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TKP Research Memo(8):短中期オフィス利用へのサービス拡充により日本のフレキシブルオフィス市場をけん引

2020/2/19 15:08 FISCO
*15:08JST TKP Research Memo(8):短中期オフィス利用へのサービス拡充により日本のフレキシブルオフィス市場をけん引 ■日本及び台湾リージャスの買収について 2019年5月31日付で、レンタルオフィス「Regus」を展開する日本リージャスを完全子会社化するとともに、その親会社であるIWG plc※(以下IWG)と日本における独占的パートナー契約を締結し、短中期のオフィス事業へ本格参入した。買収にかかる取得価額は約429億円(304百万英ポンド)に上ることから、ティーケーピー<3479>にとっては非常に大型のM&Aに踏み切ったと言える。本件における目的及び今後の方向性、期待される効果、財務への影響等については以下のとおりである。また、2019年8月9日には、台湾でリージャス事業を運営する台湾リージャスの完全子会社化(2019年12月1日より連結開始)を決定するとともに、日本同様、台湾におけるIWGの独占的パートナーとして長期独占契約を締結した。台湾リージャス(合計13社)の取得価額は約24億円(18.3百万英ポンド)となっている。 ※IWG plcはスイスに本社を置く世界最大のワークスペースプロバイダー。レンタルオフィス世界No.1ブランド「Regus」や「Openoffice」、「SPACES」などの多様なブランドをグローバルに展開しており、そのネットワークは世界110ヶ国超、1,100都市超、3,300拠点超、会員250万人超(2018年12月時点)に及ぶ。また、同社が完全子会社化した日本リージャスは、IWGの日本事業として全国約37都市、約150拠点のレンタルオフィスを展開する日本国内最大のネットワークを持つレンタルオフィス業界の最大手企業である(2019年5月31日時点)。 1. 目的及び今後の方向性 本件は、同社が進めるフレキシブルオフィス事業における成長戦略の一環として位置付けられる。すなわち、これまでの会議室利用(時間貸し)に加えて、短中期のオフィス利用(月貸し等)へとサービス領域を広げることにより、多様なスペースの活用が可能となるため、広範な顧客ニーズを取り込むことができ、同時に既存スペースの稼働率向上にもつなげるところに狙いがあると考えられる。これまでも、ポテンシャルが大きく、貸会議室との親和性が高いレンタルオフィス事業への展開を模索してきたが、本件により一気に事業基盤(拠点ネットワーク、顧客基盤、人的資源、ノウハウ、ブランド力等)を獲得することができたと言える。両社を合わせた国内拠点数は約15.7万坪・413拠点となり、巨大なネットワークを形成する(2020年2月期第3四半期末時点)。サービス領域の拡充により、今後、拡大が見込まれている日本のフレキシブルオフィス市場をけん引するリーディングカンパニーとして、人々の働き方や企業のオフィスの在り方の変革を後押しするとともに、市場の拡大を自らの成長に結び付けていく戦略を描いている。また、IWGにとっても、パートナーである同社の事業拡大により、効率よくプラットフォーム使用料を得られるところに最大のメリットがある。一方、台湾リージャスは台湾国内で14拠点(オープン予定含む)を展開するレンタルオフィス業界の最大手であり、台湾でも成長が期待されているフレキシブルオフィス市場への参入に加えて、台湾を皮切りとした海外展開へと弾みを付ける方針である。 2. 期待される効果 (1) サービス拡充により広範な顧客ニーズに対応 既述のとおり、サービス領域の拡充や拠点ネットワークの拡大により、国内全域で細分化されたビジネス需要を取り込むことができる上、会議室利用からオフィス利用へ、オフィス利用から会議室利用へと相互送客が可能となるため、顧客とのリレーション強化や顧客単価の向上、営業の効率性を高めることが可能となる。これまでも、同じビルに入居していることが多く、日本リージャスの利用者が同社の会議室を使うなど利用者の重複もあったことから、今後は両社にとっての取りこぼしを防ぐことができる。また、働き方やオフィスの在り方が変わりつつあるなかで、高い利便性や最適化されたサービスの実現を始め、多様な形態のワーキングスペース、付帯サービスの提供などを通じて、同社の事業機会はさらに拡大するものと期待される。 (2) 遊休不動産の最適な活用を促進 不動産の共同仕入れが可能となるため、不動産オーナーへの交渉力や仕入れ業務の効率性を高めることができる。特に、既述のとおり、これまでも同じビルに入居していることが多かったことから、この部分における即効性は高い。また、両社が蓄積してきた遊休不動産の膨大な活用実績に加え、両ブランドが一体となった共同マーケティング、共同開発により、地域特性や物件特性に応じた最適な提案が可能となるため、今後、2次空室に伴う空洞化が予想されるオフィスビルや稼働率の安定しない物件など、不動産オーナーに対しても、これまで以上に最適な活用を促すことができる。 (3) 共同出店によるリージャス新規出店施設の早期黒字化 リージャスはオープンしてから通常では損益分岐点に達するまでに8~12ヵ月ほどかかるが、一部スペースをTKPの貸会議室としておくことで損益分岐点に達するまでの期間を短縮できる。 (4) グローバルサービスへのアクセスを実現 IWGと締結した独占的パートナー契約により、国内顧客に対し、IWGが全世界で展開するロンドンやニューヨークなどの「Regus」や「Openoffice」「SPACES」などのフレキシブルワークスペースを提供できるほか、IWGの海外顧客に対して、従来の日本リージャスの施設、サービスだけでなく、同社が展開する貸会議室のほか、料飲、ケータリング、宿泊などの付帯サービスへのクロスマーケティングが可能となる。 (5) 成長著しいアジア市場への足掛かり 台湾リージャスの持つネットワークを生かし、台湾での貸会議室事業を本格展開するとともに、リージャス事業とのシナジー効果を相互に享受することで、台湾リージャスの成長にもつなげていく戦略である。また、台湾を皮切りとして海外展開を加速する方針であり、日本で展開するノウハウをもとに、まずは成長著しいアジアへ、そして欧米へと同社のネットワークを世界に拡大していく展望を描いている。 3. 財務への影響 日本リージャス買収にかかる取得価額が約429億円に上ったことで総資産が大きく拡大するとともに、その全額が「のれん」(20年間の均等償却)として計上されたことから、のれん償却費(年間約21.5億円)が期間損益に与える影響はもちろん、減損リスクについても懸念材料として認識する必要がある。もっとも、本件については、レンタルオフィス業界の中でも高い収益性を誇り、今後の展開力も期待できる「Regus」ブランドやその運営ノウハウ、顧客基盤(大手外資系企業が中心)を獲得できるメリットに加え、買収後のシナジー創出の大きさを勘案すれば、安定的なキャッシュフローが期待でき、のれん償却費も今後の利益成長の中で十分に賄えるものとみている。別の言い方をすれば、レンタルオフィス事業との親和性の高い貸会議室事業を展開する同社だからこそ、成功に導く可能性が高いとも言える。 また、2019年12月1日より連結開始の台湾リージャスについても取得価額(約24億円)の全額が「のれん」計上されている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《YM》
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貸会議室事業が主力。ホテル・宿泊研修事業ではFCでアパホテルを運営。TKPスター貸会議室虎ノ門法経ホール等を新規開設。ホテル・宿泊研修事業は稼働率の上昇続く。特別損失減少。24.2期3Qは最終黒字転換。 記:2024/02/04