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Iスペース Research Memo(6):2023年9月期の営業利益は期初計画を据え置く

2023/6/6 13:06 FISCO
*13:06JST Iスペース Research Memo(6):2023年9月期の営業利益は期初計画を据え置く ■今後の見通し 1. 2023年9月期の業績見通し インタースペース<2122>の2023年9月期の連結業績は取扱高で前期比2.0%増の25,900百万円、売上高で同3.9%増の7,400百万円、営業利益で同3.0%増の1,100百万円、経常利益で同7.2%減の1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同36.7%増の770百万円と期初計画を据え置いた。営業利益は6期振りの過去最高益を更新する見通しだ。第2四半期以降、利益率の低い他社商品の販売を停止したことにより、取扱高で15億円弱、売上高で2億円弱の減少要因となるが、利益への影響は軽微と見られる。経常利益が減益となるのは、前期に計上した為替差益や投資事業組合運用益がなくなるためで、逆に親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した減損損失がなくなるため2ケタ増益となる見込みだ。 2023年9月期の事業方針については、生産性向上と新規プロダクトの開発、メディアの継続成長と規模拡大、グローバル展開のさらなる推進、の3点を掲げており、インターネット広告事業、メディア運営事業ともに増収増益を見込んでいる。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高で51.0%、営業利益で51.5%と順調に推移しているため、通期計画も達成可能と見られるが、前述した「ママスタ」の広告単価下落の影響がいつまで続くのかが鍵を握ることになりそうだ。2023年3月までにサイトの改修を完了したが、検索エンジン側で改修したことが認識されるまでに一定の時間がかかるためで、予想以上に広告単価の回復が遅れれば下振れ要因となる可能性がある。 (1) インターネット広告事業 インターネット広告事業は売上高で前期比3%増の47億円と増収が続く見通し。他社広告商材の取り扱いを第2四半期以降終了したことで約2億円の減収要因となるため、実質的な伸び率は7%程度になる。人件費の増加等により営業利益率は若干の低下を想定しているものの、増益は確保する見込みだ。 カテゴリー別では、サービス分野(人材派遣・エステ)やストアフロントアフィリエイトの好調が続く一方で、金融分野やEC分野については下期も低調見込みとなっており業界によって好不調が分かれるが、全体では増収が続く見通し。ストアフロントアフィリエイトについては、継続課金型商材であるセキュリティソフトや新サービス「ポケットバックアップ」の契約件数増加により、前期比10%台の伸びが続くものと予想される。 海外事業に関しては前期比20%強の売上成長を見込んでいるが、成長に向けてプロモーションを強化するほかシステム投資や人材投資を行うため、利益ベースでは前期並みの損失が続く計画となっている。東南アジアでは各国でアフィリエイト広告市場が拡大しており、パートナー並びにクライアントの開拓に注力することで年率2ケタ成長を目指す。当面は事業基盤を構築する投資段階と位置付けている。 なお、インターネット広告事業では、生産性向上と新規プロダクトの開発、海外ネットワーク拡大を事業方針として掲げている。このうち、生産性向上については他社広告商材の取り扱いを終了し、携わっていた20名程度のスタッフを自社商品の拡大に向けて他部門に再配置することで底上げを図っている。 また、新規プロダクトの開発としてマーケティングテクノロジーサービス事業を育成すべく、2023年4月に子会社の(株)N1テクノロジーズを通じてtactからWebサイト改善ツール「賢瓦」の事業を150百万円で取得した。アフィリエイターやクライアント企業の収益化を支援する月額課金型のサービスとなる。具体的には、Webサイトに訪問したユーザーの離脱を防止するため、任意のタイミング・位置にポップアップを表示させ、商品LPや別のコンテンツへの誘導を促進させるツールとなる。また、コンバージョンタグ機能による効果的な広告分析が可能で、ユーザーがどこで離脱しやすいかを可視化するヒートマップ機能を持ち、ユーザーの離脱箇所を特定することでサイトの離脱防止に役立てることが可能となる。主にWebサイトで収益化を図るアフィリエイターやEC事業者、企業のマーケティング担当者がターゲット顧客となる。 ヒートマップツールは国内で数社が提供しており「賢瓦」は後発となるが、圧倒的なコストパフォーマンスが特徴であり強みとなっている。月額料金は利用可能機能によって無料プランから数千円のプランまで複数用意されている。今後は新機能を追加開発するとともにWebプロモーションにより拡販を進め、マーケティングテクノロジーサービスとして新たな収益柱として育成を目指す。同社はアフィリエイターやEC事業者など潜在顧客を多く抱えていることから、成長ポテンシャルも大きいと考えられ今後の動向が注目される。 (2) メディア運営事業 メディア運営事業の売上高は前期比5%増の27億円、営業利益で1ケタ台の増益を見込んでいる。「ママスタ」を中心としたコンテンツ型メディアについては、引き続き魅力的なコンテンツの企画・制作・編集に注力することでUU数やPV数を拡大し、広告収益を伸ばしていく。「ママスタ」は増収を見込んでいたが前述のとおり、広告単価の回復状況次第となる。利益面ではプロモーションコストの増加やコンテンツ強化のための人件費増により減益で見込んでおり、「saita」などその他のメディアの伸長でカバーする計画となっている。 一方、比較・検討型メディアについてはSEO施策の推進とコンテンツ拡充のための投資、収益力の強化に取り組んでいく。比較・検討型メディアは競合メディアも多く、いかに費用対効果を高めてメディアへの訪問者数を増やせるかが収益化のカギを握る。「塾シル」はこれら取り組みを推進することで、2023年9月期第4四半期で収支均衡、2024年9月期の収益化を目指す。有料契約となる掲載塾数は1万教室を当面の目標としている。「塾シル」の特徴は、保護者や生徒の知りたい情報が競合のポータルサイトと比較して充実している点にある。送客ルートには資料請求、体験授業、電話と3つのルートがあるが、なかでも体験授業の申し込みと電話の問い合わせ件数が多く、結果的に送客に対する入塾率の割合が35~50%と競合サイトに比べて高い点が強みとなっている。学習塾側から見た費用対効果が高いことが認知されれば、掲載教室数もさらに伸びる可能性がある。SEO施策によりサイトへの訪問者数を増やすことができれば、収益化も現実味を帯びてくることになる。また、「派遣サーチ」「転職Finder」などを運営する子会社のTAG STUDIOについては、求人件数の増加を背景に下期も好調が続く見通しだ。 その他、新たな収益モデルとして、月額課金型コンテンツやオンラインレッスンなどの育成にも取り組んでいる。課金型コンテンツとしては、子会社の4MEEEが2021年8月、ヘルスケアアプリ「4MOON(フォームーン)」(無料または月額360円)をリリースした。「4MOON」は、10年来運営してきたヘルスケアアプリ「Moon(ムーン)」(広告型モデルで無料)の後継版となる。「Moon」を2022年5月末で終了し、数万人規模の登録会員の「4MOON」への移行を進めてきたが、現状では大半が無料会員のままのようで、いかに有料会員に移行させるかが課題となっている。2023年2月には目標歩数を達成すると賞品が当たる新機能「毎日チャレンジ」の提供も開始している。同社では2023年末まで様子を見て、今後の方針を決定することにしている。 (3) 人材戦略について 同社は各部門で生産性向上に取り組むことによって、人員規模を抑制していく方針となっている。このため、採用については新規・中途採用ともに引き続き絞り込んでいく。また、優秀な人材の定着率を高めるため、テレワーク環境下での教育体制を充実させるなど働く環境の向上を図っていくほか、人事制度改革にも積極的に取り組んでいく。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《SI》
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アフィリエイトサービス「アクセストレード」が主力。幅広い取扱カテゴリなどが強み。国内最大級のママ向け情報プラットフォーム「ママスタ」の運営等も。ダレカナブロックなど自社プロダクトは新規会員獲得が順調。 記:2024/10/06