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日経平均は続伸、再びグロース株が脚光を浴びる時は来るか

2022/5/23 12:15 FISCO
*12:15JST 日経平均は続伸、再びグロース株が脚光を浴びる時は来るか  日経平均は続伸。132.98円高の26872.01円(出来高概算5億6697万株)で前場の取引を終えている。  先週末20日の米株式市場でNYダウは8.77ドル高とほぼ横ばい。都市封鎖で景気後退が懸念されている中国において、中国人民銀行(中央銀行)が景気下支えを目的とした利下げを実施したことで世界経済の鈍化懸念が緩和。ただ、米国経済が来年にも景気後退入りするとの根強い懸念が上値抑制要因に。一方、オプション取引の満期日に伴うテクニカルな動きも見られ、荒い展開の末に引けにかけてNYダウは再びプラス圏を回復。ナスダック総合指数は-0.29%と3日続落した。ただ、週明けの日経平均は、時間外取引の米株価指数先物が堅調に推移していたことを支援要因に252.39円高からスタートすると、一時27000円を回復。国内大型連休後の新型コロナ新規感染の警戒感後退や6月からの水際対策緩和による経済回復への期待も寄与。ただ、戻り待ちの売りが根強く、前引けにかけては上げ幅を縮めた。  個別では、川崎汽船<9107>や郵船<9101>など海運株が強い。武田薬<4502>、OLC<4661>、資生堂<4911>、花王<4452>など内需関連の一角も買われている。決算や自社株買いが評価された東京海上<8766>、SOMPO<8630>は大幅に上昇。業績・配当予想を上方修正したミタチ産業<3321>、高水準の自社株買いを発表した高周波熱錬<5976>なども急伸。一方、農業機械メーカーの米ディアが決算を受けて急落したことが嫌気され、クボタ<6326>、コマツ<6301>が大幅に下落。JFE<5411>やINPEX<1605>などの市況関連株の一角も軟調。上値追いが続いていた三菱重<7011>やIHI<7013>も利食い売りから大幅安となっている。  セクターでは保険、海運、その他金融などを筆頭に全般買い優勢。鉱業、機械、空運、鉄鋼の4業種のみが下落している。東証プライムの値上がり銘柄は全体の70%、対して値下がり銘柄は26%となっている。  週明けの日経平均は、一時1%を超える上昇率で推移していたナスダック100先物に支えられながら、27000円を回復する場面があった。一方、先週18日に続き、27000円に乗せた後はすぐに再び同水準を割り込んでおり、戻り待ちの売りが依然として根強い印象。25日、75日移動平均線上での動きにはなっているが、前引けにかけて上げ幅を縮め、陰線を形成しているあたり、押し目買いの動きにも力強さが感じられない。  物色動向としては、鉱業や商社株、鉄鋼のほか、上値追いが続いていた三菱重工やIHIといった重厚長大産業の銘柄などで軟調なものが多い一方、ハイテク・グロース(成長)株は全体的に上昇している銘柄が多く、リバーサル(株価の反転)的な動きが確認されている。また、全体的に煮詰まり感が強いなか、値動きの軽い中小型株が物色されているようで、マザーズ指数が他の指数対比で強い動きとなっている。  先週末20日、米10年債利回りは2.78%(-0.06pt)と、およそ1カ月ぶりに2.7%台まで低下。5月6日の3.14%からは大きく水準を切り下げてきた。また、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も同日、2.55%(-0.04pt)とおよそ3カ月ぶりの水準にまで低下、4月21日の3.02%からの低下幅は著しい。従来はインフレ高進を背景とした「期待インフレ率上昇・金利急伸」に対する懸念が強かったことを踏まえれば、これだけ金利と期待インフレ率が低下しているのは株式市場にとっては好都合かと思われるが、実際はそうなっていない。  先週から市場関係者の間でも話題になっているが、相場の関心事は金利を中心とした金融政策の動向から、景気後退懸念など実体経済への方に移ってきているようだ。記録的なインフレがもたらす実体経済への影響が警戒されるなか、株式市場は景気後退懸念を映した金利低下を好感できない様子。同時に連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念もくすぶっていれば、こうした市場の反応も致し方のないことだろう。  一方、微かな希望の光も一部で見えている。20日、タカ派で有名なセントルイス連銀のブラード総裁は、年末までに政策金利を3.5%にすべきとの積極的な利上げを引き続き主張した一方、そうした利上げが奏功すれば、インフレを鈍化させ、2023年ないし24年に利下げに動くこともあり得るとコメントした。  インフレ指標が記録的な高止まりを続けているなか、こうした発言を今の時点では素直にポジティブな材料として捉えることは難しいだろう。しかし、これまでタカ派化への進展まっしぐらで、再緩和への言及などもっての外といった姿勢を見せていたFRB高官の一人から、こうした発言が聞かれるのは大きな材料だと考えられる。  6月から始まる、かつてないペースで進められる量的引き締め(QT)の相場への影響なども分からないなか、まだまだ強気には転じにくいが、期待インフレ率と米長期金利が明確に低下傾向を示し、景気後退懸念も強まるなか、FRB高官から“再緩和”への言及も聞かれたことを考慮すると、この先、再び売り込まれてきたグロース株が注目される可能性がある。今年4月、コロナショック後に初めてプラスに転じた米10年物実質金利が、足元では0.25%前後での推移で落ち着きを見せてきていることも安心感を誘う。  記録的なインフレ高止まりと積極的な金融引き締めにより、長らく続いてきたグロース株優位の相場局面は大きな転換点を迎えたとも言われており、上述のような筆者の主張は時期尚早な面は否めないだろう。ただ、足元では独り勝ちの様相を呈してきたコモディティ関連からも資金が流出し始めているとの指摘も聞かれている。買ったまま(空売りしたまま)放っておけば利益が出るような簡単でない相場状況であるからこそ、コモディティ関連からグロース株に物色が移る局面が短期的にはあったとしても不思議ではないだろう。  午後の日経平均はもみ合いが続きそうだ。米株市場では急落後の反発力が鈍い動きが続いており、まだまだ相場は弱気な状態にある。時間外取引の米株価指数先物は上昇しているが、今晩の米株市場の動きは蓋を開けてみないと分からず、模様眺めムードも漂いやすい。アジア市況も軟調ななか、午後の東京市場では積極的な買いは見られにくいだろう。(仲村幸浩) 《AK》
関連銘柄 16件
1605 東証プライム
2,005
11/22 15:30
+25(%)
時価総額 2,524,568百万円
国内最大の石油・天然ガス開発会社。旧社名は国際石油開発帝石。石油元売り大手などが主要取引先。イクシスLNGプロジェクトなど世界約20カ国でプロジェクト展開。再生可能エネルギーの安定収益化などに取り組む。 記:2024/07/29
3321 東証スタンダード
1,130
11/22 15:30
-1(%)
時価総額 9,000百万円
電子デバイス専門のエレクトロニクス商社。取り扱いメーカーは700社超。自動車分野が主要取引先。自社ブランド開発なども。愛知県名古屋市に本社。モビリティ分野の取り組みを強化。27.5期売上1000億円目標。 記:2024/10/24
4452 東証プライム
6,208
11/22 15:30
+10(%)
時価総額 2,892,307百万円
トイレタリー国内最大手。衣料用洗剤や食器用洗剤、サニタリー製品、スキンケア製品、化粧品のほか、油脂製品等のケミカル事業も手掛ける。バスクリーナーは高付加価値製品が好調。ヘアケア製品などは売上が順調。 記:2024/06/11
4502 東証プライム
4,113
11/22 15:30
-8(%)
時価総額 6,543,528百万円
国内製薬最大手。1781年創業。潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤など消化器系疾患領域が柱。アイルランドの製薬大手「シャイアー」等を傘下に持つ。25.3期はENTYVIO、免疫グロブリン製剤などの拡大見込む。 記:2024/06/15
4661 東証プライム
3,382
11/22 15:30
-21(%)
時価総額 6,150,001百万円
東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの運営等を行うテーマパーク事業が主力。ホテル事業や商業施設「イクスピアリ」の運営等も。テーマパーク事業は海外ゲストの回復などで順調。25.3期は2桁増収計画。 記:2024/07/02
4911 東証プライム
2,729
11/22 15:30
-19(%)
時価総額 1,091,600百万円
大手化粧品メーカー。1872年創業。SHISEIDO、エリクシール、マキアージュ等のブランドを展開。レストラン事業、美容室事業も。DOE2.5%以上目安。米州・欧州・アジアパシフィック事業に経営資源投下。 記:2024/07/05
5411 東証プライム
1,757
11/22 15:30
+7.5(%)
時価総額 1,123,493百万円
国内2位の鉄鋼メーカー。日本鋼管と川崎製鉄の経営統合により発足。鋼板を中心に多数の高付加価値製品を抱え、自動車用高級鋼板に強み。価格転嫁進める。高付加価値製品比率高まる。構造改革と海外拡大も進める。 記:2024/06/25
5976 東証プライム
988
11/22 15:30
+3(%)
時価総額 36,693百万円
高強度ばね用鋼線、PC鋼棒・異形PC鋼棒などの製造・販売を行う。熱処理受託加工、誘導加熱装置等も手掛ける。誘導加熱(IH)技術に強み。27.3期売上700億円目標。未開拓地域含むグローバル市場の拡大推進。 記:2024/08/10
6301 東証プライム
4,116
11/22 15:30
+67(%)
時価総額 4,008,206百万円
世界2位の総合建設機械メーカー。1921年設立。自動車産業向け大型プレスなど産業機械も。エンジンなどは国内で自社開発。海外売上比率は8割超。配当性向40%以上目安。坑内掘りハードロック事業の拡大図る。 記:2024/10/07
6326 東証プライム
1,909.5
11/22 15:30
+10.5(%)
時価総額 2,246,846百万円
世界シェアトップクラスの農業機械メーカー。1890年創業。建設機械「ミニバックホー」などで世界トップシェア。ダクタイル鉄管、水処理システム等も手掛ける。海外売上高比率は7割超。強固な販売網などが強み。 記:2024/08/27
7011 東証プライム
2,309
11/22 15:30
-1(%)
時価総額 7,789,753百万円
総合重機国内最大手。1884年創立。各種発電システムや航空機用エンジン、物流機器、製鉄機械、特殊車両等を手掛ける。ガスタービンで世界トップシェア。中期経営計画では27.3期売上高5.7兆円以上目標。 記:2024/09/03
7013 東証プライム
8,529
11/22 15:30
-192(%)
時価総額 1,319,266百万円
総合重工メーカー大手。1853年に石川島造船所として創業。産業システム・汎用機械、資源・エネルギー・環境、航空・宇宙・防衛等の分野で事業展開。航空エンジン・ロケット分野、クリーンエネルギー分野に注力。 記:2024/09/02
8630 東証プライム
3,863
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 1,275,408百万円
大手損害保険会社の損害保険ジャパンを中核とする持株会社。セゾン自動車火災保険、SOMPOひまわり生命保険、SOMPOケアなども傘下に持つ。自動車保険が主力。海外保険事業では地域、事業領域の拡大を図る。 記:2024/08/30
5,681
11/22 15:30
+63(%)
時価総額 11,589,240百万円
メガ損保の一角。東京海上日動火災保険、日新火災海上保険、イーデザイン損害保険などを傘下に収める持株会社。北米を中心とする海外保険事業等も。海外保険事業では競争力の高い商品のグローバル展開などに注力。 記:2024/10/25
9101 東証プライム
4,975
11/22 15:30
-62(%)
時価総額 2,293,475百万円
海運の国内最大手。1885年創業。三菱グループ。不定期専用船事業、物流事業が柱。定期船事業、航空運送事業等も展開。世界最大規模の自動車専用船を保有。配当性向30%目安。25.3期は最終増益見通し。 記:2024/07/04
9107 東証プライム
2,155
11/22 15:30
-34(%)
時価総額 1,454,996百万円
海運国内3位。1919年設立。自動車船事業などの製品物流部門が主力。ドライバルク事業等も。持分法適用関連会社にコンテナ船事業を行うONE社。LNG船等は順調推移見込む。27.3期経常利益1600億円目標。 記:2024/06/17