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後場に注目すべき3つのポイント~銀行経営不安は一時後退も懸念くすぶる

2023/3/28 12:22 FISCO
*12:22JST 後場に注目すべき3つのポイント~銀行経営不安は一時後退も懸念くすぶる 28日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。 ・日経平均は小幅続伸、銀行経営不安は一時後退も懸念くすぶる ・ドル・円は軟調、米金利の低下でドル売り ・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はKDDI<9433> ■日経平均は小幅続伸、銀行経営不安は一時後退も懸念くすぶる 日経平均は小幅続伸。20.58円高の27497.45円(出来高概算5億1093万株)で前場の取引を終えている。 27日の米株式市場でダウ平均は194.55ドル高(+0.60%)と3日続伸。地銀ファースト・シチズンが経営破綻したシリコンバレー銀行のローンや預金買収で合意したとの報道を受け、金融不安が緩和。経営難が懸念されているファースト・リパブリック銀行など他の地銀株、金融セクターも買われ、相場をけん引した。ダウ平均は終日堅調に推移した一方、長期金利が大きく上昇したことでハイテクは売りに転じ、ナスダック総合指数は-0.46%と反落。ダウ平均の続伸を受けて日経平均は96.95円高からスタート。しかし、海外時間に円安基調だった為替が円高に振れてきたこともあり、寄り付き直後から失速。27500円水準では戻り待ちの売りも根強く、上値を切り下げる展開となった。 個別では、みずほ<8411>、りそなHD<8308>、第一生命HD<8750>などの銀行や保険が大きく上昇。イラクのクルド人自治区からの原油輸出が一部停止したことなどによる原油市況の上昇を受けてINPEX<1605>、石油資源開発<1662>、コスモエネHD<5021>も大幅高。丸紅<8002>、神戸製鋼所<5406>、住友鉱<5713>の商社、鉄鋼、非鉄金属も高い。ブラジルでエアバッグなどの生産を強化すると発表した豊田合成<7282>は大幅に上昇。一方、米ナスダック安を受けてレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、ルネサス<6723>の半導体や、ラクスル<4384>、インソース<6200>、JMDC<4483>のグロース(成長)株の下落が目立つ。イビデン<4062>はレーティング格下げもあり下落。 セクターでは鉱業、銀行、保険が上昇率上位に並んだ一方、サービス、精密機器、陸運が下落率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の41%、対して値下がり銘柄は55%となっている。 今週から物色動向に変化が見られる。先週までは金融システム不安と景気後退懸念を背景に銀行・保険や不動産のほか、エネルギーなどの資源関連株、いわゆるバリュー(割安)株に属する銘柄が軟調だった。一方、米長期金利の低下を背景に半導体をはじめとしたハイテクやグロース(成長)株に強い動きが見られていた。 しかし、今週からはこうした傾向にリバーサル(株価の反転)の動きが確認されている。米ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズが経営破綻した米シリコンバレー銀行(SVB)の買収で合意したほか、米当局が緊急融資枠の拡張などさらなる銀行支援策を検討していると報じられたことで、金融システム不安が緩和していることが一つ要因として考えられる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長が「あらゆる規模の金融機関に対して全ての手段を講じる用意がある」などと発言したことも、安心感を誘っているもよう。 加えて、明日29日の配当・優待権利付き最終売買日を前にした権利取り狙いの買いや、権利取りに併せてヘッジ対応としてショート(売り持ち)していたバリュー株を買い戻す動きなどがこうした動きを強めているようだ。株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要が1兆円超発生する見込みであることも需給面での下支えとして意識されていそうだ。 一方、金融システム不安は完全に収束したとはいえない。昨日の米国市場でのセクター騰落率ランキングを見ると、銀行や保険、エネルギーなどが買い戻された一方、不動産は下落が続いている。リモートワークの普及でオフィス空室率がコロナ前に完全に戻り切らない中、今回の金融システム不安により、中小銀行が融資全体の6-7割をも占めるとされる商業用不動産向けの貸し出しは今後減退が想定され、不動産事業の行方が非常に気掛かりだ。今後も不動産向けエクスポージャーの大きい経済主体の動向を注視する必要があり、影響が実体化されるまでに時間がかかることを踏まえれば、不安定な相場が長引きそうだ。 27日に中国国家統計局が発表した中国1-2月工業利益は前年同期比22.9%減だった。統計局内の一部関係者は「工業生産が回復しても、市場の需要は完全には持ち直していない」とコメント。売上高の減少がコストの減少より大きく、企業の粗利益を圧迫していると指摘している。中国経済のリオープン効果についても、これまでの期待先行のフェーズから実態を見極めるフェーズへと移ってきたといえよう。 全体的に買い手掛かり材料に乏しい状況となっており、不安が一時的に緩和しても、株価指数が上値を追っていくイメージは持ちづらい。来期以降も明確な成長ストーリーがあり、株価チャートも冴えない指数対比でしっかりと上昇トレンドを描いているような個別株を選別し、長期目線で仕込むのが肝要な時期といえそうだ。 今晩の米国市場では、米3月コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表されるほか、米上院で米銀破綻に関する公聴会が開催される予定。ほか、半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジーが決算を発表する予定だ。 ■ドル・円は軟調、米金利の低下でドル売り 28日午前の東京市場でドル・円は軟調地合いとなり、131円56銭から130円57銭まで値を下げた。米利上げ休止の思惑が広がるなか米2年債利回りが低下し、ドル売り優勢となった。主要通貨は対ドルで強含んだが、クロス円はドル・円に連れ安した。 ここまでの取引レンジは、ドル・円は130円57銭から131円56銭、ユーロ・円は141円17銭から142円09銭、ユーロ・ドルは1.0795ドルから1.0819ドル。 ■後場のチェック銘柄 ・ゼネテック<4492>、元旦ビューティ工業<5935>など、3銘柄がストップ高 ※一時ストップ高(気配値)を含みます ・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はKDDI<9433> ■経済指標・要人発言 【経済指標】 ・豪・2月小売売上高:前月比+0.2%(予想:+0.2%、1月:+1.9%) 【要人発言】 ・ジェファーソン米連邦準備制度理事会(FRB)理事 「インフレ率は下がり始めている」 「これまでの引き締めの効果を完全に把握しようとしているところ」 ・リャン米財務省国内金融担当次官 「金融機関のストレス、2008年の世界的な金融危機と状況は大きく異なる」 <国内> ・13:00 黒田日銀総裁あいさつ <海外> 特になし 《CS》
関連銘柄 21件
1605 東証プライム
2,005
11/22 15:30
+25(%)
時価総額 2,524,568百万円
国内最大の石油・天然ガス開発会社。旧社名は国際石油開発帝石。石油元売り大手などが主要取引先。イクシスLNGプロジェクトなど世界約20カ国でプロジェクト展開。再生可能エネルギーの安定収益化などに取り組む。 記:2024/07/29
1662 東証プライム
1,090
11/22 15:30
+20(%)
時価総額 280,130百万円
石油開発最大手。日本政府が筆頭株主。北海道、秋田県、山形県、新潟県に油ガス田を保有。海外はイラク・ガラフ油田など。E&P事業は売上伸長。北米、中東における原油販売量の増加が寄与。人件費増が重し。 記:2024/09/04
4062 東証プライム
4,888
11/22 15:30
+125(%)
時価総額 688,529百万円
ICパッケージ基板で世界トップシェア。1912年に揖斐川電力として創業。岐阜県大垣市に本社。自動車排気系部品等のセラミック事業も。電子事業は生成AI用サーバー向けが順調。28.3期売上6500億円目標。 記:2024/06/15
4384 東証プライム
1,173
11/22 15:30
+28(%)
時価総額 69,175百万円
印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」、テレビCM・動画広告のプラットフォーム「ノバセル」の運営等を行う。ラクスルの累計登録ユーザー数は274万人超。27.7期EBITDA100億円目指す。 記:2024/10/25
4483 東証プライム
4,200
11/22 15:30
-46(%)
時価総額 274,470百万円
匿名加工化された疫学データを製薬会社や保険会社などに提供。国内最大規模の遠隔読影プラットフォーム、調剤薬局支援事業等も。オムロン傘下。健康情報プラットフォーム「Pep Up」の発行ID数は拡大続く。 記:2024/06/03
4492 東証スタンダード
517
11/22 15:30
+2(%)
時価総額 6,042百万円
システム開発等を行うシステムソリューション事業、3次元シミュレーションソフトウェアの販売等を行うエンジニアリングソリューション事業が柱。エンジニアリングソリューション事業ではDXソリューションを強化。 記:2024/08/19
6,733
11/22 15:30
+154(%)
時価総額 594,887百万円
コスモ石油、コスモエネルギー開発、コスモ石油マーケティングなどを傘下に収める持株会社。岩谷産業の持分法適用関連会社。再生可能エネルギー事業等も。半導体レジスト用樹脂など機能化学品の収益拡大に注力。 記:2024/08/10
5406 東証プライム
1,626.5
11/22 15:30
+7(%)
時価総額 644,657百万円
1905年創業の鉄鋼大手。鋳鍛鋼製品等の素形材、製鉄プラント等のエンジニアリング、油圧ショベル等の建設機械、電力事業等も手掛ける。等方圧加圧装置で世界トップシェア。鉄鋼部門では引き続き価格転嫁を推進。 記:2024/06/18
5713 東証プライム
3,823
11/22 15:30
-41(%)
時価総額 1,111,782百万円
総合非鉄素材メーカー。1590年創業。住友グループの源流。資源開発、銅など非鉄金属の製錬、機能性材料の製造・販売等を行う。材料事業では車載用電池材料の需要が底堅い。資源部門では菱刈鉱山が順調な操業継続。 記:2024/07/02
5935 東証スタンダード
2,075
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 8,005百万円
金属屋根製品の専門メーカー。住宅向けから大型建築物向けまで幅広く展開。自社品使用の屋根施工請負等も行う。神奈川県藤沢市に本社。フランチャイズ組織の始動により、一般住宅向け金属屋根製品の拡販を図る。 記:2024/10/25
6200 東証プライム
1,058
11/22 15:30
+27(%)
時価総額 90,187百万円
講師派遣型研修事業が主力。公開講座事業やITサービス事業、eラーニング・動画販売等も。取引先は製造業や官公庁関連など4万5000組織超。講師派遣型研修事業は中堅企業中心に民間企業の研修実施回数が順調。 記:2024/06/28
2,012
11/22 15:30
-3(%)
時価総額 3,763,677百万円
大手半導体メーカー。車載用マイコンで世界首位級。海外での大型買収により、電圧制御用や通信用の半導体を拡大。自動車向け事業は堅調。円安や自動運転支援、EV向け製品の売上が増加。米GaNパワー半導体会社買収へ。 記:2024/06/15
6857 東証プライム
9,447
11/22 15:30
+62(%)
時価総額 7,237,734百万円
SoC半導体用試験装置など半導体・部品テストシステム事業が主力。半導体検査装置で世界トップシェア。メカトロニクス関連製品の製造・販売等も。海外売上高比率は9割超。グローバル及びサポート力の増強図る。 記:2024/10/12
6920 東証プライム
17,280
11/22 15:30
±0(%)
時価総額 1,629,262百万円
半導体関連装置メーカー。シェア独占のEUVマスク欠陥検査装置に強み。FPD関連装置やレーザー顕微鏡なども手掛ける。High-NA向け含むACTISは引き合い旺盛。生成AI関連HBM向けは需要堅調。 記:2024/06/11
7282 東証プライム
2,549.5
11/22 15:30
-3.5(%)
時価総額 325,352百万円
トヨタ系自動車部品メーカー。エアバッグ等のセーフティシステム製品、ラジエータグリル等の内外装部品が主力。樹脂ターボダクト等も。トヨタグループ向け売上比率は6割超。米国で自動車用内外装部品の生産能力を増強。 記:2024/09/03
8002 東証プライム
2,395.5
11/22 15:30
+6.5(%)
時価総額 4,015,766百万円
大手総合商社。芙蓉グループ。生活産業、食料・アグリ、素材産業、エナジー・インフラソリューション、社会産業・金融分野などで事業展開。みずほリースと資本業務提携。総還元性向は30%~35%程度が目安。 記:2024/08/30
8308 東証プライム
1,247.5
11/22 15:30
+4.5(%)
時価総額 2,995,223百万円
りそな銀行を中核とする大手金融持株会社。クレジットカードや信用保証、リース事業等も。埼玉りそな銀行、関西みらい銀行なども傘下に持つ。収益・コスト構造改革の加速図る。26.3期当期純利益1700億円目標。 記:2024/10/28
3,835
11/22 15:30
-13(%)
時価総額 9,738,024百万円
みずほ銀行を中核とする銀行持株会社。みずほ信託銀行、みずほ証券、みずほリサーチ&テクノロジーズなども傘下に持つ。シンジケートローンなどに強み。配当性向は40%目安。26.3期連結ROE8%超目標。 記:2024/08/27
3,799
11/22 15:30
+20(%)
時価総額 3,918,095百万円
第一生命保険を中核とする持株会社。第一フロンティア生命保険、アイペット損害、ベネフィット・ワンなども傘下に持つ。既存進出国の資本効率改善などに取り組む。中期経営計画では27.3期ROE10%程度目標。 記:2024/08/30
9433 東証プライム
5,030
11/22 15:30
+35(%)
時価総額 11,024,985百万円
国内シェア2位の大手通信キャリア。auブランドの携帯電話が主力。沖縄セルラー電話、JCOMなどを傘下に持つ。ローソンへのTOBは成立。au PAYカードの会員数が944万人を突破するなど金融事業は順調。 記:2024/06/04
9983 東証プライム
49,020
11/22 15:30
+550(%)
時価総額 15,599,193百万円
世界的なアパレル会社。「ユニクロ」を主力に、「ジーユー」、「セオリー」等のブランドを世界中で展開。海外ユニクロ事業が成長の柱。グローバル化の加速、ジーユー事業などグループブランドの拡大などに注力。 記:2024/10/25