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Iスペース Research Memo(8):収益低迷が影響して予想EV/EBITDAでは相対的に割安に評価
2021/6/7 15:08
FISCO
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*15:08JST Iスペース Research Memo(8):収益低迷が影響して予想EV/EBITDAでは相対的に割安に評価 ■同業他社比較 アフィリエイト運営会社の大手はインタースペース<
2122
>のほかファンコミュニケーションズ、アドウェイズ、バリューコマース、リンクシェア・ジャパン(株)(楽天グループ<
4755
>の子会社)の4社が挙げられる。売上高の規模はその他の事業も展開しているため各社ばらつきがあるものの、同社も含めた5社合計のアフィリエイトサービスにおける業界シェアは6割程度とみられ、同社は1割弱のシェアとなっている。 同業他社の特徴について見ると、ファンコミュニケーションズは2020年9月時点で「A8.net」のパートナーサイト数が約292万サイト、稼働広告主ID数で3,189件となっており、パートナーサイト数では業界最大規模となっている。中小企業向け広告ビジネスを長く提供しており、eコマース向けの依存度が比較的高いことが特徴だ。業績面ではスマートフォン向け広告サービス「nend」の事業縮小とともに、ここ数年は減収減益が続いており、2021年12月期の業績も減収減益見込みとなっている。ただ、営業利益率については9%台と4社のなかではバリューコマースに次ぐ水準となっている。 アドウェイズはモバイル向け比率が6割強(対国内広告売上高)となっており、ゲームや電子コミック系に強みを持つ。特に、ここ数年は機械学習によるスマートフォン向けアドネットワーク広告配信サービス「UNICORN」の売上が大きく成長しており、収益増に貢献している。海外事業の損失が続いていることもあり全体の営業利益率は2021年3月期で3.3%台と4社のなかでは2番目に低いが、広告事業だけで見ると2022年3月期第2四半期累計で8.8%となっている。なお、2021年12月期は9ヶ月変則決算となることと、収益認識基準変更(売上計上方法を総額方式から純額方式に変更)の影響により、売上高が大きく目減りする格好となっており、前期との比較はできない。実質的には国内外で売上高は伸長する見通しとなっているが、事業拡大のための人材投資やシステム投資を行うため、営業利益は減益計画となっている。 バリューコマースは好調な業績が続いている。マーケティングソリューション事業(アフィリエイトサービス)は2020年4月以降、同社と同様に前年同期比で減少傾向が続いているものの、ECソリューション事業が急成長し業績のけん引役となっている。2017年12月期はアフィリエイトサービスが全売上高の8割弱を占めていたが、2020年12月期では5割強の水準まで低下しており、営業利益にいたっては3割強の水準まで低下した。2021年3月末のパートナーサイト数は74万サイト、広告主数は940件となっており、業種別売上構成比では金融分野が3割強と最も高いが、そのほかは家電製品や旅行、人材と幅広い業種をバランスよく手掛けており、事業利益率も約19%と高いことが特徴となっている。 これら上場企業のなかで、同社のインターネット広告事業の事業利益率を見ると、2021年9月期第2四半期累計で3.8%と相対的に低水準となっている。ベトナムを除いて海外事業が収益化していないことや、ストアフロントの利益も黒字化したとは言え、まだ僅少であることが一因と考えられる。ただ、ストアフロントアフィリエイト事業については収益拡大フェーズに入っており、今後は利益率の上昇が期待できるほか、海外事業についても売上高が成長ステージに入ってきたことから、早晩収益貢献してくることが見込まれる。これらを考えるとインターネット広告事業の収益性については今後、再上昇していく可能性が高いと弊社では見ている。 株価指標について見ると、同社の株価(5月21日終値)は2021年9月期の予想PERで20.1倍、EV/EBITDAで3.36倍となっている。一方で、アドウェイズについては12ヶ月換算した値で予想PER162.1倍、EV/EBITDA36.39倍と高い評価がなされていることがわかる。EV/EBITDAとは、企業を買収する場合に、買収コスト(時価総額+有利子負債−現預金及び有価証券)を期間収益(営業利益+償却費)の何年分で回収できるかを簡易的に指標化したものとなり、倍率が低いほど買収コストを短期間で回収できることになる(=時価総額が過小に評価)。これらの株価指標が低いと言うことは、株式市場での成長期待が低いことの裏返しでもある。なお、EV/EBITDAについてはファンコミュニケーションズも3.18倍と低くなっていることから、業績好調組みと不調組みで二極化した状態になっていると言える。既述のとおり同社の場合は、メディア運営事業や海外事業における先行投資だけでなく、大型プロモーション案件がなくなったことも業績低迷の一因となっている。こうしたマイナス要因がなくなることで業績が再度成長局面に入ることが確認されれば、株式市場での評価も変わってくるものと弊社では考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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