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日経平均は小幅反落、「パウエル氏がもたらしたもの」を再確認

2021/8/31 12:10 FISCO
*12:10JST 日経平均は小幅反落、「パウエル氏がもたらしたもの」を再確認  日経平均は小幅反落。53.95円安の27735.34円(出来高概算4億4000万株)で前場の取引を終えている。  週明け30日の米株式市場でNYダウは反落し、55ドル安となった。7月の中古住宅販売成約指数や8月のダラス連銀製造業活動指数が市場予想を下回り、長期金利の低下とともに景気敏感株を中心に利益確定売りが出た。一方、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.9%の上昇となり、連日で過去最高値を更新。本日の日経平均はNYダウ下落を受けて98円安からスタートすると、朝方には一時27602.21円(187.08円安)まで下落した。米連邦準備理事会(FRB)の緩和姿勢が株式相場を下支えするとの期待も根強く、売り一巡後はプラス転換する場面があったものの、香港・上海株が軟調とあって一段の上値を追う動きは限られた。  個別では、ソフトバンクG<9984>が軟調で、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>は小安い。JR東<9020>などの陸運株やANA<9202>などの空運株に売りが出て、特に私鉄株は軒並み大きく下落。ネクソン<3659>は中国のゲーム規制強化が嫌気され、名村造船<7014>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。一方、売買代金トップのレーザーテック<6920>が3%超上昇しているほか、郵船<9101>や商船三井<9104>といった海運株、JFE<5411>や日本製鉄<5401>といった鉄鋼株の上昇が目立つ。DyDo<2590>は決算を受けて大きく上昇。H2Oリテイル<8242>との経営統合を発表した関西スーパ<9919>は東証1部上昇率トップで、業績修正や増配を発表したダイコク電<6430>はストップ高水準での買い気配が続いている。  セクターでは、陸運業、空運業、保険業などが下落率上位。一方、海運業、鉄鋼、精密機器などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の53%、対して値上がり銘柄は41%となっている。  本日の日経平均はNYダウ下落を受けて朝方に一時180円超下落。その後下げ渋るも、プラス圏を維持するまでには至らなかった。日足チャートを見ると、27600円台に位置する25日移動平均線の下値サポートを期待する向きも少なくないとみられ、先週から27000円台後半でのもみ合いが続いている。業種別では前日同様に海運業、鉄鋼の上昇が目立つが、供給の混乱や製品値上げが伝わっているこれらセクターは買い安心感があるのだろう。一方、このところ「アフターコロナ」を意識して買われていた陸運業、空運業の下げが目立つ。直近高値近辺まで上昇していた銘柄が多いが、さすがに一段の上値を追う状況にないと受け止められたのかもしれない。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりとやや低調だ。  新興市場ではマザーズ指数が+0.99%と続伸。1130pt近辺に位置する75日移動平均線水準まで値を戻してきた。後述するが、米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」後の市場反応はIT関連などのハイテク株にとって追い風となっている。明日9月1日にデジタル庁が発足することを手掛かり材料とする向きもあるようだ。  さて、注目されたジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容については既に多く解説がなされているので詳細は割愛するが、それが金融市場に何をもたらしたのかを改めて考察したい。  講演のあった27日の米市場では、期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)が上昇する一方、10年物国債利回りは低下(債券価格は上昇)。株式・商品は上昇し、ナスダック総合指数については最高値を更新した。週明けにBEI上昇に後押しされる形で10年物国債利回りが反発する可能性もあるかと考え注視していたが、結果的にそうはならなかった(30日はBEIやや反落、10年物国債利回り続落)。これらが示唆している市場の目線は「インフレ懸念含みの景気減速」のように思われる。  日米の株式市況が堅調さを維持しており、こうした見方は適当でないとの批判もあるだろうが、結局パウエル氏がもたらしたものとは「あまりに市場に配慮したがゆえのラリー機会の提供」なのだ。やや俗気のある表現かもしれないが、米市場参加者から「パウエルありがとう」などといった声が多く出ているのはそれを如実に物語っているだろう。ラリーの中心となっているのは長期金利低下の恩恵を受けるハイテク株である。また、27日の米市場や30日の東京市場では明らかにインフレ目線の市況関連株や不動産株の買いも見られた。  もっとも、景気の先行き不安が背景にあるなら景気敏感株の買いは続かない。実際、30日の米市場では景気敏感株が軟調だった。7月の米中古住宅販売成約指数や8月の米ダラス連銀製造業活動指数のように、各国経済指標は予想を下回るものが多くなっている。一方で、インフレ観測が再び強まれば5月のようにハイテク株も一転逆風となる可能性がある。パウエル氏がもたらしたラリー継続は危ういバランスのもと成り立っている印象が拭えない。  ジャクソンホール会議では、経済学者らが先進国に財政刺激策からの転換を求めたという。また、独アリアンツのチーフ・エコノミック・アドバイザーであるモハメド・エラリアン氏は、パウエル氏が「市場の応援団」となっており、政策を誤るリスクなどがあるといったコラムを米メディアに寄せている。債券投資の権威の警告は重く感じられる。  今週は9月3日の米8月雇用統計を中心に各国の重要経済指標の発表が相次ぐが、これらや金融当局者の発言を受けて金融市場が不安定化する可能性も決して低くないだろう。外部環境に十分に注意を払ったうえで相場に取り組みたい。(小林大純) 《AK》
関連銘柄 17件
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時価総額 111,506百万円
ダイドードリンコを中核とする持株会社。自販機台数で国内3位。ダイドーブレンドの缶コーヒーに強み。海外飲料事業や医薬品関連事業、食品事業等も展開。好調な販売により、医薬品関連事業は工場稼働率が向上。 記:2024/06/09
3659 東証プライム
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時価総額 1,782,400百万円
PCオンラインゲーム、モバイルゲームを世界展開。NXC保有IPを活用したPCゲームの開発に強み。中国や韓国で人気タイトルを複数保有。北米及び欧州は売上伸長。「デイヴ・ザ・ダイバー」などが売上貢献。 記:2024/06/13
5401 東証プライム
3,059
11/29 15:30
-10(%)
時価総額 2,907,032百万円
国内最大、世界有数の製鉄会社。自動車用鋼板、電磁鋼板、高級シームレス鋼管で実績。日鉄エンジニアリングなどを傘下に収める。米鉄鋼大手USスチール買収へ。中国減速で需要や市況は伸び悩み。原材料高も響く。 記:2024/06/24
5411 東証プライム
1,709
11/29 15:30
-6(%)
時価総額 1,092,800百万円
国内2位の鉄鋼メーカー。日本鋼管と川崎製鉄の経営統合により発足。鋼板を中心に多数の高付加価値製品を抱え、自動車用高級鋼板に強み。価格転嫁進める。高付加価値製品比率高まる。構造改革と海外拡大も進める。 記:2024/06/25
6430 東証プライム
3,295
11/29 15:30
-15(%)
時価総額 48,756百万円
パチンコホール向けコンピュータシステム、景品顧客管理システム等の開発・製造・販売を行う。ホールコンピュータ、情報公開機器で設置シェア業界トップ。情報公開端末の新製品「REVOLAII」などの拡販に注力。 記:2024/10/12
6920 東証プライム
16,440
11/29 15:30
-145(%)
時価総額 1,550,062百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7014 東証スタンダード
1,537
11/29 15:30
+23(%)
時価総額 106,646百万円
1911年創業の造船中堅。タンカー、バルクキャリアー、コンテナ船など船舶の製造を行う。大型商船に強み。船舶の修繕、鉄鋼構造物の製造・販売等も。建造能力の強化推進。経営資源の「選択と集中」の深化図る。 記:2024/10/12
7203 東証プライム
2,551.5
11/29 15:30
-55.5(%)
時価総額 40,300,909百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
7974 東証プライム
8,810
11/29 15:30
+25(%)
時価総額 11,441,459百万円
世界的ゲームメーカー。コンソールゲーム機を展開するグローバル3強の一角。資産の多くをドル建てで保有。海外売上高比率は7割超。新規タイトル、追加コンテンツの継続投入でプラットフォームの活性化を図る。 記:2024/07/28
2,090
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時価総額 261,670百万円
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9020 東証プライム
2,920
11/29 15:30
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時価総額 3,312,483百万円
国内最大、世界でも最大級の鉄道会社。関東、甲信越、東北までの1都16県が営業エリア。流通・サービス事業、不動産・ホテル事業等も。ホテル、ショッピングセンターは売上順調。28.3期営業利益4100億円目標。 記:2024/06/04
9101 東証プライム
4,796
11/29 15:30
-28(%)
時価総額 2,210,956百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
9104 東証プライム
5,129
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時価総額 1,859,539百万円
海運国内2位。1884年創業。三井グループ。ドライバルク事業、エネルギー事業、製品輸送事業が柱。LNG船の所有・管理・運航で世界シェアトップクラス。配当性向30%目安。非海運事業のアセット積み増し図る。 記:2024/07/29
9202 東証プライム
2,889
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+13(%)
時価総額 1,399,125百万円
国内最大手の航空会社。全日本空輸(ANA)が中核。ピーチ、エアージャパンなども傘下に持つ。航空事業のほか、旅行事業、商社事業等も手掛ける。国際線、国内線ともに旅客需要増。貨物事業の拡大等に取り組む。 記:2024/08/02
9919 東証スタンダード
2,593
7/26 15:00
-69(%)
時価総額 165,586百万円
関西スーパーマーケット、イズミヤ、阪急オアシスが経営統合。食品スーパー店舗数は関西最大級。親会社のH2Oリテイリングが株式交換による完全子会社化を決定、同社株は24年7月29日付けで上場廃止予定。 記:2024/06/17
9983 東証プライム
51,110
11/29 15:30
+10(%)
時価総額 16,264,275百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25
9984 東証プライム
8,936
11/29 15:30
-112(%)
時価総額 13,135,875百万円
携帯キャリアのソフトバンク、LINEヤフー、ビジョン・ファンド、半導体設計の英ARMなどを傘下に収める持株会社。ソフトバンク事業はメディア・EC事業などが順調。中計では26.3期純利益5350億円目指す。 記:2024/06/17