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感染者急増するロシアはコロナ対中包囲網にどう対応するか_モスクワ便り(2)【中国問題グローバル研究所】
2020/5/20 15:41
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*15:41JST 感染者急増するロシアはコロナ対中包囲網にどう対応するか_モスクワ便り(2)【中国問題グローバル研究所】 【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。 ◇以下、遠藤 誉所長の考察「感染者急増するロシアはコロナ対中包囲網にどう対応するか_モスクワ便り(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。 ——— 未曽有の被害を人類にもたらしているコロナ災禍に対して西側諸国は、中国に賠償を求めるべく対中包囲網を強化している。蜜月の中露はどう対応するかを、プーチン側近とも接触のある「モスクワの友人」に聞いた。 ◆「モスクワの友人」を取材:感染者が急増しているロシアはどう対応するか? 遠藤:コロナは全人類に未曽有の災禍をもたらし、ロシアも最近では感染者が急増していますが、さすがに蜜月関係にあるプーチンも習近平を恨み、西側諸国が起こしている訴訟の輪に加わるという動きはありませんか?それとも原油安が進む中、石油を買ってくれる国として蜜月関係は崩れませんか?ここが崩れるとアフターコロナのパワーバランスに影響を与えると思うのですが…。 「モスクワの友人」:そもそもロシアという国や国民性が、慰謝料、補償料を求める文化に乏しいことに加えて、両国トップの関係が非常に良いという背景もあり、欧米のような動きにはなっておりません。 もちろん、中国から多額の補償を他国が獲得という事態にでもなれば、悪乗りしてくる可能性はあると思いますが、中国が欧米と対立することはロシアにとっては仲間が増える良い話なので経済的メリットよりも政治外交的なメリットを狙う国でもあるので、こちらで利用するのだろうと思います。 中露離間の計を図るならば、強い中国を叩くのではなく、経済力も弱く、本音では中国よりも 米国および欧州との関係改善を図りたいロシアを取り込む方が外交的には正しいと思うのですが、チャーチルのような冷徹な外交戦略を行う人間はいないようです。 石油価格の暴落は、エネルギーを大量消費してくれる中国の存在が、否が応でも更に重要となっており国民感情のずれはあっても中国との対立を見せることは当面ないと思います。トランプはロシアとの関係強化には動く可能性はあるのですが、大統領選までは無理でしょうし、バイデンが勝ってしまうとロシアとの対立は更に強くなり、中露結束は更に強まりそうな気がしております。 ◆なぜバイデンが勝ってしまう米露対立はさらに悪化するのか? 「モスクワの友人」の回答で、「バイデンが勝ってしまうとロシアとの対立は更に強くなり、中露結束は更に強まりそうな気がしております」というのが気になった。そこでさらに質問をした。 遠藤:なぜバイデンが勝ってしまうと米露対立はさらに悪化するとお考えですか? 「モスクワの友人」:小生の意見を以下述べます。バイデン氏は、米露関係を悪化させたオバマ政権の下で対露、ウクライナ政策を担当しており、アンチ・ロシア、アンチ・プーチンであることは明らかです。加えて彼をバックアップする民主党は、口先、綺麗ごとだけを述べる政治家達で、この手の手合いはリアル政治、取引を好むプーチン政権やロシアの考え方と調和しません。 ヒラリー敗戦の原因をほとんどありもしないロシア疑惑に求めたり、ウクライナ疑惑でトランプを弾劾したりと、民主党関係者は、ロシアは兎に角敵で、これを大転回することはまずないだろうと思うのです。 歴史的にも、米露デタントが出来たのはニクソン、レーガン、ブッシュと強い共和党大統領の時代であり、酷かったのはカーター、オバマの時代で、きれい事だけを述べる政治家を軽蔑する文化がロシア人にはあるように思います。 プーチン大統領の性格抜きには、外交も語れない部分はあり、彼が好きなのは「強いマッチョかワル」、「国家指導者として清濁併せ飲むことができる人物」だと思うので、スリーピージョー(筆者注:ジョー・バイデン)では話もあまりしたくなくなるのではないかと思うのです。習近平氏は、どんな方なのか分かりませんが、強い指導者であり、単なる善人などいうことは絶対ないと思うので、二人の間でどんな会話が交わされているのか興味のあるところではあります。 インタビューは概ね以上だが、その後メールがあり「5月8日、習近平主席がプーチン大統領に対独戦勝記念日のお祝いとコロナ共同対応で電話されたようです。お互い強力な友人がいない者同士、関係は極めて良好と思います」と書いてあった。 また「ロシアの中国関係者は、かつてはやや日陰な存在でしたが、中国の台頭と、彼らを取り込む中国の巧みな工作があって今は状況が変わりました」という感想も漏らしておられた。 まるで「モスクワの友人」のコメントを証拠づけるかのように、5月13日、上海協力機構の外相会議でロシアのラブロフ外相はアメリカのコロナに関する対中攻撃を非難した。環球時報(※2)が伝えている。14日の中央テレビ局CCTVもかなりの時間を割いてラブロフの発言を大きく報道した。報道によれば米議会上院の共和党議員らが「COVID-19に関する問責法」を提出し、トランプ大統領による対中制裁を可能ならしめるように要求したようで、場合によっては国家による賠償責任を国家が求めるという流れに行く可能性も否定はできない。ラブロフはそれに対しても非難している。 こういった流れを見ると、アフターコロナの新世界秩序では、中露蜜月は崩れないという大前提で未来予測をした方が良いだろう。 安倍内閣は八方美人。「卒なく」と言えば聞こえはいいが、これでは誰からも本当には信じられないだろう。まして、習近平の国賓招聘を「延期はしたが中止はしてない」安倍首相にとって、トランプ大統領が音頭を取っている強烈な対中包囲網の中に入ることも難しいに違いない。アフターコロナの日本の動向を注視したい。 写真:AP/アフロ ※1:https://grici.or.jp/ ※2:https://www.sohu.com/a/394954288_162522 《SI》
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