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サイバーコム Research Memo(1):アライアンス戦略を活用しながら自社プロダクトの拡販に注力

2023/10/17 12:01 FISCO
*12:01JST サイバーコム Research Memo(1):アライアンス戦略を活用しながら自社プロダクトの拡販に注力 ■要約 サイバーコム<3852>は、富士ソフト<9749>を親会社とするシステム開発会社で、通信分野で培った技術力を基盤としたソフトウェア開発事業を主力に、SI(システムインテグレーション:サーバ/ネットワーク構築、保守・運用、評価検証)サービスや自社プロダクトの販売などサービス事業も展開している。ソフトウェア開発は2次・3次請けの案件が大半を占めており、NEC(日本電気<6701>)グループと日立製作所<6501>グループ合わせて売上構成比の5割弱を占めている。 1. 2023年12月期第2四半期累計の業績概要 2023年12月期第2四半期累計(2023年1月-6月)業績は、売上高で前年同期比3.7%増の8,572百万円、営業利益で同4.8%増の670百万円と概ね期初計画(売上高8,600百万円、営業利益645百万円)通りに進捗した。売上高は通信ソフトウェア開発が5G基地局案件の一巡により減少したものの、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発の好調によりカバーした。利益面では増収効果で増益となり、計画比でも各種経費を圧縮できたことで若干上回る結果となった。 2. 2023年12月期の業績見通し 2023年12月期の業績は、売上高で前期比5.8%増の17,600百万円、営業利益で同13.8%増の1,200百万円と期初計画を据え置いた。足元の受注状況は堅調に推移しており、下期の売上高も制御ソフトウェア及び業務ソフトウェア開発がけん引する見通し。同社では「ビジネス拡大」を基本方針に掲げ、DXへの対応力強化、好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大に取り組んでいる。需要が旺盛なクラウド基盤導入支援案件の受注能力を拡大すべく、AWSやMicrosoft Azureなど主要クラウド基盤の技術認定取得者の育成に注力しており、新たに難易度の高い技術認定資格の取得に向けた奨励金制度も導入した。こうした取り組みによって資格取得者数も急速に増加しているようで、今後の受注拡大につながるものと期待される。また、自社プロダクトについてもアライアンス戦略による売上拡大等に取り組んでいる。2023年7月には(株)ケアコム、ビー・ビー・バックボーン(株)と共同で病院・介護施設向け「VoLTE※ナースコール」を開発し、PHSからのリプレースを進めていく。同社はナースコールアプリとIP-PBX(内線交換機)を提供する。また、2022年にリリースした高精度屋内位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」の見込み顧客獲得を図るべく、2023年9月開催の「スマート工場EXPO」に出展した。誤差10cmの高精度で人やモノの位置情報を把握でき、スマート工場を構築するには打ってつけのソリューションであり、新規受注の獲得を狙う。自社プロダクトの売上はサービス事業の1割程度とまだ小さいものの、高い利益率が見込めることから今後の動向が注目される。 ※VoLTE(Voice over LTE):LTEの高速データ通信ネットワーク上で音声通話を実現する技術。 3. 中期計画の進捗状況 2023年12月期までの3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」では、成長戦略としてソフトウェア開発事業で「ビジネス拡大」、サービス事業で「高付加価値ビジネスの拡大」をテーマに掲げ、計画策定時の当初は2023年12月期に売上高16,100百万円、営業利益970百万円を目標に設定していたが、企業のDX投資拡大を追い風に、業績は当初目標を上回る見通しだ。2024年12月期からスタートする次期中期計画でも基本戦略は大きく変わらないと見られ、人的リソースの拡充と協力会社のネットワークを強化しながら、持続的な成長を目指していくものと予想される。特に、今後高成長が期待できるAIソリューション分野については技術者を積極的に採用・育成し、プラットフォーマーとの連携も進めていく。自社プロダクトについても事業規模を拡大すべくアライアンス戦略の推進と営業体制の強化を図る。なお、株主還元については、2023年12月期の1株当たり配当金を前期比8.0円増配の30.0円とする予定だ。ここ数年は1~2円のペースで増配を続けてきたが、中期計画最終年度の利益が当初計画を上回る見通しとなったことで、株主への利益還元を充実させることにした。今後も将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、「安定した配当」を継続する方針に変わりなく、収益成長とともに着実な増配を目指す。 ■Key Points ・高い技術開発力と高品質サービスに加えて、幅広い協力企業と良好な関係を構築している点が強み ・業務ソフトウェア開発及び制御ソフトウェア開発が2ケタ増収と好調持続 ・足元の堅調な受注環境に変わりなく、2023年12月期も増収増益の見通し ・3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗、業績は当初目標を上回る見通し (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
関連銘柄 4件
3852 東証スタンダード
1,902
2/7 14:59
±0(0%)
時価総額 15,258百万円
富士ソフト傘下のソフト開発会社。通信分野に強み。受託開発主体にSI、自社パッケージも展開。通信ソフトウェア開発は好調。23.12期3Q累計は増収増益。富士ソフトによるTOBは成立、同社株は上場廃止へ。 記:2024/01/09
6501 東証プライム
3,821
11/22 15:30
+71(1.89%)
時価総額 17,716,330百万円
総合電機大手。金融ソリューションや社会インフラITシステム、原子力関連ビジネス、鉄道システム、ビルシステム等を手掛ける。日立エナジーは受注残が増加。デジタルシステム&サービスはLumada事業が拡大。 記:2024/06/15
6701 東証プライム
12,265
11/22 15:30
-5(-0.04%)
時価総額 3,346,505百万円
大手ITサービス会社。1899年設立。システム構築等のITサービス事業、ネットワークインフラ等の社会インフラ事業が柱。顔・虹彩などの生体認証に強み。クラウド、モダナイゼーション、生成AIなどの強化図る。 記:2024/08/10
9749 東証プライム
9,561
11/22 15:30
+11(0.12%)
時価総額 644,411百万円
独立系の大手ITソリューションベンダー。業務系ソフトウェア開発等のシステム構築、プロダクト・サービス等を手掛ける。オフィスビルの賃貸等も行う。米投資ファンドがTOB実施、成立なら同社株は上場廃止へ。 記:2024/10/06