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平山 Research Memo(5):2019年6期は先行投資の実施で営業減益も、M&A効果により売上高は大幅増収に

2019/10/17 7:59 FISCO
*07:59JST 平山 Research Memo(5):2019年6期は先行投資の実施で営業減益も、M&A効果により売上高は大幅増収に   ■業績動向 1. 2019年6月期の業績概要 2019年6月期の連結業績は、売上高で前期比53.3%増の20,841百万円、営業利益で同5.7%減の202百万円、経常利益で同14.5%増の245百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.8%増の364百万円となり、営業利益を除いて増収増益を達成した。 売上高は、既存事業が主力のインソーシング・派遣事業を中心に2ケタ増収と好調に推移したことに加えて、M&A効果(FUN to FUN、平和鉄工所)が上乗せ要因となり、過去最高を大幅に更新した。特に、FUN to FUNに関しては売上高で4,597百万円と大きく寄与している。売上総利益率は前期比0.9ポイント上昇の16.4%となった。既存事業における利益率が改善したことに加えて、FUN to FUN(売上総利益率17.9%)が加わったことも要因となっている。売上総利益が前期比62.0%増となったにもかかわらず営業利益が減益となったのは、販管費が大きく増加したことが要因となっている。 営業利益の増減益要因を見ると、売上増に伴う利益増で1,123百万円(うち、既存事業274百万円、FUN to FUN 801百万円、平和鉄工所48百万円)、既存事業における利益率改善(受注単価アップ及び請負現場の利益率改善)で182百万円となったのに対して、販管費が1,317百万円増加した。増加の内訳は、既存事業で438百万円、FUN to FUNで856百万円(うち、のれん償却76百万円)、平和鉄工所で23百万円(うち、のれん償却1百万円)となっており、既存事業における販管費増とFUN to FUNののれん償却が減益要因だったことがわかる。既存事業の販管費は前期比23%増となっているが、これは主に技術者派遣事業における2020年6月期以降の成長を見据えた積極的な人材採用やIoT事業における人材拡充、ソフトウェア投資等を実施したことなどが要因となっている。減価償却費やのれん償却の影響を除いた本来の収益力を示すEBITDA(償却前営業利益)ベースでは、前期比43.9%増益となった。 経常利益は保険解約返戻金や為替差益の計上等により営業外収支が前期比43百万円改善し、3期連続の増益となった。また、FUN to FUNののれんに関する減損損失89百万円を特別損失として計上したが、消費税等簡易課税差額収入515百万円(前期は365百万円)を特別利益として計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3期連続増益となり、過去最高益を更新した。 2. 事業セグメント別動向 (1) インソーシング・派遣事業 インソーシング・派遣事業の売上高は前期比60.8%増の16,836百万円、セグメント利益は同10.9%増の1,152百万円となった。2018年夏から秋にかけて発生した地震や台風等の影響により、一時的な生産活動の停滞があったものの、医療用機器や自動車部品、住宅設備等を中心に既存顧客での売上拡大や新規顧客の開拓が進んだこと、また、FUN to FUNが新たにグループに加わったことで大幅な増収となった。FUN to FUNの売上高は約46億円の上乗せ要因となっており、業種別で見ると食品で29億円、小売で11億円、その他で6億円の増収に寄与した。 利益面では、FUN to FUNの子会社化に伴うのれん償却額76百万円が減益要因となったものの、平山による増収効果並びに受注単価アップ、請負現場での利益率改善効果等でカバーし、増益となった。なお、FUN to FUNの営業利益率は1%を下回っているが、これは宿泊業や物流業など対象領域の拡大を図るため、積極的な人材採用による経費増が主因となっている。また、FUN to FUNの業績が当初計画を下回ったことから、のれんの一部を減損損失として計上しており、2019年6月期末ののれん残高は218百万円となっている。このため、2020年6月期以降ののれん償却額は54百万円に軽減する。 (2) 技術者派遣事業 技術者派遣事業の売上高は前期比18.3%増の1,308百万円、セグメント利益は同51.0%減の20百万円となった。売上高は、自動車等の輸送機器分野や通信機器分野からの引き合いが旺盛で2ケタ成長が続いたものの、今後の更なる成長を見据えた積極的な人材採用を行い、教育費用も含めた先行投資の増加が減益要因となった。 期末の従業員数は前期末比で53名増の255名と26%増加した。採用者数は56名(うち、国内39名)となり、国内においては新卒者を中心に当初計画の2倍の人員を確保でき、海外もミャンマーを中心に14名の新卒エンジニアを採用した。採用が順調に進んだ背景として、2018年より取り組んでいる未経験者育成プログラムや、グループ内企業における非技術系人材の技術者転換プログラムにより、定期的に技術系人材を育成する体制が整備されたことも一因として挙げられる。利益率が低いのはこうした先行投資により、販管費率が高くなっていることが要因となっている。 (3) 海外事業 海外事業の売上高は前期比24.3%増の2,222百万円、セグメント損失は13百万円(前期は20百万円の損失)となった。売上高の9割超を占めるタイにおいて自動車生産が回復するなかで、派遣需要も好調に推移した。ただ、現地企業との競争激化により、利益面では損失が続いた。このため、平山ホールディングス<7781>では採算性を重視した営業活動を進めているほか、工場の省人化・省力化に対応する生産支援設備の技術スタッフなど付加価値人材の派遣ニーズ取り込みに注力している。一方、ベトナム子会社については、コンサルティング事業及び教育事業が堅調に推移している。 (4) その他事業 その他事業の売上高は前期比107.5%増の473百万円、セグメント利益は同99.2%増の36百万円となった。主力の製造業向け現場改善コンサルティング事業は、日系企業の国内外の拠点から引き合いがあり増収増益となった。また、スタディツアー事業についても、ロシアや中近東の企業からの参加数が増えるなど堅調に推移した。 2018年12月に新たに子会社化した平和鉄工所については、売上高で1億円強、営業利益で約25百万円の上乗せ要因となっている。同社は製缶、機械加工、組立てを、一気通貫で自社内で対応できることを強みとしており、複雑・特殊な産業機械製作において高い技術力を有している。主要取引先は、三菱重工業<7011>や住友重機プロセス機器(株)、荏原製作所(荏原<6361>)、JR九州エンジニアリング(株)など大手企業で、子会社化により技術取得と技能人材の育成を行い、請負・派遣先の拡大を目指している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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