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「先物手口」で見える海外勢の動向は?
2020/6/2 12:29
FISCO
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[日経平均株価・TOPIX(表)] 日経平均;22248.05;+185.66TOPIX;1583.61;+14.86 [後場の投資戦略] 本日の日経平均は米株高の流れを引き継いで続伸し、前場中ごろ過ぎにはおよそ3カ月ぶりに22300円台に乗せる場面もあった。おおむね朝方の市場関係者の予想に沿った動きだろう。売買代金上位を見ると、日経平均が200円前後上昇しているとあって、戻り途上にあるシクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)が堅調。米中対立を巡る懸念が拭えず、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落したため、ハイテク株の一角は小安いがまずまず底堅い印象だ。業種別騰落率を見ると、景気敏感系セクターとともに、経済再開への期待から小売業や陸運業が堅調。その他のディフェンシブセクターはやや売り優勢となっている。ここまでの東証1部売買代金は1兆1000億円あまりとやや低調。 新興市場では前日、マザーズ指数がおよそ1年半ぶりに1000pt台を回復。本日は目先の達成感から利益確定の売りも出ているようだが3日続伸している。月足チャートなどを見ると長期調整トレンドが明確に転換し、反騰に弾みが付くとの期待もあるだろう。 アジア株式市場に目を向けると、本稿執筆時点で香港ハンセン指数が小高い一方、中国・上海総合指数は小幅ながらマイナスで推移している。やはり米中対立への懸念がある程度上値の重しになっているとみられる。米国でトランプ大統領がデモに対する強硬姿勢を示している点も気掛かり。22300円にタッチしたことで本日はひとまず上げ一服の感もあり、後場の日経平均は堅調もみ合いが続くとみておきたい。 さて、先週末の当欄で述べたとおり、5月第3週(18~22日)の投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家は現物株・株価指数先物を合わせた総合で15週ぶりに買い越しへ転じた。これが日経平均の21000円台回復の原動力になったとみられるが、その後も日経平均の上昇が続くことから、先物手口などを見て海外投資家の足元の動向を探りたい。「今後株高がどこまで続くか」を見極めるためにも有益だろう。 すると、日経平均が21000円台を回復する以前はメリルリンチ日本証券やJPモルガン証券といった外資系証券が東証株価指数(TOPIX)先物を売り越す日が多く見られた一方、21000円台回復後はクレディ・スイス証券(CS)やゴールドマン・サックス証券(GS)が日経平均先物を買い越す日が散見されるようになってきた。CSなどはかねて商品投資顧問(CTA)など短期筋の手口との見方が有力。なお、CTAが取引で用いるシステムでは先週から株式の買い持ちを促すシグナルが点灯し始めたとの情報もあり、CSの買い越しと符合するだろう。GSも直近で株式の買い推奨に転じたもようで、ヘッジファンドが先んじて売り持ち高の解消あるいは買い持ち高の積み上げに動いた可能性はありそうだ。 反面、メリルなどは長期投資志向の「実需筋」の手口との見方が多い。これら投資家はコロナ禍で世界的な景気悪化に対する懸念を強めていた。なお、前日も株高局面ながらメリルはTOPIX先物を売り越しており、海外実需筋は足元でなお慎重姿勢を崩していないのかもしれない。 こうして見ると、海外勢はなお全員参加で買いに傾いたわけでなく、一段の株高余地が残るものと考えられる。ただ、短期筋の動きが活発化しだしたとなると、前日の後場のようにやや荒い値動きとなる場面が増えてくる可能性もありそうだ。(小林大純) 《AK》
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