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アンジェス Research Memo(8):2021年12月期第3四半期累計業績はワクチン開発費用増等で営業損失が拡大

2021/12/6 15:08 FISCO
*15:08JST アンジェス Research Memo(8):2021年12月期第3四半期累計業績はワクチン開発費用増等で営業損失が拡大 ■業績動向 1. 2021年12月期第3四半期累計の業績概要 アンジェス<4563>の2021年12月期第3四半期累計の売上高は前年同期比56.9%増の44百万円、営業損失は12,163百万円(前年同期は2,857百万円の損失)、経常損失は11,823百万円(同3,150百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は11,952百万円(同3,174百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用を中心に研究開発費が増加したことに加え、Emendoの子会社化に伴う事業費用やのれん償却費の計上が損失拡大要因となっている。 売上高については、「コラテジェン®」の販売高が前年同期の28百万円から30百万円と若干増加したことに加えて、手数料収入13百万円を計上したことが増収要因となった。同社は2021年4月に希少遺伝性疾患検査を主目的とした衛生検査所を川崎生命科学・環境研究センター(神奈川県)内に開設しており、同年7月から新生児を対象としたオプショナルスクリーニング検査を開始、その手数料を収入としている。希少遺伝性疾患の治療については、発症早期、望ましくは発症前から開始することが重要と言われており世界的に普及が進んでいる。国内でも地方自治体の事業として、特定の遺伝性疾患の検査をすべての新生児に対して実施する「新生児マススクリーニング」が無償で提供されているほか、対象疾患以外の疾患についても(一社)希少疾患の医療と研究を推進する会が、希望者を対象に有償検査となる「オプショナルスクリーニング」事業を展開している。同社は遺伝子性疾患を対象とした治療薬の開発を進めていることもあり、その規模の拡大や検査対象疾患の拡充、バックアップ体制構築のため、同事業を開始することにした。売上原価の増加も同事業の開始に伴う増加が主因となっている。 研究開発費用が前年同期比で6,609百万円増加したが、増加要因の大半は新型コロナウイルス感染症ワクチンの臨床試験及び非臨床試験にかかる費用増によるもので、項目別では、研究用材料費で1,502百万円増加したほか、外注費で3,526百万円、消耗品費で292百万円それぞれ増加した。また、主にEmendoの子会社化に伴い、開発人員の給料手当が390百万円増加した。なお、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用については、前述したように国の補助金で賄われることになっており、プロジェクト報告書の審査が認証されれば、営業外収益に計上されることになっている。 販管費については前年同期比で2,688百万円増加した。Emendoの子会社化に伴ってのれん償却費1,783百万円や販管費を計上したほか、コンサルタントフィー等の支払手数料が407百万円増加した。また、営業外収支が前年同期から632百万円改善したが、このうち347百万円は外貨預金及びEmendoへの貸付金の評価替えによる為替差益の増加によるもので、263百万円が前期まで持ち分法適用関連会社だったEmendoの子会社化に伴い、持分法投資損失がなくなったことによるものとなっている。そのほかVasomuneからの補助金収入31百万円を計上している。 また、特別損失として投資有価証券評価損を163百万円計上したが、これは前述したBarcodeとの共同開発を終了したことに伴い、保有株式をすべて減損処理したことによるものとなっている。 2021年12月期も、新型コロナウイルス感染症ワクチン等の開発パイプラインの進展を最優先に取り組む方針 2. 2021年12月期の業績見通し 2021年12月期の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況や、国等からの補助金の公募、認定の有無なども含めて未確定な要素が多いことから、現時点では未定としている。 事業方針としては、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬を筆頭に、既存パイプラインの開発推進に注力していくほか、子会社のEmendoではゲノム編集技術を用いた具体的な開発品のプロジェクト化を最優先事項として取り組んでいくことにしている。 なお、Emendoの業績については、まだ開発ステージであることから売上計上はなく、年間で10億円以上の営業損失が続くものと弊社では予想している(従業員数は前期末の53名から現在は60~70名程度に増員)。また、Emendoののれん償却費は年間で約23億円(10年間均等償却)となり費用増要因となるものの、実際のキャッシュアウトは生じない。 エクイティファイナンスの実施により、手元キャッシュは200億円を上回る水準に 3. 財務状況について 2021年12月期第3四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比9,380百万円増加の47,735百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が9,603百万円増加した。第41回新株予約権(第三者割当)の行使により調達した17,474百万円の一部を事業費用として充当した。固定資産ではのれんが前期末比で30百万円減少した。のれん償却費は1,783百万円を計上したが、円安に伴う為替換算等で1,753百万円の増加要因となっている。また、Barcodeの投資有価証券評価損を計上したこと等により投資有価証券が157百万円減少した。 負債合計は前期末比2,246百万円増加の7,921百万円となった。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発プロジェクトにかかるAMEDや厚生労働省からの補助金が入金され、前受金が2,940百万円増加の6,534百万円となった。一方で、前期分の費用の支払いにより未払金が687百万円減少した。 純資産は前期末比7,134百万円増加の39,813百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失11,952百万円の計上があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金をそれぞれ8,747百万円計上したほか、のれんにかかる為替換算等により為替換算調整勘定が1,600百万円増加したことが主因となっている。 なお、第41回新株予約権(第三者割当て)についてはすべて行使が完了し、本新株予約権の発行価額の総額を含めて約174億円を調達した。調達資金の使途としては、Emendoの事業運営資金として90億円(3年間)、残りが事業基盤のさらなる拡大に向けた資金(海外企業の買収や資本参加等)に充当していくことにしている。2021年9月末の現金及び預金は211億円となっている。2021年第3四半期の損失額はのれん償却費控除前で約40億円の水準であり、当面の事業資金は確保されているものと考えられる。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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時価総額 8,753百万円
大阪大医学部発のバイオベンチャー。遺伝子医薬やDNAワクチンのバイオ医薬品を開発。受託数の順調増で手数料収入は伸長。研究開発費は減少。23.12期通期は損益改善。24.12期は大幅増収、損益改善計画。 記:2024/03/05