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米国株式市場見通し:地政学リスク続く、小売決算に警戒

2014/8/16 17:11 FISCO
*17:11JST 米国株式市場見通し:地政学リスク続く、小売決算に警戒 週初はウクライナ国境付近でのロシアの軍事演習が終了したことが引き続き好感され、欧州株式相場が全面高となった流れを受け買いが先行した。半面、ブレント原油価格が約13カ月ぶりの安値水準となったことでエネルギー関連銘柄には売りが広がった。週半ばになると7月小売売上高が予想を下回ったものの、個人消費の弱含みは連銀の早期利上げ観測の後退につながるとの見方から相場の支援材料となり、ダウ平均株価は年初来で上昇に転じた。週後半になると4-6月期ユーロ圏GDPが横這いとなり、欧州中銀が追加緩和に踏み切るとの思惑から欧州株式相場が上昇。ウクライナ情勢が比較的落ち着いていることも好感されて米国株式相場も堅調推移となった。しかしながら、15日になってウクライナ軍が自国領内に侵入したロシア部隊の武装車両に攻撃を加えたとの報道を受けて失速するなど、地政学的リスクが上値を抑える展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇した。 エネルギー大手のキンダーモーガンは総額44億ドルでオイル・ガスパイプラインなどの関連企業4社を買収統合する方針を明らかにして上昇。旅行予約サイトのプライスラインは好決算を発表して堅調推移となった。著名投資家バフェット氏率いる保険・投資会社のバークシャー・ハサウェイは、決算発表後に高値更新が続き株価が初めて20万ドルの節目を突破した。一方でアパレルやハンドバッグのケート・スペードは予想を上回る決算を発表したものの、利益率の低下が嫌気されて急落。ソーシャルゲームのキングデジタルは決算で売上高が予想を下回ったことで大幅下落となった。 小康状態と思われたウクライナ情勢は、先週15日にウクライナ軍がロシア部隊の武装車両に攻撃を加えたことが明らかとなったことで一転、米国株式相場もこれを嫌気して下落した。9月1日のレイバーデーまで夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多いため全般的に出来高が低調となる中で、ウクライナなど地政学リスクの動向に株価は敏感に反応する状況が続きそうだ。 個別企業ではアパレルのアーバン・アウトフィッターズ(18日)やギャップ(21日)、ディスカウントストアのTJX(19日)やターゲット(20日)、ダラーツリー(21日)、ホームセンターのホームデポ(19日)やロウズ(20日)など引き続き小売各社の決算が多数予定されている。先週、小売最大手のウォルマートが業績見通しを引き下げるなど、小売企業に冴えない決算発表が相次いだ。またケート・スペードやJCペニーなどのように、足元の決算内容が予想を上回った場合であっても、利益率や業績見通しが嫌気される例も散見されている。 小売以外では、PCメーカーのヒューレット・パッカード(20日)や、企業向けソフトウェアのセールスフォース・ドットコム(21日)の決算発表が予定されている。Windows XPのサポート切れに伴う買い替えを背景としたPC需要が継続しており、ヒューレット・パッカードは好決算が期待されている。特に年末にかけてのPC需要の見通しに注目が集まるだろう。 経済指標では8月住宅市場指数(18日)、7月住宅着工件数(19日)、7月中古住宅販売(21日)など住宅関連指標で改善が確認できるかが注目。先週発表された7月小売売上高が横這いとなるなど、個人消費の弱含みの背景には住宅市場の回復が頭打ちになっていることを指摘する見方も少なくない。 その他、7月消費者物価指数(19日)、8月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(21日)、7月CB景気先行指数などの発表も予定されている。また21日から23日にかけて、ジャクソンホールで金融・経済シンポジウムが開催される。イエレンFRB議長は22日に、労働市場をテーマとした講演を行う予定だ。金融政策に直接言及する可能性は低いものの、雇用情勢や労働市場への発言から利上げのタイミングを探ることになるだろう。 《TN》