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日産東HD Research Memo(4):強みは集約化とベストプラクティス、そして「技術の日産」

2020/12/24 15:14 FISCO
*15:14JST 日産東HD Research Memo(4):強みは集約化とベストプラクティス、そして「技術の日産」 ■事業概要 2. 日産東京販売ホールディングス<8291>の強み 同社の強みは、カーライフのワンストップサービスと、事業のバックボーンである「技術の日産」にある。カーライフのワンストップサービスは、同社の拠点であればどこでもその1拠点で、新車販売を始め中古車販売や個人リースなどによって、カーライフに関する満足を顧客に与えることができる。また、カーナビゲーションシステムやドライブレコーダーなどオプション部用品の推奨により売上を拡大できるほか、保険や金融商品(クレジット・リース)、車検、定期点検、整備・修理といったアフターサービスの販売など、企業収益を安定化させるストックビジネスにもつなげることができる。最後に中古車の買取りを行うが、そこで最初に戻って新車を買ってもらうというサイクルをつくる。こうしたワンストップサービスのサイクルが同社の強みであるが、実はこのサイクル、どのディーラーもほぼ同様に行っている行為である。したがって同社の強みは、サイクル自体と言うより、サイクルをスムーズに回して収益を上げる仕組みにあり、その仕組みの背景にあるのが「集約化」と「ベストプラクティス」なのである。 2011年に東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売、日産プリンス西東京販売の3社が1つのグループとなった。この結果として、まず他所でよくある同系列の異なるディーラーによる同一車種の値引き競争がなくなる。また、言ってみれば一気に3倍の規模になったのだからスケールメリットも生じる。もちろん、共通コストの集約や配送・整備の共同化などのメリットも生じる。さらに3販社は、グループ化した2011年以来情報活用の場として続けている共有会議を通じて、それぞれが有するベストプラクティスを水平展開している。その結果、販促や営業のヒット率が上がり、上級グレードやオプションの提案などによって1台当たり販売単価が上がる。東京という高コストのエリアに立地していながら、3%という自動車ディーラーとしては相対的に高い営業利益率を上げることができる理由である。また、ヒット率向上には、3販社の延べ30万台に上る膨大なビッグデータと、それを解析できる東京日産コンピュータシステムの存在も欠かせない。 売上規模が大きくなり利益率が向上すると体力に余裕ができ、自社のオリジナル事業によるリスクテイクが可能となる。前述したGTNETや車検館もそうだが、同社は、20年以上の歴史があり高いシェアを誇る個人リース「P.O.P.」も展開している。様々なモノが所有から使用・シェアリングへと価値観が移っており、自動車の個人リースも2018年度から2022年度で市場規模が4倍になるという予測がある成長市場である。ここでカーリースの詳細を説明しないが、特に自動車を所有するモノでなく使用するモノと考える消費者にとって、「頭金ゼロ・こみこみ・定額」など非常に利便性が高いサービスである。同社にとっても、通常の買い替えサイクルが10年超であるのに対してリースは7割以上の顧客が3年で次の新車に乗り替えるため、それ相応に販売効率の良いビジネスなのである。したがって「P.O.P.」は、同社の収益を押し上げるドライバーの1つとして中期の成長が期待されている。このように「独自性」を発揮することは、新たな売上を創出すると同時に、事業ポートフォリオによる企業収益の安定化にも寄与する。さらに、自動車販売に独自の柔軟な発想をフィードバックして生かすことも可能となる。 「技術の日産」が真に復活しようとしている 3.「技術の日産」も同社の強み ここ数年、日産自動車の低迷により、日産系ディーラーは苦労の時代が続いた。しかし、世界がガソリン車全廃へ動き出すなど、先行していたEVが日増しにフォーカスされるようになり、日産自動車も低迷から脱するスピードが増しているようだ。背景にあるのが、「CASE※」と呼ばれる新しい領域での技術革新によって、自動車の概念が大きく変わりつつあることだ。日産自動車は元来技術力に定評があり、電動化や知能化、コネクテッド化などの技術を蓄積していたが、それを訴求したTVCMなど「やっちゃえNISSAN」のキャンペーンが奏功し、今やEVのパイオニアとしてのイメージが定着しつつある。さらに、こうした技術力を背景に、ここ数年少なくなっていた新車の投入も増やす計画である。まさに伝統的なスローガン「技術の日産」が復活する勢いにあると言える。東京でほぼ唯一、そうした日産自動車を扱えるディーラーであるということも、同社の強みなのである。 ※ CASE:Connected(つながる)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)のこと。 日産自動車は先端的な新車を次々発売する計画 4. 日産自動車の戦略 キャンペーンのコアコンセプトである「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」は、自動車が運転者をパートナーとして認識し、コミュニケーションを取り、学習し、予測し、充電する、そのような先進技術を示している。運転者が安心してドライブでき、新たな体験をし、周囲の世界とつながるような、まったく新しいドライビングを提供することを目指している。そして究極的には「ゼロ・エミッション(排出ガスゼロ)」、「ゼロ・フェイタリティ(交通事故死ゼロ)」の社会の実現を目指すとしている。これに沿って、日産自動車は2023年度末までに、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」の取り組みによって開発された先端技術を搭載した新型車を、国内で次々発売する計画である。特に強みとなるのが自動運転化と電動化の技術で、自動運転化の技術では、20の市場で20を超える商品にドライバーアシスタントシステムのプロパイロットを採用し、2023年度末までにプロパイロット搭載車の年間販売台数を150万台超にする計画である。電動化の技術に関しては、既に市場投入しているEVとe-POWERの強化を図り、2023年度までに8車種を超えるEVを投入、e-POWERは普及タイプの車種にまでに搭載を拡大する予定である。そして2023年度までに、電動化率を日本60%、中国23%、欧州50%へと向上、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指している。 日産自動車は、特に2022年3月期上期までに12車種程度の新型車を投入する計画であり、早速、2021年3月期中に軽自動車「新型ルークス(2020年3月発売)」、「キックスe-POWER(6/30発売)」、「新型ノートe-POWER(11/24発表、12/23発売予定)」の3車種を発売した。軽自動車「新型ルークス」は、軽自動車とはいえ、全方位の先進安全技術を搭載、プロパイロットやSOSコールなども備えており、自動車選びで最も優先される安全性の面で高い評価を得ている。「キックスe-POWER」はe-POWERのみの設定で、エクストレイルよりひと回り小さいこれまで日産になかったサイズのため、激戦区のSUVカテゴリーで純増効果が期待される。「新型ノートe-POWER」は日産を代表する大ヒット車の最新型のモデルで、同社としても売上利益への期待は自然と増す。従来あったガソリン車はなく、これもe-POWERのみの設定である。2022年3月期になると新型クロスオーバーEV「アリア」を発売する予定である。新世代のEVパワートレインに最新の電動化技術・自動運転化技術・コネクテッド技術を搭載、EV課題の走行距離も最大610kmと長距離化が可能となり、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を象徴する自動車になりそうだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《NB》
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8291 東証スタンダード
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時価総額 35,716百万円
日産やルノーの新車、中古車の販売に加え、自動車のリースや整備等のサービスを手掛ける。自動車関連事業は堅調。新車販売台数が増加。関係会社株式売却益を計上。24.3期3Qは大幅増益。通期利益予想を上方修正。 記:2024/02/23