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【フィスコ・コラム】リオ五輪後のブラジルレアル

2016/8/7 12:43 FISCO
*12:43JST 【フィスコ・コラム】リオ五輪後のブラジルレアル 現職大統領の弾劾や市の財政破たん、ジカ熱問題、強盗事件の多発・・・。リオデジャネイロ・オリンピックの開幕を迎えていますが、これほど国内の混乱が顕在化する国での五輪開催は珍しいのではないでしょうか。無事に閉幕までたどり着いたとしても、今後のブラジル経済には不安が高まっています。特に、ブラジルレアルは史上最安値を経て1年ぶりの水準まで値を上げていますが、通貨安に逆戻りする可能性があります。 一般的に、オリンピックはチケット購入や滞在費などが現地通貨建てなので、開催国の通貨の需要は高まります。2012年のロンドン・オリンピック開催時期のポンド(対ドル)は、5月に年初来高値を付けた後の約1カ月間で年初来安値付近まで7%近く下落。大会期間中は安値圏でもみあった後、閉幕してからは9月にかけて年初来高値付近まで切り返しました。もちろん、オリンピック関連の通貨の需給は貿易収支の一部にすぎず、またその時々の世界経済情勢や原油価格などにも影響を受けるので、必ずしも開催国の通貨が上昇するとは限りません。 ただ、経済効果にして数兆円規模の国際的イベントを、投機筋が見逃すはずはありません。需給を見越して値を吊り上げたり押し下げたり、また大会終了後の反発や反落を先取りしているような値動きがみられます。2008年の北京大会は別としても、例えば、同じスポーツ・イベントであるサッカーのワールドカップなどをみると、2010年の南アフリカ大会でのランド、2014年のブラジル大会でのレアルでも、イベント開催が通貨の上昇または下落の転換のきっかけになっているフシがあります。 最近のブラジルレアルはといえば、財政悪化やインフレの加速に伴う金融引き締めを背景とした経済減速に政治的混迷や資源安が加わり、2015年9月には史上最安値を更新し1ドル=4.24レアル台まで下落。今年5月以降は、ルセフ大統領の弾劾に伴う政権交代と新政権による経済政策が好感されレアルは反発しており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期の後ずれも手伝って、足元では3.23レアル台と約1年ぶりの水準に戻しています。英国の欧州連合(EU)離脱の影響は軽微のようです。 オリンピックのような国際的なイベントが開催国通貨の値動きの転換点だとすれば、リオデジャネイロ・オリンピックがレアル下落へのタイミングになる可能性はあります。冒頭に述べたようなネガティブな問題が材料視されても不思議ではないでしょう。現在はレアル安を修正する局面ですが、五輪閉幕後に再びレアル安に戻った場合、それを抑止するポジティブな要因が見当たりません。 このため、ただでさえ弱い内需はさらに落ち込み、国内総生産(GDP)を押し下げてしまう可能性があります。オリンピックというGDPの押し上げ材料は、残念ながら効果は限定的とみられます。また、資源国でもあるブラジルにとって需給の引き締まりが困難でなかなか本格的な上昇トレンドに向かわない原油価格、さらにはテメル政権の支持率低迷による政治情勢の不透明感は、さらに国内経済を圧迫するでしょう。 (吉池 威) 《MT》