マーケット
11/22 15:15
38,283.85
+257.68
44,296.51
+888.04
暗号資産
FISCO BTC Index
11/23 21:15:18
15,224,976
フィスコポイント
保有フィスコポイント数
  
今月フィスコポイント数
  

米中覇権争い・台湾有事に備えはあるのか、中国依存度の高い企業【世界のリスクと上場企業】

2023/4/24 10:29 FISCO
*10:29JST 米中覇権争い・台湾有事に備えはあるのか、中国依存度の高い企業【世界のリスクと上場企業】 中国が経済的な実力をつけ、米国と対峙することが可能となった現在、台湾有事は起こり得る地政学リスクとして受け止められつつある。 台湾へ侵攻すれば、中国は制裁によってロシアが現在進行形で支払っているような高い経済的コストを支払うことになる。したがって、ロシアがウクライナにしたように、中国が台湾に軍事侵攻する可能性は、常識的に考えれば低そうに思える。ただし、その経済的コストを支払ってでも、統一をすぐさましなければならない事態が発生した際、台湾有事が発生する蓋然性が高くなる。例えば、台湾の中で独立機運が高まるようであれば、香港のように中国が軍事介入するだろう。ロシアのウクライナ侵攻は「常識的な判断」の定義は国によって変わることを教えてくれた。 さらに、様々なシミュレーションがあるものの、中国の軍隊は、台湾へ軍事侵攻し、制圧する能力があるとも言われている。つまり、オペレーション自体はロシアのウクライナ侵攻よりも、中国の台湾侵攻のほうが成功する可能性が高いのだろう。現在、中国による台湾侵攻が、最早十分起こり得る地政学リスクと受け止められているのはこうした背景がある。 実際に台湾有事が起きれば、日本経済もダメージを受けることは間違いない。ロシアが日本を含めた西側陣営の国の企業資産を接収したように、中国も日米が台湾側につくのであれば、日米企業の中国国内資産は接収されるだろう。また、ウクライナ侵攻でロシア向け事業が停止したように、中国向けの事業も停止するだろう。 近年までは、その台湾有事のリスクはさほど蓋然性が高いとは見られてこなかったが、日米が政府の資金を使って台湾のTSMCの工場を誘致する等、西側諸国はそのリスクが顕在化することを想定したアクションを起こしている。そのような状況下、本稿では、日本の上場企業の中で、売上の中国依存度が高い企業を抽出し、日本企業の中国リスクに対する脆弱性を測りたい。 対中国売上依存度トップ10企業 順位  銘柄コード 社名  売上高のうち中国が占める割合 GICS(※)産業セクター 1    6620  宮越ホールディングス   100.0%     不動産管理・開発 2    4936  アクシージア       91.3%     パーソナル用品 3    7717  ブイ・テクノロジー    78.8%     電子装置・機器・部品 4    7820  ニホンフラッシュ     74.4%     建設関連製品 5    6246  テクノスマート      69.9%     機械 6    6101  ツガミ          67.6%     機械 7    7859  アルメディオ       63.4%     電子装置・機器・部品 8    7229  ユタカ技研        61.1%     自動車部品 9    3422  J-MAX           57.8%     自動車部品 10   6327  北川精機         56.9%     機械 (※)GICS: Global Industry Classification Standardの略称、米S&Pと米MSCIが共同で行っている産業区分 出所:各社の決算短信、有価証券報告書、IR説明資料等 全上場企業を対象に、直近年度連結売上高のうち、中国の占める割合トップ10を上表にリスト化した。1位の宮越ホールディングス<6620>、2位のアクシージア<4936>は特殊に見えるが、全般的に、電子機器、機械、自動車部品の小型株が上位を占めている。 中国依存度が高い上場企業の特徴(依存度トップ100社の集計結果) 「直近年度決算期・中国依存度トップ100社の集計結果」 GICS産業セクター   中国売上高合計値(百万円) 社数 電子装置・機器・部品 1,736,491 24 機械              911,182 23 半導体・半導体製造装置 1,212,997 14 自動車部品    794,334 11 化学 103,513 5 電気設備 569,331 4 商社・流通業 98,885 3 家庭用耐久財 1,155,169 2 ヘルスケア機器・用 98,714 2 繊維・アパレル・贅沢 23,515 2 金属・鉱業 21,905 2 パーソナル用品 21,109 2 ホテル・レストラン・外食 36,793 1 建設関連製品 24,608 1 商業サービス・用品 17,102 1 食品・生活必需品小売 5,640 1 エネルギー設備・サービス 3,447 1 不動産管理・開発 1,407 1 出所:各社の決算短信、有価証券報告書、IR説明資料等 1,中国企業の台頭が目立つセクターを顧客に持つ業種が上位 GICS産業セクター別では、電子装置・機器・部品セクターが24社、半導体・半導体製造装置セクターが14社と多くを占める。液晶及び有機ELディスプレイ世界シェア1位のBOEテクノロジー、半導体ファウンドリで世界シェア4位のSMIC等、中国の電子系製造業事業者の台頭が著しいが、中国売上依存度が高い日本の装置メーカーはそれらの成長を取り込んだ(あるいは日本の同事業者が衰退した)結果、中国売上依存度が高くなったことが言える。 基本的には中小型が多いが、TDK<6762>(依存度:55.7%)、ディスコ<6146>(依存度:37.2%)、東エレク<8035>(依存度:28.3%)等、大企業もいくつか存在し、上記2セクターのどれちらかに相当する。これらの企業は、台湾有事が起きた際に、中国向け輸出分の多くを失う可能性があり、後者のセクターでは、すでに米国による中国への輸出制限措置がとられている。 2,自動車向け設備・部品メーカーが多い GICS産業セクター別では、機械が23社、自動車部品が11社と、中国売上依存度トップ100社の多くを占めるが、前者の内訳をみてみると、工作機械が多い。おそらく、日本の自動車メーカー(トヨタ<7203>やホンダ<7267>等)が中国に製造工場を持っているため、それらに対する供給が中国からの売上高として多く計上されていることも関係しているものと考えられる。こちらは、目立った大企業はファナック<6954>(依存度:31.1%)といったところで、多くは中小型に分類される企業が多い。中国向け輸出として計上はされていないが(多くは現地工場をもっているため)、台湾有事の際には、会社としての中国向け売上は消失し、現地資産は接収されるリスクが高い。 3,中国に強いコミットメントをしている企業が上位 中国依存度トップの宮越ホールディングス<6620>(依存度:100%)は勿論、同4位のニホンフラッシュ(依存度:74.4%)は、時価総額で200~300億円のいわば中小型株に分類されるが、中国に現地法人を持っている。2位のアクシージア<4936>(依存度:91.3%)は、経営トップが中国人。1、2の産業セクターに相当しない企業で、依存度上位企業はこのパターン。このような企業は台湾有事が起きた際、抜本的な措置を講じる必要が出てくる可能性がある。 近年、政府要請と企業自身の危機意識の高まりによって、日本を代表する企業(三菱電機<6503>、デンソー<6902>、NEC<6701>、パナHD<6752>、富士通<6702>等)で、経済安全保障担当の部署と担当役員を設置するケースがみられる。地政学リスクが発生しない世界では、そういった部署を設置する経済的合理性はないが、企業は地政学リスクを真剣に受け止め始めているといえよう。 《TY》
関連銘柄 13件
4936 東証プライム
578
11/22 15:30
+9(%)
時価総額 14,547百万円
目元ケア、フェイスケアの基礎化粧品等の販売を行う。美容ドリンク等の美容サプリメントも。「AGTHEORY」、「AXXZIA」が主力ブランド。第3市場で販売強化推進。27.7期売上高192億円目標。 記:2024/10/29
6146 東証プライム
42,590
11/22 15:30
+210(%)
時価総額 4,613,221百万円
半導体の精密加工装置、精密加工ツールの製造・販売を行う。1937年に広島県呉市で創業。ダイシングソーなどで世界トップシェア。パワー半導体向け中心に精密加工装置は出荷順調。生産能力の強化、効率化推進。 記:2024/06/28
6503 東証プライム
2,584
11/22 15:30
-16(%)
時価総額 5,460,514百万円
総合電機メーカー大手。FAシステムや自動車機器のインダストリー・モビリティ部門、ビルシステムや空調・家電のライフ部門が柱。重電システム、人工衛星等も。インフラ部門では防衛・宇宙事業等にリソース投入。 記:2024/10/07
6620 東証プライム
1,874
11/22 15:30
-55(%)
時価総額 74,988百万円
中国・深センで不動産の賃貸管理、開発事業を展開。深センでワールド・イノベーション・センタープロジェクトを進める。深セン市政府の委嘱を受けて企業誘致を行う。不動産賃貸管理事業の収益基盤強化などを図る。 記:2024/07/28
6701 東証プライム
12,265
11/22 15:30
-5(%)
時価総額 3,346,505百万円
大手ITサービス会社。1899年設立。システム構築等のITサービス事業、ネットワークインフラ等の社会インフラ事業が柱。顔・虹彩などの生体認証に強み。クラウド、モダナイゼーション、生成AIなどの強化図る。 記:2024/08/10
6702 東証プライム
2,757
11/22 15:30
+16(%)
時価総額 5,710,045百万円
国内最大のITサービス企業。1935年設立。通信インフラやストレージ、サーバー、電子デバイスを展開。官公庁、金融向けに強み。成長領域のサービスソリューションに注力。欧州の構造改革は25年度に完了予定。 記:2024/10/20
1,551
11/22 15:30
+31(%)
時価総額 3,806,846百万円
電機大手のパナソニックを中核とする持株会社。1918年創業。家電や住宅設備、AV機器、デジカメ、電子部品、産業電池・車載用電池等を手掛ける。配当性向30%目安。車載電池、空質空調等を投資領域に位置付け。 記:2024/09/02
6762 東証プライム
1,875.5
11/22 15:30
-6.5(%)
時価総額 3,645,709百万円
大手電子部品メーカー。1935年創業。二次電池などエナジー応用製品が主力。スマホ内臓バッテリーで世界トップシェア。海外売上高比率は9割超。高収益事業の強化図る。中計では27.3期売上高2.5兆円目標。 記:2024/08/29
6902 東証プライム
2,267.5
11/22 15:30
-19(%)
時価総額 7,146,661百万円
トヨタ系自動車部品メーカー。1949年にトヨタから分離独立。サーマルシステム、パワトレインシステム等を手掛ける。インバータで世界トップシェア。FA関連等の非車載事業も。電動化製品、安心・安全製品を拡販。 記:2024/10/07
6954 東証プライム
4,114
11/22 15:30
+13(%)
時価総額 4,095,154百万円
CNCシステムなどのFA事業、ロボット事業、ロボマシン事業を展開。富士通のNC部門が分離・独立して1972年に誕生。CNCで世界シェアトップクラス。海外売上高比率は8割超。配当性向は60%が基本方針。 記:2024/09/02
7203 東証プライム
2,664.5
11/22 15:30
-10(%)
時価総額 42,085,743百万円
自動車メーカー最大手。カローラ、クラウン、プリウスなど人気車種多数。ダイハツ工業、日野自動車等を傘下に持つ。海外販売台数比率は7割超。グローバル生産累計3億台超。ソフトウェア、AIなどへの投資を加速。 記:2024/08/01
7267 東証プライム
1,362.5
11/22 15:30
+17(%)
時価総額 7,194,000百万円
自動車と二輪車の大手。二輪車は世界トップ。船外機や発電機、航空機などエンジン搭載の多商品を展開。四輪事業は伸長。主力の北米を中心に販売台数が増加。二輪はアジアが好調。中国の持ち分法適用会社が伸び悩み。 記:2024/07/03
8035 東証プライム
22,250
11/22 15:30
+470(%)
時価総額 10,493,834百万円
世界的な半導体製造装置メーカー。TBSの出資で1963年に設立。塗布現像、ガスケミカルエッチング、拡散炉などで世界トップシェア。配当性向50%目処。研究開発投資を積極化。固定費の最適化などにも取り組む。 記:2024/07/07