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新型ウイルスでドル円はどうなる?【フィスコ・コラム】
2020/2/9 9:59
FISCO
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*09:59JST 新型ウイルスでドル円はどうなる?【フィスコ・コラム】 中国で発生した新型コロナウイルスの被害が広がりをみせています。外為市場は足元で円安方向に進んでいますが、被害状況を考えれば本来は円買いです。これから年度末に向け、ドル・円は米国の金融政策とも関連し合いどのような値動きになるでしょうか。 2020年の年明け以降、米中貿易協議の正式合意や中東情勢の緊張緩和を受け、市場の関心は主要中銀の金融政策に向かいつつありましたが、新たなテーマが浮上しています。新型コロナウイルスの感染被害は急速に拡大し、世界保健機構(WHO)は「非常事態」と認定。中国を中心に国際的な渡航や貿易を制限する動きが出始め、現時点で中国経済に6兆円規模の打撃と試算されています。 足元では中国やイギリスの研究チームがワクチンを開発中と報じられ、この問題の早期収束への期待から円売りが強まり、市場は持ち直しているようにみえます。しかし、今後中国や貿易相手国の経済指標に被害の大きさが反映されれば、リスクオンのムードは後退してしまうでしょう。やはり大きくみると国際金融市場は株売り・債券買い・安全通貨買いの状況と言えそうです。 といっても、1月下旬のリスクオフ相場を追っていた際に、それほど急激にドル安・円高に振れているようにも感じられませんでした。ドルは安全通貨として買われており、対円での下落ペースが緩慢なためです。中国経済に影響を受ける豪ドルやNZドルなどオセアニア通貨に対して買われたことにより、ドル・円の下押し圧力は抑えられたとみられます。 有事になるとドルには安全通貨としての買いが入りやすい、といった特徴が顕著になります。米中貿易戦争の最盛期でもみられたように、米国株の急落などのリスクオフ局面でドル売りに振れても、その後は買い戻しが期待できます。2月3日にISM製造業景気指数が半年ぶりに50を上回り、市場はアメリカ経済についてさらに拡大すると改めて見直す機運が高まっているのもドルの下げにくい要因です。 焦点は3月17-18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)です。政策金利は据え置きの公算ですが、新型ウイルスの感染状況はさらに拡大するとみられ、トランプ政権からの今後の利下げ圧力は避けられそうになく、連邦準備理事会(FRB)は目先の追加利下げに向け地ならしする可能性もあります。その際にはアメリカの長期金利低下を背景にドル売りが見込まれます。 半面、年度末には様々な需給が発生するためドル売り一辺倒の地合いも想定できません。また、企業業績の下振れ懸念で世界的に株安は進むかもしれませんが、このところ為替と株価の相関性は低下しています。また、ユーロ圏は域内経済の回復の遅れが鮮明で、オセアニア通貨同様に欧州通貨も買いづらいでしょう。つまりドルと円では円買いに押されるものの、弱い通貨がドルを下支えしそうです。 もちろん、今後の中国以外での感染者急増やウイルス問題をきっかけとした米中貿易戦争への懸念再燃など、状況次第でシナリオは変わります。ただ、3月末に向け、ドル・円の下げはそれほど大きくないとみます。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》
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