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C&R社 Research Memo(6):ゲーム分野の減益をその他主力事業の好調でカバー(1)

2020/6/5 15:16 FISCO
*15:16JST C&R社 Research Memo(6):ゲーム分野の減益をその他主力事業の好調でカバー(1) ■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向 2. 事業セグメント別動向 (1) クリエイティブ分野(日本) クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前期比10.7%増の24,599百万円、営業利益は同22.6%増の1,314百万円となった。売上高は映像、ゲーム、Web等の主力3分野を中心に請負、派遣需要が旺盛に推移したほか、新規エージェンシー事業も順調に増加した。営業利益はゲーム分野が減益となったものの、映像分野の収益性が改善したほか、新規エージェンシー事業の損益改善が進んだことなどにより2ケタ増益となった。 分野別の前期比伸び率を同社が開示している構成比から試算すると、映像(テレビ、映画)は2.5%増収、22.6%増益となった。制作スタジオを中心にテレビ番組の企画・制作力を強化し、地上波、BS放送等の需要増に対応するとともに、動画配信サービスへの取り組みを強化したことが増収要因となった。利益面では働き方改革の取り組みによる人件費増加などの影響が一巡し、生産性が向上したことにより3期ぶりの増益に転じている。 ゲーム分野は21.5%増収、10.8%減益となった。売上高は受託開発案件の増加や2018年7月より連結子会社に加わったクレイテックワークス(出資比率100.0%)の売上げが通年でフル寄与したこと、2019年9月に(株)インタラクティブブレインズより、3DCGアバター事業、VR事業、コンテンツ等の開発事業などを事業授受※1したことなどが増収要因となった。利益面では前述した「パレットパレード」の開発投資及びリリース後の収益が想定を下回ったことで160百万円の減益要因となっており、同要因を除けば12%程度の増益だったと見られる。なお、新たな取り組みとして開始した業界未経験者の育成機関となる「クリエイティブアカデミー」※2は、入学者数113名に対して卒業者数が93名、就業者数が90名となり、人手不足と言われるゲーム業界のニーズに対応する取り組みとして順調に立ち上がっている。 ※1 取得価額100百万円、のれん68百万円(5年償却)。開発人員25名が新たに加わり、3DCGアバターの開発分野では国内で圧倒的シェアを握ることになる。 ※2 同アカデミーは教育期間3ヶ月間で、修了した人材の大半は戦力化して収益貢献している(30~40人/1クール)。 Web・紙媒体等分野は3.4%増収、0.8%増益となった。前期に官公庁向けWeb開発の大型案件があった反動で伸び率はやや鈍化したものの増収増益が続いた。Web・広告・出版業界に特化した業界最大級の求人情報サイト「Webist(ウェビスト)」を通じてWebクリエイターのネットワークを強化し、スキル向上のための研修育成も行いながら、個々の適正に応じたクライアント企業への派遣・紹介案件が増加した。また、AI、IoT領域の求人サイト「Symbiorise(シンビオライズ)」を通じたデータ分析者等の人材紹介サービスなど、デジタルマーケティング分野におけるサービスも着実に増加している。2019年に(株)ジェイアール東日本企画と合弁で設立した持分法適用関連会社である(株)jeki Data-Driven Lab(出資比率40%)※にも人材を供給しており、約1億円の売上寄与となっている。 ※JR東日本(東日本旅客鉄道<9020>)の乗降客などのビッグデータを収集・分析してマーケティング施策に活用するデータドリブン・マーケティング事業などを展開している。 電子書籍・YouTube分野は10.7%増収、9.7%減益となった。電子書籍の配信数・ダウンロード数が順調に増加したほか、YouTube「The Online Creators」が好調に推移したが、前期に伸長した中国の海外版権エージェンシー事業の落ち込みが減益要因となっている。 新規エージェンシー分野の売上高は7億円程度と全体に占める影響は軽微だが、10.7%増収と着実に成長している。このうち、建築分野では一級建築士等のネットワークが2,600人を超える規模に拡大し、エージェンシー事業が堅調に推移したほか、プロデュース事業も個性的な賃貸物件をプロデュースする「CREATIVE RESIDENCE®」シリーズの引き合いが増加している。また、ライフサイエンス分野の研究開発を補佐するリサーチャー・エージェンシー事業も、自社運営サイト「Laboしごと」の登録者数が600人を超え、受注件数も400件を超えるなど順調に立ち上がっている。 VR分野では、2020年1月に徳島市「阿波おどりミュージアム」のVR体験総合プロデュース(コンテンツ制作、VRゴーグル、システム、施工管理)を受託したほか、NTTドコモ<9437>やコニカミノルタ<4902>と共同で「5G×低遅延VRリアルタイム配信×ネットワークカメラ」の実証実験を行うなど先進的な取り組みを積極的に進めている。「VR遠隔医療教育通信システム」のほか、企業の教育研修、アミューズメント施設向けなどをターゲットに、コンテンツ制作から機器の提供までを一貫して行うシステムインテグレータとしての受注実績を積み上げている段階にある。その他の新規分野についても、規模は小さいながらも着実に実績を積み重ねている。 (2) 医療分野 子会社の(株)メディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%)で展開する医療分野では、「民間医局」のブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした合同説明会「レジナビフェア」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、医師の転職・求人・募集サイト「MediGate(メディゲート)」、医師を対象に提供する教育プログラム「民間医局アカデミー」等のサービスを提供しており、営業拠点は全国で17拠点と、前期から1拠点(金沢オフィス)増やしている。 2020年2月期の売上高は前期比9.8%増の4,070百万円、営業利益は同38.8%増の740百万円と好調に推移し、2期ぶりに最高益を更新した。全国各地での慢性的な医師不足、地域的偏在を背景に医師の求人ニーズは引き続き旺盛で、12万人を超える医師・医学生のネットワーク基盤を強みに、紹介事業を中心に収益が拡大した。新規事業として医療施設のM&Aや開業支援、事業承継支援、新規事業立ち上げ支援、画像診断ナレッジサービス「読影指南」の販売などを開始しており、投資費用として110百万円(前期比80百万円増)を計上するなかで、2ケタ増益を達成している。 新規事業のうち、M&Aや事業承継等のコンサルティング事業については、案件数は多いものの成約率は低水準となっている。施設売却等は地方案件が多く、価格面も含めて買い手側とのニーズが合致しないことが多いためだ。ただ、国内の病院及び診療所(歯科診療所含む)の数が2019年で約18万施設あり、このうち診療所を中心に6.5万施設で事業承継の悩みを抱えていると言われており潜在需要そのものは大きい。現在、4名体制で営業活動を行っており、収益化を目指していく方針だ。また、「読影指南」※は開発元であるNPO法人のメディカル指南車と2019年4月に業務提携契約を締結し、「民間医局」会員向けに販売を開始している。医学生向けを中心に契約数は徐々に増加しているものの、料金が比較的安価なことから業績への影響は軽微となっている。 ※医師・医学生が信頼性の高い画像診断の知識・経験を効率的に習得できるように、大学病院が保有している症例と専門医の知識・経験をコンピュータに理解させ、eラーニングとして提供する画像診断ナレッジサービス。胸部X線、腹部超音波、上部消化管内視鏡の3つの分野において画像診断ナビゲーター(医師の画像診断支援)、画像診断シミュレーター(医学生や研修医等の学習教材)の2種類のサービスを提供。セット料金で3万円/6ヶ月(学生は半額)で販売している。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《YM》
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