価指数(CPI)は前年比+5.1%と、伸びは前期を上回り2001年以来の高水準に達しました。これを受け、中銀は5月に11年超ぶりに政策金利を引き上げ、6月には利上げ幅を拡大して引き締めを加速させています。 雇用関連統計では、失業率が3.9%と歴史的な低水準を記録し、労働市場の引き締まりで賃金は今後も上昇が予想されます。インフレ圧力の継続で中銀はさらにタカ派姿勢を強めることが見込まれます。一方、5月21日の総選挙で発足したアルバニージー政権の政策運営も、豪ドル高の支援材料となるでしょう。労働党が公約として掲げてきた最低賃金の引き上げが成立すれば物価を一段押し上げる要因になります。 現時点での市場シナリオは、年末までに政策金利は2.6%付近に達する見通し。中銀がハト派からタカ派に転じたことで一気に豪ドル選好地合いに傾き、それが欧州通貨よりも強い理由になっているのかもしれません。金融引き締めに関してはFRBの後塵を拝していましたが、このペースの回復と引き締めならオーストラリアの政策金利は年末時点でアメリカに追いつく可能性もあります。 一方、豪ドルにとってマイナス要因となるのは、今後の対中関係でしょう。両国関係は2010年代前半には、経済面での戦略的パートナーとして良好でした。その後は中国の太平洋での軍事行動や対豪不動産投資などが問題視されはじめ、コロナ発生源をめぐり決定的に悪化。新政権発足後、2年ぶりに開かれた中国との外相会談では、貿易や外交で安易に妥協しないスタンスを強調しています。 アルバニージー首相が所属する労働党は、選挙戦で従来の親中路線を封印して9年ぶりの政権交代を実現しました。馬脚を表せば国内世論はたちまち政権批判に燃え上がるとみられ、不安定な政治が豪ドルの重石になりかねません。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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