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コラム【新潮流2.0】:在宅勤務(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)

2020/4/15 9:55 FISCO
*09:55JST コラム【新潮流2.0】:在宅勤務(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆コロナウイルス感染が広がる前から自宅で仕事をすることが多かったので、僕個人としてはあまり生活が変わったような気がしない。ただ、会議だけでなく飲み会までもZOOMで開催されるようになり、周囲との付き合い方がほぼ「リモート」になったのは確かに大きな変化だ。5月から新学期を始める予定の青山学院大学の講義も、前期はすべてオンラインで行うことになった。僕の授業はライブ感が売りなのでオンラインは厳しいハンディキャップだが、新たなチャレンジだと思って頑張る所存である。 ◆安倍首相はオフィス出勤者を最低7割削減するよう要請している。だが実際には程遠い。東京のオフィス街は普段に比べて半減というが、その「普段」が異常な人の多さだ。通勤電車は殺人的な満員ラッシュが緩和されたとは言え、これまでが異常な「痛勤」だった。それがやっと普通の通勤環境になったに過ぎない。でも、「普通の通勤環境」ではいけないのだ。僕は電車に乗らないが、外から車内を見ると、結構、人が立っている。日曜日の始発電車のようなガラガラの状況にならなくてはだめだ。 ◆なぜ在宅勤務は広がらず通勤する人は減らないのか。ITや制度の不備が主な理由だろうが、そもそも在宅ではできないような業務形態の仕事もある。そうした事情の人は仕方ないが、会社に出ていくサラリーマンの中には、「ただ会社に行く・いる」だけが理由の人も少なからずいるのではないか。 特に中間管理職のおじさんの中には、自分が課長の椅子に座っていることが仕事であると勘違いしている人もいないとは限らない。そうした人は在宅勤務が普及すると困るだろう。自分が会社の席に座っていなくてもチームが回るなら、存在理由がなくなってしまうからだ。 ◆在宅勤務は働き手をふるいにかける。アウトプットだけが純粋に評価の対象になるからだ。「ただ会社に行く・いる」だけの社員は淘汰されてしまうかもしれない。今回のコロナ禍におけるプラスの副作用を挙げるなら、在宅勤務ができる人・できない人の峻別があらゆる組織で行われ、そこであらためて個々人の組織への貢献の質・量が問い直されることになるかもしれないことだ。 そうなれば日本企業の労働生産性も改善するだろう。ただ、そんな偉そうなことを言う前に、自分自身の生産性を高める術を考えるべきかもしれない。コロナの前から在宅勤務で、この程度のクオリティのレポートしか書けないのか!?と言われないように。 マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆 (出所:4/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) 《HH》