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為替コラム:世界経済を収縮させるテロの脅威

2016/3/26 17:15 FISCO
*17:15JST 為替コラム:世界経済を収縮させるテロの脅威  3月22日にベルギーの首都ブリュッセルで発生した自爆テロは、昨年11月13日(日本時間同14日)のパリでの事件に続き再び世界を震撼させています。金融市場では、欧州通貨が大きく値を切り下げる一方、当初は「有事のドル買い」に振れました。いつもの「リスク回避的な円買い」でなかったことに市場の混乱ぶりが表れているのかもしれません。過激派組織「イスラム国」と欧米によるテロとの戦いは今後長引くとみられますが、どのように影響するでしょうか。  まず、欧州通貨のうちユーロは、今後欧州経済が持ち直しても絶えずテロへの警戒が売り材料となり、上昇局面でも重石になるでしょう。また、テロの懸念はポンドの押し下げ要因にもなっています。英国の欧州連合(EU)離脱を支持する勢力を勢いづかせ、6月23日の国民投票では金融市場が強く嫌気する離脱という結果になりかねません。英国自身もテロ対象国でありEUを離脱したからといって対象から外れることはないと思われますが、少しでもリスクを軽減したいという判断に傾くかもしれません。ユーロとポンドは今後も折に触れ売られるでしょう。  このほか、米大統領選にも影響するとみられます。テロの被害が大きいほど、勇ましい発言をする候補者が有利になる可能性があります。このような情勢が続けば11月8日の本選は、差別的な発言を繰り返す共和党のトランプ氏と、国務長官としてタカ派的な実績がクローズアップされる民主党のクリントン氏による争いになるのかもしれません。長期ドル高トレンドの影響が米国企業にとって減収という形となって表れてきている以上、米次期大統領はドル安・円高路線に舵を切らざるを得ないでしょう。足元では測らずも「有事のドル買い」でドルは上昇していますが、連邦準備制度理事会(FRB)が早期の追加利上げに踏み切るのは困難になります。  欧州通貨はテロへの警戒感とユーロ体制維持の観点で買いづらく、ドルも米大統領選の影響で対アジア通貨では売りに傾く見通しです。欧米の経済や金融市場が収縮すれば中国や日本などアジア諸国、新興国の経済も一段の減速が懸念されます。このようにテロの脅威は世界経済を収縮させるでしょう。欧米各国の為政者は国家を守るため「テロの脅威に屈しない」などと口を揃えていますが空虚に響きます。