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米国株式市場見通し:iPhone予約状況に関心、利上げタイミングも注視

2014/9/13 15:29 FISCO
*15:29JST 米国株式市場見通し:iPhone予約状況に関心、利上げタイミングも注視 週初は日本の4−6月期GDP下方修正やスコットランド独立を巡る不透明感で、対円やポンドでドル高が進行したことが嫌気された。また連銀が米大手行への資本規制を一段と強化するとの観測や、アップルの新製品発表イベントを受けて材料出尽くしとの見方から売りが広がった。しかし週半ばになるとゴールドマン・サックスなどがアップルの目標株価を引き上げたほか、決済サービスを発表したことでビザやマスターカードなど、決済ネットワーク各社が堅調推移となった。また弱気派として知られたウェルズ・ファーゴのストラテジストが強気に転じた事も注目を集めた。週後半になると僅かながら週間新規失業保険申請数が予想以上に増加したほか、オバマ大統領が「イスラム国」への空爆拡大や、対ロシア制裁の強化を発表したことで地政学リスクに対する警戒感も強まり上値の重い展開となった。またドラギECB総裁や黒田日銀総裁の発言を受け、ドル高傾向が続いていることも嫌気された。週末にかけてはアップルのiPhone 6の予約状況が想定以上との見方が好感される一方で、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとの思惑から、一旦手仕舞う動きも広がり、引き続き上値の重い展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は下落した。 ポータルサイトのヤフーは、アリババ・グループの23%を保有しており、同社の公募価格レンジが投資家の予想を上回ったことで上昇。航空機のボーイングはライアン航空から旅客機の大量受注を受けて堅調推移となった。アップルは新型iPhoneなどの新製品発表と好調な予約状況を背景に上昇。ヨガ用アパレルのルルレモン・アスレティカは予想を上回る決算と業績見通しを引き上げたことで買われた。一方でアップルが決済サービスに参入したことでネットオークションのイーベイは傘下のペイパル事業の業績悪化懸念で下落。ファストフードのマクドナルドは8月の既存点売上高が中国の期限切れ肉問題などの影響で大幅に落ち込んだことから軟調推移となった。 週初はアップルのiPhone 6及びiPhone 6 plusの予約開始後3日間の予約状況に注目が集まりそうだ。iPhone 6 plusは12日時点で既に数週間待ちの状態となっているほか、AT&Tワイヤレスの幹部も昨年を大きく上回る凄まじい需要とコメントしている。初週の予約状況によって、iPhone販売で恩恵を受ける通信キャリア各社や部品メーカー、そして決済ネットワーク企業などが物色される可能性がある。また、アップルは販売台数の伸びに加えて、以下2つの要因で平均販売価格が高まることが予想される為、業績拡大への期待が高まりそうだ。第一に画面サイズ5.5インチのiPhone 6 plusを100ドル高い価格帯にラインナップしたこと。第二にストレージ容量を従来の16・32・64GBの構成から、16・64・128GBへと変更したことだ。これによって、ストレージ容量の大きいモデルや、iPhone 6 plusを選択するユーザーが増えることが想定される為、10−12月期の平均販売価格は700ドル前後まで高まることになるだろう。そして、一部の観測報道ではアップルは年内に7000−8000万台のiPhone製造を計画しており、10−12月期の業績が過去最高となることはまず間違いなさそうだ。 中国の電子商取引大手のアリババ・グループが新規株式上場を目指しており、18日に最終的な公募価格を設定し、19日を取引初日とする予定だ。既に仮条件の上限(66ドル)でも十分な需要があった模様で、公募価格が引き上げられる可能性が高い。アリババ・グループの株式を保有するヤフーや、日本のソフトバンクにも注目が集まるだろう。 16~17日にかけてはFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されている。連銀は次回10月の会合で量的緩和を終了する方針を示しており、投資家の間では利上げのタイミングが最大の関心事項となっている。声明文の文言が変更される可能性が高く、また会合後にイエレンFRB議長の会見も予定されており、結果を見極めるまでは積極的な売買を手控える動きが強まりそうだ。 経済指標では8月鉱工業生産設備稼働率(15日)、8月生産者物価(16日)、9月NAHB住宅市場指数(17日)、8月住宅着工件数(18日)などの発表が予定されている。また18日にはスコットランドで英国からの独立の是非を問う住民投票が実施される予定。現時点では可能性は低いと考えられるものの、独立が支持された場合には米国株式市場も不透明感から動揺することになるだろう。 《TN》