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*15:03JST ナフコ Research Memo（3）：複数業態で立地・商圏の特性に合わせる柔軟な出店戦略が特徴 ■事業概要 ナフコ<2790>は、経営理念として「お客様満足度100%」を掲げており、地域の顧客の生活を守り、日々の暮らしに欠かせない生活必需品を販売する社会的インフラと位置付ける。 1. 業態・出店戦略 2020年9月末時点の店舗タイプ別構成比は、資材・DIY・園芸用品及び生活用品を中心とするHC単独店が56.0%、HCと家具・ホームファッション用品の併合店（1階がHCで2階が家具・ホームファッション用品のコンビネーションストア）が40.6%、家具・ホームファッション用品を中心とする21スタイル単独店が3.4%となっており、店舗規模別では1,000坪前後の中型店の割合が高いことが特徴である。 出店戦略としては、郊外立地型店舗のドミナント出店を基本としているが、店舗規模や品ぞろえで複数業態を持つことにより、大都市圏から地方都市圏まで、それぞれの立地・商圏の特性に合わせて最適なタイプの店舗を柔軟に出店できる強みがある。 2021年3月期第2四半期末時点では34府県に357店舗を展開しているが、地域別に見ると、地盤とする九州地区（192店舗）が全体の約5割を占めている。さらに中四国地区（86店舗）、関西地区（42店舗）、中部地区（23店舗）、関東地区（13店舗）、東北地区（1店舗）にも展開している。 2. 商品戦略 商品別の売上構成比（2021年3月期第2四半期）については、農業や園芸関連の需要が大きい九州地区を地盤としていることもあり、コア領域とする資材・DIY・園芸用品が46.9%を占めている。また、家具店として創業していることもあり、家具・ホームファッション用品が18.5%となる。利益率の高い資材・DIY・園芸用品（2021年3月期第2四半期の売上総利益率36.3%）及び家具・ホームファッション用品（同40.3%）を主力としているため、競合他社と比較した場合高い利益率を維持していることも特徴だ。なお後述するように、2021年3月期はコロナ禍に伴う巣ごもり消費拡大により、資材・DIY・園芸用品の構成比が一段と上昇している。 3. PB商品による差別化・利益率向上戦略 同社は、家具・HC業界にとどまらず、他業態（ディスカウントストア、ドラッグストアなど）との競合が激化するなかで、他社との差別化・競争力強化、及び粗利率向上に向けた戦略として、PB商品の充実・拡大を重点施策としている。 PB商品比率としては、2016年3月期の25.1%から2020年3月期には34.9%まで上昇、2021年3月期には40%を計画している。商品別で見ると、NB商品が強い影響力を持つ生活用品は20%前後であるものの、得意とする家具・ホームファッション用品は50～60%と高い水準で推移していることに加え、コア領域とする資材・DIY・園芸用品は30%台まで上昇している。 4. リスク要因と課題・対策 家具・HC業界の一般的なリスク要因としては、消費マインド低迷、競合激化、仕入価格上昇などがある。消費マインドは景気や天候の影響を受け、景気低迷や天候不順（冷夏、暖冬など）によって消費マインドが低迷する可能性がある。自然災害（豪雨・台風・地震など）は被災による店舗休業やサプライチェーン障害がリスク要因となるが、一方では災害復旧・復興特需が発生する可能性がある。また、商圏内における店舗競合は、家具・HC業界内での競合にとどまらず、他業態（ディスカウントストア、ドラッグストアなど）との競合激化もリスク要因となる。また、収益面の特性として、季節要因による商品構成差により、下期（10月～3月）は上期（4月～9月）より利益率が低下する傾向がある。 こうしたリスク要因への対策として同社では、顧客ニーズに応える地域密着の品ぞろえ、天候予測に基づいた季節商品の適切な品ぞろえ、仕入改善や効率化による価格競争力強化、PB商品の開発・拡充、立地・商圏特性に合わせた業態出店と品ぞろえ、既存店の改装・増床、事業環境変化に対応したECの拡大など、競争力強化・利益率向上戦略を推進している。 5. 売上総利益率の推移 売上総利益率の推移としては、個人消費低迷、競合・価格競争激化、輸入品（主に中国）の仕入価格上昇などで売上総利益率の低下傾向が続いていたが、PB商品比率上昇などの競争力強化・利益率向上戦略の成果により、2019年3月期を底打ちに急改善している。なお、2021年3月期第2四半期には34.8%まで上昇している。 （執筆：フィスコ客員アナリスト　水田雅展） 《YM》