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エルテス Research Memo(2):リスク検知に特化したビッグデータ解析が強み(1)

2021/12/9 15:22 FISCO
*15:22JST エルテス Research Memo(2):リスク検知に特化したビッグデータ解析が強み(1) ■会社概要 1. 事業内容 エルテス<3967>は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析技術を基に、企業を中心としたあらゆる組織が晒されるリスクを解決するためのソリューションを提供している。主力の「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、社内ログデータを対象として情報漏えいや隠れ超過残業などを検知する「内部脅威検知サービス」も着実に伸びている。さらには、警備業界のDXを支援する「AIセキュリティ」のほか、「デジタルガバメント」の実現に向けた新規事業の開発にも取り組んでいる。 顧客基盤は大手航空会社や食品、外食、ホテルをはじめ、メーカーや金融機関など幅広く、有力ブランドを持つ大手企業を中心に年間約450社、契約数は550件以上の取引実績を誇る。無料セミナーや提携先企業からの紹介、積極的な広告宣伝活動等を通じた新規顧客の獲得と契約継続率の高さが同社業績の伸びをけん引してきた。ソーシャルリスクの影響を受けやすい外食業界や食品業界などの売上構成比率が高いが、「内部脅威検知サービス」への展開などにより、高度な技術情報を持つ製造業など、多様な顧客層へと拡充している。 同社は、コロナ禍を契機とする新たな事業機会の出現やDX化の動きが加速するなかで、2021年2月期より事業セグメントを変更した。創業来の主力である「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を新たな事業セグメントとしている。今後は、3つの事業による構造改革を進め、デジタル技術を軸とするユニークな事業基盤を確立していく方針である。 (1) デジタルリスク事業 a) ソーシャルリスクサービス これまでの成長をけん引してきた主力サービスであり、「リスクコンサルティングサービス」と「リスクモニタリングサービス」の大きく2つに分けられる。「リスクコンサルティングサービス」は、ソーシャルリスクに関する危機発生後に、顧客が適切な対応を取れるようにアドバイスを行うサービスであり、リスクが顕在化している企業や組織に対して、事後のレピュテーション回復(及びブランド再構築)に向けたサービスを提供している。一方、「リスクモニタリングサービス」は、ソーシャルリスクの発生を早期に検知及び把握するもので、24時間365日、Twitter等のSNSやネット掲示板といったソーシャルメディア上の投稿を分析し、リスクの予兆があれば緊急通知の実施や対応方法のアドバイスを行い、危険投稿がなければ日報で報告するサービスである(月報でのトレンド報告を含む)。また、対象企業を拡げたうえで、ターゲット(事業規模やニーズ等)を絞り込んだ新規プロダクトを続々とリリースしている(詳細は後述)。 b) 内部脅威検知サービス 企業内のログデータや管理情報を統合的に分析し、内部からの情報漏えいや内部不正リスクを検知するサービスである。データ上に現れる「人の動き」を解析し、デジタルリスクの予兆を捉えるところに特徴があり、膨大な組織内部のシステムログや管理データから、同社独自のアルゴリズムによりリスクの高い行動パターンを認識し、危険度や緊急度の高いものは即時通知することで、未然防止につなげることができる。契約数は着実に積み上がっており、2本目の事業の柱となってきた。なお、2020年1月からは「AIリスク管理プラットフォーム」としてサービス提供を開始している。リスクの予兆に関してはプラットフォーム画面から随時確認できるようになっており、同社アナリストとの画面上のやりとりを通じて円滑な対応を進めることが可能となっている。「働き方改革」やテレワーク普及を追い風に、国内大手企業から中小企業まで幅広くニーズが増大している。 (2) AIセキュリティ事業 リアルな警備事業を運営しつつ、その課題解決のためにAIやIoTを組み合わせた警備・セキュリティ業界のDXを推進している。連結子会社の(株)AIK(旧 (株)エルテスセキュリティインテリジェンス)が、警備の受発注を効率化するプラットフォーム「AIK order(オーダー)」や、工事不要・リーズナブルなセキュリティサービスを実現する「AIK sense(センス)」などを展開するほか、さらなる課題解決に向けたプロダクトの創出にも取り組んでいる。2020年12月には、警備事業で実績のあるAnd Securityとその子会社を連結化し、デジタルサービスとのシナジー創出(実践的なプロダクトの開発)を可能とする体制を構築した。 (3) DX推進事業 地方自治体等の行政や企業のDX化を推進し、DX人材の育成、自治体と企業のマッチングなども手掛けている。特に、2017年3月に提携したサイバネティカ(エストニア)※との連携により、分散型データベース技術や本人認証技術導入支援に取り組むとともに、2020年12月には(株)JAPANDXを設立すると、岩手県紫波町と「地域のデジタル化推進に関する包括連携協定」を締結し、デジタルガバメント領域に本格的に進出した。また、「信託プラットフォーム」構築(実証実験)では一部収益化を実現している。 ※デジタルガバメント先進国であるエストニアにおいて、デジタルガバメントの基盤となるシステム「X-Road」でのデータベース連携のセキュリティシステムの構築、電子投票ソフトウェアの開発を行うなど、デジタルガバメントプロジェクトにおいて優れた実績を保有する。 2. 企業特徴 (1) 成長モデル 主力の「デジタルリスク事業」は、大手食品会社等の有力ブランドを持つ企業を顧客基盤としている。リスク予防の観点から継続取引を前提とした月額課金(年間契約)であるため、顧客数の拡大が業績の伸びをけん引する積み上げ型のストックビジネスを基本としている。主力の「ソーシャルリスクサービス」(リスクモニタリング)の月額課金は40万円程度、「内部脅威検知サービス」は50万円程度と見られる。なお、顧客数の拡大のためには、新規顧客の獲得と契約継続率の維持・向上が重要であるが、契約継続率は高い水準を確保している。今後は、対象顧客をこれまでの大企業や中堅・中小企業から、小規模・個人事業へと拡充し、それぞれに対応した新規プロダクトを展開していく方針であり、Web完結型少額契約(SaaS型)による積み上げを狙っている。 また、同一顧客内でのサービスブランドや商品ブランドの横展開などによる顧客単価の向上も売上拡大に結び付く。特に、これまでのSNS上のオープンデータから企業内ログデータへと取り扱うデータの種類やリスクテーマの拡充を図ってきたことに加え、既存顧客からの要請に基づき、リスク管理にとどまらない提供サービスの多様化にも取り組んでおり、顧客数の拡大と顧客単価の向上の両輪により成長が加速される可能性が高い。 一方、新たに立ち上げた「AIセキュリティ事業」は契約警備会社数とポスト数、「DX推進事業」では連携する自治体数及び顧客企業数の伸びが成長に向けたKPIとなっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《YM》
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時価総額 3,916百万円
Webリスクモニタリングや内部脅威検知サービス等のデジタルリスク事業、DX推進事業、警備管制DXシステム等のAIセキュリティ事業を展開。内部脅威検知サービスのID数は大幅増。27.2期売上100億円目標。 記:2024/06/07