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確定申告スタート! 「仮想通貨税務セミナー」の取材に潜入レポート

2018/2/19 8:17 FISCO
*08:17JST 確定申告スタート! 「仮想通貨税務セミナー」の取材に潜入レポート 2018年2月11日(日)13時から、東京・両国の江戸東京博物館から近い、第一ホテル両国と同じビルにある10階のKFCHALLで、XBANK.inc.主催による「仮想通貨税務セミナー」が開催された。配布された資料には、「億り人」が「送り人(マルサ)」に「あの世(刑務所)」に送られないように、確定申告だけはしてね、と記されてあった。講師を務めたのは、スタートアップ会計事務所/スタートアップ社会保険労務士事務所の代表税理士である大堀優氏。セミナーのナビゲーターは、「ボリ平」さんこと矢澤明美さん。参加者は、会場とオンラインの双方合わせて、約150人前後であった。 セミナーの冒頭、主催のXBANK.inc.の創業者で最高経営責任者の中西威人氏が「XBANK.comでは、仮想通貨の開発を行っています」とあいさつをして、セミナーが始まった。 登壇した大堀優氏はのっけから、「石原さとみが話していると思ってもらうと、税金の話も柔らかくなりますので、ちなみに私が好きなのは深田恭子です」と、聴衆に軽いジャブを放って、会場の雰囲気をリラックスさせた。 □所得税の税率は最大45% 大堀優氏はまず、「仮想通貨の税率って何?」というテーマから話を始めた。課税される所得額が195万円いかだと税率は5%で、控除額は0円だが、これが4000万円超になると、税率は最大是率の45%で計算され、控除額は479万6000円。さらにこれに、10%の住民税が一律課税されると説明した。次に、仮想通貨の所得税の所得区分は10種類にわかれていて、仮想通貨の所得は雑所得に分類されると。 □事業所得と雑所得には大きな差がある 次に事業職と雑所得の違いを述べる。なかでも、損益通算に関しては図表を示しながら、事業所得の場合は、給与所得が1000万円あり、事業所得で1000万円の赤字を出したらそれが、給与所得の1000万円と相殺されて、所得は0円となり、税金も0円。しかし、雑所得の場合は、同じようなケースでは、二つの所得が相殺できず、給与所得の1000万円が課税される。この場合、1000万円×43%で、税金は430万円(住民税込み)となる。 さらに、事業所得と雑所得の違いについて、今度は、「繰り越し損失」について触れた。事業所得の場合は、3年間、損失が繰り越しできるが、雑所得の場合は、繰り越しができない。 したがって、税金の面からいえば、雑所得よりも、事業所得にするほうが断然有利なのだが、事業所得にするためには、次のような要件をクリアしなければならない。その要件は7つある。 1.営利性・有償性の有無 2.継続性・反復性の有無 3.自己の危険と計算における事業遂行性の有無 4.その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度 5.人的・物的役割の有無 6.その取引の目的 7.その者の職歴、社会的地位、生活状況 などである。これらの項目を総合的に判断して、「社会通念上、事業といいえるか否かによって判断」されるのだ。だから、個人で仮想通貨の取引を行っている人のほとんどは、事業所得とは認められない、と言っても過言ではない。 □仮想通貨の所得計算 では、具体的に、仮想通貨の取引で税金が発生するケースをみてみよう。まず、1.仮想通貨の売却についてである。たとえば、2月16日に200万円で4ビットコインを購入し、2月20日に0.2ビットコインを11万円で売却したとする。この場合、仮想通貨の売却価格と取得価格の差が所得金額になる。所得金額は、111,000円−(2,000,000万円÷4ビットコイン)×0.2ビットコイン=10,000円となり、これに税金がかかることになる。つまり、ビットコインを買った時の1ビットコインの価格が50万円だから、0.2ビットコインだと取得価格は100,000円となり、その0.2ビットコインの売却価格のが110,000円から、原価となる100,000円を引いた残り10,000円が所得金額になる、というわけである。 では次に、仮想通貨で商品を購入した場合も税金がかかる。たとえば、2月16日に200万円で4ビットコインを購入し、2月20日に15万5000縁の商品を購入するのに、0.3ビットコインを使って支払ったとしよう。この場合、取得した商品の価格と仮想通貨の取得価格の差が所得金額となる。したがって、155,000円−(2,000,000円÷4ビットコイン)×0.3ビットコイン=5,000円となり、所得金額は5,000円で、これに税金が課せられる。 次に、仮想通貨と仮想通貨を交換した場合はどうなるだろうか。たとえば、2月16日に200万円で4ビットコインを購入し、2月20日に1リップルと交換するのに、1ビットコインを使用した。その時に、1リップルの価格は60万円だったとする。この場合、仮想通貨を交換・決済した他の仮想通貨の時価(購入価格)と、自分が保有する仮想通貨の取得価格(原価)の差が所得金額になる。したがって、このケースでの計算式は、購入価格600,000円−(2,000,000円÷4ビットコイン)×1ビットコイン=100,000円だから、所得金額は10万円となり、これに所得税がかかることになる。 大堀優氏は次に、仮想通貨の税務の計算方法として、2つ認められている、と話した。ひとつは「移動平均法」といわれる計算方法で、もうひとつは「総平均法」である。移動平均法は次の図のように計算する。 出典:スタートアップ会計事務所 一方、総平均法は下図のように計算する。 出典:スタートアップ会計事務所 所得金額の計算にはどちらの計算方法を使っても良いが、気をつけなければいけないことは、選んだ計算方法でずっと計算し続けなければならないことである。2018年の確定申告は移動平均法で行うが、2019年の確定申告には総平均法を使う、というわけにはいかない。計算方法によっては不利な条件になることもあるので、気になる点は税務署でも、税理士でも相談をしたほうがいいと、大堀優氏は注意喚起をする。 次に、仮想通貨の分裂によって得た仮想通貨の場合はどうか。その場合は、分裂した時点での取得に関しては価格がないので、取得価格は0円となる。その後、取得した仮想通貨を売却または使用した時点で所得が生じることになるが、その時の取得価格は0円で計算することになる。 さらに、仮想通貨の証拠金取引は、FXのように申告分離課税となるかとえば、これは現時点でではあくまでも雑所得扱いである。また、仮想通貨のマイニングで得た場合はどうなるか。その場合は、事業所得か雑所得の対象になる。この場合の所得金額は、収入金額(マイニング等によって取得した仮想通貨の取得時点での時価)から、必要経費(マイニングなどにかかった費用)を差し引いた金額になる。また、マイニングで得た仮想通貨を売却または使用した時の取得金額は、マイニングで得た時点での価格で計算する。 □ペナルティを覚悟 もし、確定申告が遅れたらどうなるか。当然、税務当局はペナルティを課してくる。延滞税をはじめ、無申告加算税、重加算税がかかってくる。延滞税は、納期限から2カ月以内だと、原則年7.3%、2カ月を過ぎると年14.6%の延滞税がかかってくる。さらに、申告をしてないのがわかったら、無申告加算税がかけられる。この場合、50万円までは10%、50万円を超える部分については15%がかかる。さらに重いのが重加算税だ。仮装隠蔽行為が見つかったら、最大50%が課税される。いずれも、7年間を遡って調べられるので、必要な書類等は保存しておくことが大事だと、大堀優氏は強調する。 その後、節税対策や会社設立などに触れて、休憩に入った。約10分間の休憩後、会場参加者からあらかじめ提出されていた質問事項に答えるかたちで、大堀優氏の解説が続いた。 たとえば、「一部で、アルトコインからビットコインへの両替は利確にならないという話しもあるが、実際はどうでしょうか」という質問に、大堀優氏は「離隔になります」と。また、「日本で買った仮想通貨を海外の取引所で交換や売却をした場合、課税はどうなるか」という質問には、「日本円に計算をしなおして申告する必要がある」と答えた。そうやって、いろいろな質問に答える内に時間切れとなり、セミナーは終了。参加者の懇親会にうつった。 【ニュース提供・エムトレ】 《HT》