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2023年は英国政治の分岐点に【フィスコ・コラム】

2022/12/25 9:00 FISCO
*09:00JST 2023年は英国政治の分岐点に【フィスコ・コラム】 スナク英首相の政権運営は安定化しつつあるものの、総選挙を翌年に控えた2023年は イギリス政治にとって重要な分岐点になりそうです。物価の高止まりで生活苦が深刻化し、労働者のストライキが拡大。最大野党・労働党は政権奪還に向け勢いづいています。 2022年のイギリス政治は黒歴史として記憶されることでしょう。コロナ禍でのパーティー開催で非難を浴びたジョンソン氏が首相を辞任。保守党は後継の党首にトラス氏を選出しましたが、財政政策への不安で英国債利回りが急伸、ポンドは年初の高値から3割超安の1.03ドル台と1985年の変動相場制移行以来、最安値を更新しました。トラス政権は史上最短となる45日で退陣に追い込まれました。 後を継いだスナク首相は米投資銀行での勤務経験を持ち、マーケットの安定化に努めました。増税や歳出削減を中心に財政の健全化に主眼を置いた政策を進めており、英長期金利の過度な上昇を抑制しました。その一方で、金融市場を味方につけつつも、国民からの批判は高まりつつあります。光熱費や食品の価格は高騰し、直近の消費者物価指数(CPI)は前年比+10%を超える記録的な高水準が続いています。 インフレはピークアウトしつつあるものの、高止まりのため生活を圧迫する要因となっており、消費を抑制し続けています。イギリスではインフレに賃金の上昇が追い付かないため、賃上げを求めるストライキが頻発しています。最近では鉄道や郵便局、空港の職員から看護師、救急隊員などにまでストライキは拡大しています。こうした大規模なストが今後も長引けば、国民生活にも影響しそうです。 そうしたなか、12月1日にイングランド北西部のチェスターで行われた下院補欠選挙で、野党・労働党の候補が圧勝。スナク首相は保守党の党首就任後初となる選挙で敗れ、与党への不満が表出した格好です。労働党のスターマー党首は「労働党がもたらす変化を求めているという明らかなメッセージ」と指摘。その後、次期総選挙での政権奪還に向けた40項目の政策を公表しています。 労働党は2010年の総選挙で保守党に敗れるまで、1997年から13年間にわたりブレア、ブラウンの両氏による政権を維持しました。直近の世論調査では、労働党の支持率が保守党を大幅にリードし、2024年までに行われる総選挙が注目されます。2023年のスナク政権は国民生活に主眼を置いたインフレの抑制がテーマとなりそうです。そして、成果を上げられなければ政権交代が意識されることになるでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》