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向こう5年半は様子見か【フィスコ・コラム】

2019/7/7 7:30 FISCO
*07:30JST 向こう5年半は様子見か【フィスコ・コラム】 アメリカのトランプ大統領が就任してから2年半。ロシア疑惑で今にも失職するかのような報道とは裏腹に、高確率で再選を狙うところまできました。想定以上の破天荒ぶりに市場は自粛ぎみで、2期8年の任期ならあと5年半は様子見ムードが続きそうです。 日本初開催となった6月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)は、話題満載の「エンタメ外交」の場となりました。主役はもちろん、あの御仁。特にロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、そして中国の習近平国家主席との首脳会談が注目されました。同盟国の不人気なリーダーより、非同盟国の「国王」のような指導者とのパフォーマンスが市場を動かしたようです。 例えば、プーチン大統領との会談前、アメリカ人記者がロシア疑惑を念頭に「プーチン氏には選挙に介入しないように求めるか」と怒気を含んだ質問をぶつけたのに対し、トランプ氏は「介入しないでくれとお願いする」と冗談めかして答えました。その対応にメディアは、やはりプーチン氏と通じていたと大騒ぎ。ただ、来年の大統領選ですでに再選を決めたかのようなトランプ氏の余裕は、アメリカ政治の安定を印象づけました。 一方、エルドアン氏との会談では、ロシア製ミサイル「S400」導入に懸念を示したものの、同氏を「マイ・フレンド」と呼びアメリカによる「敵対者に対する制裁措置法」に基づく経済制裁への言及は避けたようです。制裁発動の場合はトルコ経済の混迷につながるとの思惑から大きなリラ売り要因とみられていました。不透明感はなお残るものの、リラ・円は7月1日の取引で2.5%も値を切り上げました。 最大の焦点となった習氏との会談では、今後も通商協議を継続していくことで一致。さらに、中国への制裁「第4弾」の発動延期だけでなく、中国の通信機器大手ファーウェイに対する米政府の禁輸措置の見直しのお土産付きでした。翌日には韓国を訪れた足でそのまま朝鮮半島の南北軍事境界線を越え、金正恩朝鮮労働党委員長に面会するというサプライズも。非核化プロセスとの見方から、円売りを誘いました。 しかし、金融市場にネガティブな材料はみられなかったにもかかわらず、サミット明けの取引でリスク許容度の上昇に伴う円売りは小幅にとどまります。その理由は、米中首脳会談で協議の決裂は回避されたものの、5月初旬のようにトランプ氏がまた急に中国に対し制裁を発動する事態を警戒しているためです。要するに、何をしでかすかわからないので、積極的な売り買いは手控えざるを得ない状況と言えます。 足元ではイランの宗教指導者への制裁や日米安保条約への懐疑的な見解など、トランプ氏は「常識」を破壊し続けています。連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力もその1つです。トランプ氏就任以降、ドル・円の値幅が狭まるのは、そうした背景もあります。早いもので、次のアメリカ大統領選まであと1年あまり。民主党の体たらくをみると再選は現時点でほぼ確実な情勢で、市場の様子見ムードはまだまだ続くでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》