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NYの視点:欧米金利差拡大でユーロ・ドル1.00ドル目指す可能性も

2019/3/8 7:44 FISCO
*07:44JST NYの視点:欧米金利差拡大でユーロ・ドル1.00ドル目指す可能性も 欧州中央銀行(ECB)は7日に開催した定例理事会で市場の予想通り過去最低水準で政策金利を据え置くことを決定した。ただ、成長やインフレが予想を下回ったため、「金利は少なくとも2019年中旬まで据え置く」とのフォワードガイダンスを「金利は少なくとも2019年いっぱい据え置く」と年内の利上げを見送る方針を示した。また、域内企業への与信の流れを確実に維持していくために、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)3の開始も発表し、金融機関を支援する。 ドラギ総裁は会合後の会見で、フォワードガイダンスに関し「2020年3月まで金利を据え置く」ことも議論したが、期間が長期にわたり不透明性が多く残る中、問題を引き起こす可能性もあると懸念し、「2019年いっぱい」にとどめたと説明した。景気悪化に備え、さらには最悪で景気後退を回避するために先手を打った追加的な刺激策は総裁が主導した。ドラギ総裁は会見で「金融政策は一段と緩和した」と口先介入も行っている。 ECBはGDPやインフレの見通しを全て下方修正。2019年の成長見通しを従来の1.7%から1.1%へ大幅に引き下げ。インフレも2019年1.2%へ従来の1.6%から引き下げた。一部の委員会メンバーは経済予測の下方修正が不十分で、なお楽観的過ぎると見ていることも明らかになった。 総裁は会見で、景気の見通しリスクが依然下方に傾斜していると警告。短期的な成長見通しは予想をさらに下回ると指摘した。適切であるなら、全手段を見直す準備があるとし、次の行動は経済指標次第になるとした。ただ、現状はあくまでも成長過程にあり、成長減速ペースへの対応が焦点で、リセッションに陥る確率は極めて少なく、量的緩和(QE)の再開や預金金利の引き下げは協議しなかったと加えた。域内の経済が、年後半に回復する可能性も残る。 ◇ECBのハト派方針 ●全ての成長・インフレ見通し下方修正 ●TLTRO3開始発表 ●フォワードガイダンス修正、年内の利上げ見送り示唆 ●ドラギ総裁が追加刺激策を主導 ●一部委員は、下方修正が不十分で楽観的過ぎる可能性も示唆 ◇欧州の成長減速の要因 ●イタリアやドイツの自動車が弱い ●保護主義 ●ブレグジット ◇ ●あくまでも成長減速への対応、リセッションはない ●QEの再開や預金金利の引き下げは議論しなかった。 欧州は中国の最大の貿易相手国でもある。ロンドンを拠点としているSLJキャピタルのCEO、スティーブン・ジェン氏は事前に公表された顧客向けのレポートの中で、もし、中国の低成長が長期化した場合、欧州経済の成長をさらに損ないECBの金融政策の正常化が一段と遅れると指摘している。中国の財政刺激策や構造改革の遅れで、2019年上半期に中国経済のV字回復は期待できないと指摘している。 欧州経済は減速が長引いており2019年の経済は1%前半の成長が予想されており、さらなる減速の可能性も懸念される中、米国の2019年経済はペース低迷しながらも2%台の順調な成長が予想されている。欧米金利差の拡大で、ユーロ・ドルが一段と低下する可能性も強まった。一方で、欧日金利差は縮小。 ユーロ・ドルは2018年の安値1.1216ドルを割り込んだ。2017年に付けた1.05ドル付近を試す可能性もある。 《CS》