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中国の無症状感染者に対する扱い(1)【中国問題グローバル研究所】

2020/4/1 15:24 FISCO
*15:24JST 中国の無症状感染者に対する扱い(1)【中国問題グローバル研究所】   【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察を2回にわたってお届けする。 ——— 中国では新型コロナウイルスによる無症状感染者を患者として扱っていないためデータ公表しておらず、本当は累積12万人以上の感染者がいたのではないかと推測されている。中国はどのようにして無症状感染者を見つけ対処したのかを考察する。 ◆無症状感染者に対する中国の対策 3月24日、日本のメディアは一斉に「中国湖北省では無症状の新型コロナウイルス感染者がいまだ相次いでいる」と報じた。3月23日付けの中国メディア「財新」(※2)が報道したからだ。また香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト (South China Morning Post、南華早報=南早)が「中国政府の機密情報により、先月末時点で無症状の感染者4.3万人以上が統計から外されていた」と報じていると、RFI(※3)も同時に報道している。 この中に「機密情報」という言葉があるために「中国は今もなお感染者数を隠蔽しているのではないか」という疑念が世界を駆け巡った。 しかし、この対策が良い方法であるか否かは別として、中国は早くから「無症状感染者は患者の数の中に計上しない」と宣言している。そのことは前掲の3月23日付けの「財新」(※4)にも明記してある。 ただ、ウイルスの正体と症状と推移が、中国の衛生保健当局にも十分にはつかめなかったので(今も未知の部分が多いため)、無症状感染者の取り扱いに関する対策は試行錯誤的で、たしかに二転三転している。 たとえば2月5日には中国のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)(アメリカ疾病管理予防センター)に相当する中国疾病制御センターは「しばらくの間、無症状感染者を患者数(治療すべき確定患者数)に含めて同時に報告すること」という指示を出したが、2日後(2月7日)には、「両者を分けて、無症状感染者は単独で別途の人数として報告するようにせよ」と変更した。 つまり、「無症状感染者と確定患者を分けて管理する」という「第四版防控方案」(疾病防御方案、第4ヴァージョン)に基づいて報告するというやり方を採用することになったのである。それまで診断基準には 症状 CTスキャン PCR検査 の3種類があり、この3つの条件がそろわないと「確定患者」には分類されていなかったが、第4ヴァージョン報告書では、湖北省におけるPCR検査キットの数が不十分だったため、湖北省に限り「症状とCTスキャン」で診断されれば「患者」とみなして「確定患者」を計算することになった。その結果、以下のように分類して、重症軽症の区別を考慮して入院や隔離などの対応を決めることになったのである。 確定患者(症状+CT+PCR陽性) 臨床診断患者(症状+CT)(湖北省限定) この内PCR陽性となった者は「1」に分類して統計 疑似感染者(症状+CT)(湖北以外) この内PCR陽性になった者は「1」に分類して統計 無症状感染者(PCR陽性) この基準の採用を開始したのが2月12日だったため、湖北省ではその日だけ突然患者数が激増(1日で1.4万人増)しているというデータが出ている。 2月14日には国務院の記者会見で、行政組織である国家衛生健康委員会が「無症状感染者に関しては対外的に公表しないと決定した」(※5)と正式に公言した。 「公表しないという決定」が妥当であるか否かは別として、「公表しないという決定をした」という事実を、正確に認識しなければならないだろう。 この決定に関しては中国国内でも少なからぬ疑問と批判がネット上で見られた。 これはたとえば日本の専門家会議で決定を出しても「それはおかしいだろう」という声がメディアで上がるのと類似の性格の「声」である。 「中国の無症状感染者に対する扱い(2)【中国問題グローバル研究所】」へ続く 写真:新華社/アフロ ※1:https://grici.or.jp/ ※2:http://www.caixin.com/2020-03-23/101532573.html ※3:http://www.rfi.fr/cn/%E4%B8%AD%E5%9B%BD/20200323-%E5%8D%97%E6%97%A9-4-3%E4%B8%87%E9%9A%90%E6%80%A7-%E5%B8%A6%E6%AF%92%E8%80%85-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%9C%AA%E5%8C%85%E6%8B%AC%E7%A1%AE%E8%AF%8A%E6%95%B0%E5%AD%97%E4%B9%8B%E5%86%85 ※4:http://www.caixin.com/2020-03-23/101532573.html ※5:https://grici.or.jp/1272 《SI》