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ベルシス24 Research Memo(7):新事業モデル推進を目指す(1)

2021/5/31 15:07 FISCO
*15:07JST ベルシス24 Research Memo(7):新事業モデル推進を目指す(1) ■中期経営計画 2. 3つの重点施策と社会的課題への取り組み ベルシステム24ホールディングス<6183>は中期経営計画における具体的戦略として、(1)社員3万人の戦力最大化、(2)音声データ活用によるDX推進、(3)信頼と共創のパートナー成長、の3つを計画達成の重点施策として推進する。同時に、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえ、社会課題解決にも前向きに取り組む姿勢である。 (1) 社員3万人の戦力最大化 第1の重点施策として、社員3万人の戦力最大化を図り、特に経験豊富な人材の活用として、在宅コンタクトセンターの増設を計画する。 同社では、現在、社員3万人(契約社員を含む)を擁し、北は北海道から南は沖縄まで、全国でコールセンター業務を展開している。また、自社センター拠点数は37拠点、自社保有席数は約18,000席で、さらにサテライト席数(顧客先のコールセンターで業務を行う)約15,000席を保有する。 中期経営計画では、この3万人の機動力や現場オペレーション力のさらなる強化、定着率向上による品質と対応スキルの高度化、働き方改革の推進(在宅コンタクトセンターの増強)、安心して働ける環境の提供(パンデミック対応)などを実施する。特に、社会を支え、品質を担保する人材を働きやすさで支えるために、在宅ワーク増強に注力し、在宅席数を計画開始時点の約1,000席から4,000席に大幅増設する計画だ。 社会からは、多様な人材の活躍や新たな雇用の創出が求められている。同社のクライアント企業からは、体制の柔軟化やBCP対応の必要性が高まっている。そして、同社の従業員からは、働き方を選べる環境や介護・育児との両立を求める声が大きい。そうした現状を踏まえれば、最新のテクノロジーを活用した在宅コンタクトセンターは、社会、クライアント、同社従業員の三者のニーズを満たし、Win-Winの関係を作り上げるものと言えるだろう。 今後も業容拡大を目指す同社にとっては、オペレーターの確保が重要課題の1つである。最近の技術進歩により、顧客へのサポート業務をコールセンター拠点以外の場所でも提供できるようになったことで、地方に住む人や育児・介護と仕事を両立したい人など、時間や場所の制約がある人も、コールセンター拠点に勤めるオペレーターと同レベルの業務を行うことを可能になっている。コロナ禍をきっかけに、在宅勤務を希望するオペレーターが増えると見込まれる。同社の計画は、どのような非常時においても、社会インフラとしての役割を果たしたいとの考えに基づくものと言えるだろう。 中期経営計画初年度の2021年2月期には、在宅勤務は約8割の社員が活用し、在宅コンタクトセンターは1,300席へ拡大しているが、2022年2月期末には2,400席への増加を計画している。また、2020年10月には、(株)スカパー・カスタマーリレーションズの運営する、日本最大の有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」のカスタマーサポート業務において、ニューノーマル時代における「新しい働き方」の実現などを目的に、クラウド型コールセンターシステムを活用し、在宅オペレーターによるコールセンターの運用を開始した。このように、社員3万人の戦力最大化に向けて、着々と「新しい働き方」を実現している。 同社では、これまでも退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を推進してきた。すなわち、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフなどの有期雇用社員約22,000人に対して、2017年10月より順次正社員登用に加え、2018年12月には契約社員の待遇向上を実現する新人事制度を導入し、社員のライフスタイルに合わせた働きがいのある評価制度の運用を開始している。 また、2019年8月には、従来はスキル不足により採用を見送っていた人材を確保し、就業支援を行うことで即戦力化するための施設「SUDAchi(すだち)」を札幌に開設した。すなわち、コンタクトセンター業務に必要な、コミュニケーションやタイピングといったスキルなどを就労前に教育をすることで即戦力化を図るものである。SUDAchiは、今では全国の各拠点での展開を開始している。こうした就労支援の結果、人材の定着率も高まっている。さらに、2019年7月には、沖縄、福岡に続き全国3ヶ所目の企業内保育園を札幌オフィス内に開設し、産休・育休明けの従業員の復職や育児と仕事の両立を支援している。 このような数々の施策は、優秀な人材確保こそが同社成長の基盤であるとの考えに基づくものと言えるだろう。 (2) 音声データ活用によるDX推進 第2の重点施策として、音声データ活用によるDX推進を計画し、DX推進によって音声/CRMデータ基盤の強化を図る計画だ。 具体的には、優良顧客との信頼関係をもとにDX推進、音声・CRM基盤の整備によるデータ資産化、データ分析による高付加価値の提供、コンサル機能強化により新たな領域での事業創出などを行う。すなわち、膨大な応対業務で得た音声活用ノウハウを活用して、音声データの基盤強化を図る考えだ。 同社は、消費者への対応、消費者との通信履歴など、膨大なユーザー対話から課題を解決したデータを保有している。こうしたデータを、自社分析チームにより、AI・シナリオチューニング、FAQ&スクリプト最適化など、現場に即したナレッジを蓄積することで、運用ノウハウの深化を図る。また、蓄積したデータに基づき店舗データ、消費傾向、Web行動などを分析することで、ユーザー接点の拡大や解決業務の多様化を図り、クライアントとの連携強化に役立てる。同社では、データを多面的に分析することで、クライアントが望む品質改良、自動化、解約防止、売上増大などについての施策を提案することが可能になる。 このように最新テクノロジーを活用することで、同社のビジネスのさらなる発展を目指す計画である。特に、現在のコロナ禍の収束が見えない環境下では、非対面化、効率化、省力化を検討するクライアント企業からの同社への依頼は増加傾向にあるようだ。 中期経営計画初年度の実績としては、2020年6月には、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所と連携し、「ヒト」と「新技術」を融合させた「次世代コンタクトセンター」の創出を目的に「イノベーション&コミュニケーションサイエンス研究所」を設立した。また、独自開発のAI検索エンジン「Mopas(モーパス)」と、AIナレッジメンテナンス機能「Knowledge Creator(ナレッジクリエーター)」により、eメールでの問い合わせ対応業務の効率化と削減につなげるコンタクトセンター業務に特化した新たなAIサービスの提供を開始した。さらに、2020年11月には、社内問合せ業務の効率化を目的に、子会社のCTCFCが提供するヘルプデスクサービスの導入と、独自AI検索エンジン「Mopas(モーパス)」の活用を開始した。情報システム部門から導入を開始し、今後人事・法務部門へ展開することで、約3万人の従業員からの問い合わせ対応を可能にするものである。 このように、音声データ活用によるDX推進戦略についても、着々と実績を積み上げていると評価できるだろう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《NB》
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国内コンタクトセンター大手。カスタマーサポートやセールスサポート、BPO等のCRM事業が主力。伊藤忠商事が筆頭株主。通信系企業との取引比率が高い。配当性向50%目標。基礎業務のクライアント数は順調に拡大。 記:2024/07/02