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ドル円はピーク越えか【フィスコ・コラム】
2022/11/13 9:00
FISCO
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*09:00JST ドル円はピーク越えか【フィスコ・コラム】 ドル・円相場のピーク越えの可能性が高まっています。インフレ高止まりで連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めは長期化の見通しですが、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)のおおよその水準に見当がつくなか、米金利の上昇に一服感が強まれば徐々に上値を切り下げそうです。 FRBは11月1-2日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.75%ptの大幅利上げを継続。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で次回12月のFOMCでの利上げ幅縮小の可能性に言及しながらも、利上げの頂点は従来より高くなると指摘しています。利上げ停止の議論は「時期尚早」とし、市場に広がっていた引き締め鈍化の見方には否定的でした。 その2日後に発表された米10月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想外に増加し、景気回復が示されました。半面、失業率は予想以上に上昇。NY株式市場では、雇用情勢の回復一服を受け、FRBの引き締め方針を後押しする強い要因にはならないとの見方から買戻しが強まっています。こうした中、さらに10日の米10月消費者物価指数(CPI)の予想以上の減速を受けて金利安・ドル安の動きが強まり、ドル・円は支持線とみられていた145円を割り込んでいます。 やはり、引き締め一辺倒だったFRB当局者の間でも、ここへきて意見が分かれていることがドル高失速の要因とみられます。リッチモンド連銀のバーキン総裁は好調な雇用情勢とインフレの継続を挙げ、ターミナルレートを5%超に引き上げる必要性を強調。一方、エバンス・シカゴ連銀総裁やデーリー・サンフランシスコ連銀総裁らは大幅利上げの継続には慎重なスタンスです。そうした見解を受け、米金利安・ドル安が目立ってきました。 景気を過熱も冷却もしない中立水準は2.5%とされ、現在は3.75-4.00%とそれを上回っています。FRBは景気を押し下げるレベルまで引き締めを強めインフレを抑止したい意向で、その到達点をめぐる議論が交錯しています。目下、ターミナルレートは5%ちょうど前後とみられていますが、今後新たな高官発言などで上昇することがあれば金利高・ドル高が再開すること可能性はありそうです。 とはいえ、利上げのピークはそう遠くないとの思惑が広がれば、これまでのドル買いは抑制されるはず。同時に、年末商戦を迎えるタイミングでインフレや引き締めの影響により消費の減退が顕著になれば、再びマイナス成長に陥るシナリオを想定しなければなりません。少なくとも、米中間選挙で民主党は下院で過半数を維持できず、2年後の大統領選でも苦戦が予想されるため、金融政策への批判を強めるでしょう。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《YN》
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