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クオールHD Research Memo(3):『マンツーマン薬局』と異業種連携による『新業態』薬局を展開

2020/7/2 17:23 FISCO
*17:23JST クオールHD Research Memo(3):『マンツーマン薬局』と異業種連携による『新業態』薬局を展開 ■クオールホールディングス<3034>の会社概要 2. 保険薬局事業 (1) 事業規模と業界内でのポジショニング 保険薬局事業セグメントの主な事業内容は調剤薬局の運営となり、2020年3月期末の店舗数で見ると、総店舗数805店舗のうち784店舗(約97%)を調剤薬局で占めている。残り21店舗は病院内売店の運営となる。また、セグメント売上高153,185百万円のうち141,107百万円(約92%)を処方箋売上高(いわゆる調剤売上高)が占め、残りは薬局やコンビニ、病院内店舗での商品販売や、クオール公式通販サイト内での健康食品、衛生用品等の販売収入となる。 調剤薬局業界における同社のポジショニングについて見ると、店舗数では上場している調剤専門チェーンのなかでアインホールディングス<9627>に次ぐ2番手となり、売上高についてはアインホールディングス、日本調剤<3341>に次ぐ3番手となっている。日本調剤は店舗売上高の大きい門前薬局での展開が多いことから、売上高では同社を逆転している。 (2) 店舗戦略 同社の店舗戦略の特徴の1つとして、タイプの大きく異なる2つの業態で事業を展開していることが挙げられる。1つは『マンツーマン薬局』であり、もう1つはコンビニ大手であるローソン<2651>やJR西日本<9021>のグループ会社など異業種との連携による『新業態薬局』となる。 マンツーマン薬局とは、通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係をするために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだ。しかし実際には、1つの薬局は複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いもようだ。 マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的でローコストのオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に資することを目指している。より具体的には、当該店舗がマンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性等に応じて店舗設計や機能を変化させた店づくりを追求している。その原資はマンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化をはじめとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。また、医療機関との連携を本質とするマンツーマン薬局のコンセプトは、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』に沿ったものと言え、成長戦略においても重要なポイントとなっている。さらには、2019年の薬機法改正によって2021年8月から導入される認定薬局制度(詳細は後述)においても有効に働くと弊社では見ている。 もう1つの業態である、異業種との連携による新業態薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売可能となったことが背景にある。これを機に他業種から調剤薬局事業に参入する流れを受けて、それを迎え撃つ施策として同社は既述の2社との事業連携に踏み切った。その後もビックカメラ<3048>等の異業種との事業連携等を逐次推進してきている。 事業連携を通じた店舗が“新業態”とされるのは、既述の“マンツーマン薬局”との対比において、ターゲット顧客層が異なるためだ。マンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込まれ、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化されたものとなっている。一方、新業態薬局は人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする、いわゆる面対応型薬局となる。このため、店舗の在庫投資等の点ではマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(すなわち処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、新業態でも展開することで顧客層の拡大を図るというのが同社の狙いだ。 なお、地域別の出店数では関東が最も多く326店舗(構成比40.5%)となっており、次いで関西が132店舗(同16.4%)、甲信越が109店舗(同13.5%)となっている。東京を創業地として店舗展開してきたことから関東圏が多いが、2016年3月期末からの増加数で見ると、甲信越で96店舗、関西で48店舗とそれぞれ大きく伸ばしている点が注目される。甲信越では2016年10月に新潟に拠点を置く(株)共栄堂を子会社化したこと、関西でも2018年から2019年にかけて複数のM&Aを実施したことが増加の主な要因となっている。同社では店舗拡大戦略として、自力出店に加えてM&Aによる店舗拡大を積極推進していることも大きな特徴となっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《EY》
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