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スペースバリューHD Research Memo(8):本業回帰や事業間シナジーの創出により持続的成長を目指す(1)

2021/2/1 16:18 FISCO
*16:18JST スペースバリューHD Research Memo(8):本業回帰や事業間シナジーの創出により持続的成長を目指す(1) ■中期経営計画(今後の方向性) 1. 基本方針 スペースバリューホールディングス<1448>では、前述した経営理念及び空間ビジョンに基づき、10年後のありたい姿として「人々の暮らしに役立つthe空間創造企業」を掲げるとともに、その実現に向けた最初のステップとなる3ヶ年の中期経営計画を策定した。特徴的なのは、これまでの反省(グループ全体へのシナジーが見込めないホテル開発事業からの撤退など)を踏まえ、「本業回帰」を重要なテーマとしているところである。すなわち、「建築事業(システム、プレハブ)」をコアとして位置付けたうえで、「土地活用事業」「立体駐車場事業」「総合建設事業」との事業間シナジーの創出により、それぞれの事業を成長させる方向性である。特に、以下の4つの基本方針により、空間の価値を高め、それぞれの事業の拡大につなげていく内容となっている。 1) 「建築事業(システム、プレハブ)」をコアとし、事業用建物の圧倒的なシェアを占める2,000m2未満の成長領域で活躍する 2) 事業間シナジーを生みだす、土地活用ソリューションやPPP / PFI事業を全国に水平展開する 3) 同社の空間ビジョンにマッチし、イノベーションをもたらす商品開発と効果的な投資を行う 4) 「成長」に必要な機能・機会を得るための戦略的なM&A・アライアンスに取り組む 2. 環境認識 同社の成長性を評価するうえで、もっとも重要な建築事業(システム、プレハブ)の拡大余地について考察する。鉄骨造(事務所、店舗、工場、倉庫)の規模別着工棟数を見ると、同社が対象とする2,000m2未満については全体の93%(約2万7,000棟)を占めており、棟数ベースで大きな市場を形成している。ちなみに残り7%の2,000m2以上については、大手・中堅ゼネコンや大型の建物を扱うシステム建設メーカーがひしめき合う領域となっており、規模に応じてある程度のすみ分けができている。ただ、全体の93%を占める2,000m2未満のうち、システム建築のシェアは10%にも届いておらず、依然として従来工法によるものがほとんどである。したがって、システム建築の優位性が広く認知されてくれば、拡大余地の大きな市場と言える。 では、今後、システム建築が伸びる理由はどこにあるのかと言えば、1) 大工の減少による施工ニーズと、2) 鉄骨製作工場の減少に伴う生産ニーズの2つの側面から需要拡大を予測することができる。まず、1) の施工ニーズについては、大工の人数は年々減少傾向にあり、2010年から2030年では50%の減少※1が見込まれている。それに伴って建物の新築については、すでにシステム化(プレカット)の流れが始まっている。また、2) の生産ニーズについても、部材を造る鉄骨製作工場の数が2009年から2019年で30%減少※2しており、供給が需要に追いつかない状況となりつつある。したがって、それらを背景として、汎用性の高い規格建築商品としてシステム建築に対する潜在需要は大きく、そのなかでも設計・製造(生産工場)・施工(地域ネットワーク)を有している同社には、不足する作り手の代替機能としてビジネスチャンスが大きいと認識できる。 ※1 同社決算説明会資料より、出所は野村総研の予測及び実績は総務庁「国勢調査」。 ※2 同社決算説明会資料より、出所は全国鉄骨評価機構及び全国R・Jグレード部会情報紙。 一方、建設市場全体に目を向けると、技術者不足や資材価格・運搬費用の高騰など、供給サイドに課題は多い。ただ、国土強靭化をはじめとする防災投資の増加、環境配慮の高まりによる関連事業・商品への需要などにより、需要サイドは堅調に推移するとの見方がされている。 3. 具体的な戦略テーマ (1) 建築事業をコア事業として確立 コア事業である建築事業については、1) 2,000m2未満の成長領域への深化、2) レンタル事業の活性化、3) ソリューションの展開などに取り組み、担い手が不足する業界において、メーカーとしての役割を高めていく。特に、1)の成長領域への深化についてはまさに成長戦略の軸であり、商品開発とグループ全体での販売推進などによりシェア拡大を目指す。また、2)のレンタル事業による利益の積み上げも重要なテーマであり、景気変動の影響を受けにくい官公庁需要の継続的取り込みなどに注力する考えである。また、プレハブハウスのレンタル化率の向上は環境負荷低減にもつながるため、社会課題の解決に向けた取り組みとして事業機会の創出にも取り組んでいく。 (2) 駐車場のトータルソリューションの提供 立体駐車場事業についても、1) トータル提案体制の整備やコア技術の内製化等により、コア事業として再構築するとともに、2) マーケットに対する提案力の強化、3) PPP / PFI事業の創出と参画などに取り組み、ワンストップ化によるサービス向上を図る。M&A・アライアンスの活用により、業界で主導権を発揮できるシェア拡大も視野に入れているようだ。また、注力分野であるPPP / PFI事業については、メーカーならではのメリットを発揮できる駐車場案件の創出を図るほか、維持管理・運営ノウハウの蓄積等により付加価値の向上につなげていく考えだ。 (3) 土地活用事業の全国展開 1) グループ内のリレーションを強化、2) 建築事業・総合建設事業との協働、3) 新たな開発セグメントの創出などに取り組み、「立地」と「空間」の潜在力の顕在化を通じて、地域のまちづくりに貢献する。特に、「土地活用事業」とのシナジー創出は収益性向上のカギを握る重要な戦略テーマであり、これまで同様、「建築事業」や「総合建設事業」との協働などに取り組むとともに、これまで蓄積してきた土地活用ノウハウや提案力を全国へ展開していく考えだ。 (4) PPP / PFI事業を通じた社会貢献 1) 成長を続けるPPP関連市場への取り組み強化、2) 多面的なネットワークを活かした事業化推進、3) ソリューション型営業の全国展開により、人々の暮らしに役立つ空間を創っていく。すなわち、公共分野の課題解決を通じて、社会に必要不可欠な企業を目指すことで、同社自身の持続的な成長にもつなげるシナリオとなっている。また、公共工事の実績とPPPノウハウを活かし、「ソリューション型営業」を全国に展開していく。 (5) 総合建設事業とのシナジー強化 1) 建設事業とのシナジー創出、2) 安定基盤の構築と収益性向上、3) 組織力・提案力・技術力の強化により、コア事業の継続的な成長を支える。引き続き、グループの持つ建築商品による差別化や立体駐車場等との一括提案、官公庁・役務工事への参加などに取り組む。 (6) 海外事業の再構築 1) 海外展開のための体制の再構築、2) 次世代型の駐車場装置の開発、3) システムインテグレーターとしての社会への貢献などにより、パーキングシステムに関する「すべて」に対応できる体制をつくる。特に、高い成長が見込める東南アジア市場の深堀りに向けて、しっかりとした市場調査を含めた体制面の強化を図るとともに、駐車場メーカーとして商品開発を軸に展開していく戦略である。また、ロボット等の先進技術を採用した次世代型駐車場装置やスマートパーキングに対応した駐車管制機器の開発などにも取り組む。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《EY》
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時価総額 40,819百万円
プレハブや立体駐車場の日成ビルド工業を中核とする持株会社。建築・土木工事や不動産開発も。22.3期上期はプレハブ建築が堅調で黒字に。今年1月に投資ファンドによるTOB(1株1150円)成立し、上場廃止へ。 記:2022/01/14