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【フィスコ・コラム】巨大地震に揺れるメキシコペソ

2017/10/1 7:00 FISCO
*07:00JST 【フィスコ・コラム】巨大地震に揺れるメキシコペソ メキシコでは9月に入って大きな地震が頻発しており、経済への影響が懸念されています。今年1月以降、通貨ペソは回復傾向が続いていましたが、足元では弱含む展開です。来年の大統領選に向け政局の流動化も見込まれ、ペソは先行きが読めない状況になってきました。 現地時間9月7日深夜にメキシコ南部でマグニチュード(M)8.2の巨大地震が発生したのをはじめ、19日に中部でM7.1、23日には再び南部でM6.1の大きな揺れが観測され、これまで計500人以上の犠牲者が出ています。特に、7日の地震は、過去最大といわれた1985年9月のメキシコ地震の規模を越えるものでした。現時点では金融市場で通貨、株、債券とも目立った変調はないものの、被害状況から経済への影響の大きさが明らかになるにつれ、金融市場の動きは不安定化する可能性があります。 9月のペソの値動きをみると、7日の地震発生後は1ドル=17.85ペソ付近でもみあい後、8日に欧州中銀(ECB)が資産買入れプログラム縮小を10月にも判断するとの見通しからユーロ買いが強まった影響でドル全面安となりました。ペソ売りは限定的でしたが、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が19-20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利正常化の方針を堅持したため年内の追加利上げ観測からドル買いに振れ、足元はドル高・ペソ安方向で推移しています。 振り返ってみると、アメリカのトランプ大統領がメキシコ国境付近の「壁」建設など、メキシコとの関係を修正するとの懸念を背景に、ペソは昨年から今年1月にかけて下方圧力がかかりました。1月中旬にはアメリカの対メキシコ通商・移民政策の不透明感から過去最安値となる22ペソ付近まで値を切り下げています。ただ、メキシコ中銀が金融緩和や為替介入で機動的に対応した結果、ペソは反転。7月には17.40ペソと、昨年5月以来、およそ1年2カ月ぶりの水準に戻しました。 また、低支持率のペニャニエト大統領が所属する与党・制度的革命党(PRI)が今年6月、メキシコ州知事選などを含む地方選で野党を押さえ、政治リスクがいったん収束したことも、ペソ回復の主要な要因です。PRIは1929年から2000年まで、実に71年間も与党として君臨した中道左派の国民的な政党です。汚職などへの批判が強まっていったん右派の国民行動党(PAN)に政権を奪われたものの、2012年に与党に返り咲きました。 しかし、今回の度重なる巨大地震の発生で、政府の震災の対応に不満が高まっているもようで、政治リスクの再燃からペソの先行きに不透明感が広がりそうです。地元紙の世論調査によると、ペニャニエト大統領の支持率は今回の地震で35%に回復しました。国難の時に指導者の支持率が急上昇することを割り引くと、来年の大統領選で再選を目指すにはかなり低いレベルです。殺人など凶悪事件の激増や北米自由貿易協定(NAFTA)後の経済への不安も根強く、大統領の支持率を押し上げる材料は見当たりません。 「吉池 威」 《MT》