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アンジェス Research Memo(7):Emendoは臨床試験入りに向けた協議をFDAと進める

2022/5/31 15:47 FISCO
*15:47JST アンジェス Research Memo(7):Emendoは臨床試験入りに向けた協議をFDAと進める ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向 5. Emendoのゲノム編集技術 2020年12月に子会社化したEmendoでは、独自開発した先進的なゲノム編集ツール「OMNI Platform」を用いて遺伝子治療薬の開発を進めている。ゲノム編集とは、特定の遺伝子(DNA配列)をDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)によって特異的に切断、編集、改変する技術のことで、ゲノム編集により特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正することが可能となる。これまでも複数のゲノム編集ツールが開発されており、なかでも、CRISPR/Cas9は従来技術よりも短時間で簡単に標的となるDNA配列を切断できる革命的な技術として評価され、その開発者が2020年のノーベル化学賞を受賞したことは記憶に新しい。 Emendoの開発した「OMNI Platform」では、これまで一般に用いられてきた既存のCas9ヌクレアーゼとは異なる新規のRNA誘導型ヌクレアーゼ(ガイドRNAがゲノム上の標的配列にCas9ヌクレアーゼを誘導する)を探索し、ゲノム編集に応用している。Emendoが開発するOMNIヌクレアーゼの長所は、ターゲット遺伝子ごとにヌクレアーゼが最適化されるため、高い効率と精度をもってゲノム編集ができる点にある。ヒトでの遺伝子疾患治療薬の開発では、人体への悪影響を避けるためゲノム編集を高精度に行う必要があり、それが開発のボトルネックにもなっていた。「OMNI Platform」はそのブレイクスルーとなる技術として注目され、2021年に開催された学会で同技術を用いた臨床研究の成果を発表したところ、大手製薬企業からバイオベンチャーまで問い合わせが増えたという。 Emendoでは今後、「OMNI Platform」を用いた遺伝子治療薬(技術)の開発を推進していくと同時に、「OMNI Platform」のライセンス提供による収益獲得という2軸で事業を展開していく方針となっている。治療薬(技術)の開発では希少遺伝性疾患となるELANE変異によるSCNを対象とした開発を進めていくべくFDAとの協議を行っている。SCNとは骨髄における顆粒系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症のことで、遺伝子変異により出生後の早期から好中球減少による中耳炎、気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を反復し、肺炎や敗血症などその他の疾患に至るケースもある。100万人に2人の割合で発症する希少疾患となり、SCNの約7割はELANE変異によるものとなっている。 現在の治療法は、ST合剤(抗生剤、スルファメトキサゾール・トリメトプリム)による感染予防が一般的で、感染症がコントロールできない場合にはG-CSF※を使用して好中球の誘導を促すことになる。ただ、G-CSFを高用量で使用した場合、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病へ移行し、造血幹細胞移植が必要となるケースもある。Emendoでは患者から造血幹細胞を取り出し、「OMNI Platoform」を用いて正常な機能を有するELANEを発現させたうえで患者の体内に戻し、好中球の機能を回復させる根治療法の開発を目指している。先進的な遺伝子改変技術を用いた治療法となるため、臨床試験のプロトコル策定まで時間を要するものと考えられ、臨床試験の開始時期は未定となっている。同社では2030年までに開発パイプラインを数本走らせることを目標としている。一方で、「OMNI Platform」のライセンス提供についてはバイオベンチャーからメガファーマまで合計10社程度の引き合いがきており、非独占的な形でサービス提供していく予定にしている。2022年内にはサービス内容や料金等を明確にして、提供を開始したい考えだ。 ※G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子):サイトカインの一種で顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用がある。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05