マーケット
11/26 15:15
38,442.00
-338.14
44,860.31
+123.74
暗号資産
FISCO BTC Index
11/27 15:38:51
14,228,675
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

ドル円は鬼門の年度末に【フィスコ・コラム】

2019/3/3 9:00 FISCO
*09:00JST ドル円は鬼門の年度末に【フィスコ・コラム】 重要イベントが目白押しの3月を迎え、ドル・円はどのような値動きをみせるでしょうか。年明け直後の急落を除き緩やかな上昇基調が続き、足元は年初来高値の水準に回復。ただ、今後の日米貿易交渉を考えると、年度末に向け失速は避けられないでしょう。 2月27-28日に開かれた2回目の米朝首脳会談は、拍子抜けの印象を否めません。非核化や経済制裁解除などで合意に達した案件はなく、先行き不透明感だけを残して会談を終えました。焦点の1つとなっていた朝鮮戦争終結宣言も、今回は見送り。在韓米軍が撤退すれば日本の安全保障が脅かされかねず長期円高の観測もありましたが、米朝の決裂は日本にとってひとまず朗報となりました。 3月に入り、中国の全人代(5-20日)で示される景気対策に期待が高まれば、リスク回避の円買いは後退しそうです。注目は2019年の成長率目標。国際通貨基金(IMF)は+6.2%と、28年ぶりの低水準となった2018年の+6.6%と比べればかなり見劣りする内容です。前年並みでなければ貿易関係の深いオーストラリアやニュージーランドの下振れ観測につながり、オセアニア通貨は下落方向に向かうでしょう。 また、欧州中銀(ECB)理事会(7日)では新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)に関し議論される方向で、金融緩和継続を受けたユーロ売りが先行しそうです。ブレグジットに関しては、議会採決を受けた政府方針の決定(12-13日)でポンドは買いづらいでしょう。延期の囁かれるなか、2回目の国民投票の実施を労働党が主張しており、解散・総選挙の思惑が広がりそうです。 欧州通貨売りとなれば、ドル・円の押し上げが見込まれます。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が19-20日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)では、すでに利上げ見送りの公算。2月26-27日に開かれた議会証言で、パウエル議長は経済指標について低調ながらも全般的に堅調になるとしたほか、賃金の伸びに関しても強気な姿勢も示しています。ただ、全般的にはハト派寄りで、ドル売りを誘発しました。 一方、最大の焦点である米中通商協議は、長期戦に入りそうです。ライトハイザー通商代表部(USTR)代表が米下院の公聴会で中国の追加購入だけでは米中合意に不十分と発言したことを受け、いったん株安・ドル安に振れた後、安全通貨のドル買いでドル・円は上昇方向となりました。この見方は両国の交渉が合意に達するまで続く可能性があり、ドルを押し上げる要因となりそうです。 しかし、それで終わりではありません。ライトハイザー代表の頭の中では、ターゲットが中国から日本に変わりつつあるようです。今後、日本などを念頭に通貨の切り下げを制限する為替条項を議題とする意向を示しており、日本はヘビににらまれたカエルの状態で、外為市場では円先高観が広がり始めました。トランプ政権になって3度目の年度末を迎えますが、過去2回と同様に今回も鬼門の3月となりそうです。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》