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窪田製薬HD Research Memo(1):開発パイプラインは順調に進捗、「PBOS」の量産型試作機の動向に注目

2019/7/12 15:01 FISCO
*15:01JST 窪田製薬HD Research Memo(1):開発パイプラインは順調に進捗、「PBOS」の量産型試作機の動向に注目 ■要約 窪田製薬ホールディングス<4596>は革新的な眼疾患治療薬及び医療デバイスの開発を進める米アキュセラ・インクを子会社に持つ持株会社で、2016年12月に東証マザーズに上場した。現在は、網膜疾患患者向けの在宅遠隔医療モニタリングデバイス「PBOS (Patient Based Ophtalmology Suite)」と、スターガルト病及び網膜色素変性を適応対象とした治療薬の3つのパイプラインを中心に開発を進めている。また、2019年3月にNASA(米航空宇宙局)と、宇宙飛行士の眼疾患診断用小型OCT(光干渉断層計)※に関する共同開発契約を締結したことを発表している。 ※OCT(Optical Coherence Tomography)は赤外線を利用して網膜の断面を精密に撮影する検査機器のことで、緑内障や加齢黄斑変性症等の網膜疾患患者の診断用として使用される。 1. 開発パイプラインの進捗状況 主要開発パイプラインの進捗状況は予定どおりに推移している。このうち、加齢黄斑変性症等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔医療モニタリングデバイスとして開発を進めている超小型モバイルOCT「PBOS」は、2019年内に米国で510(k)※による承認申請を目指しており、現在は量産型機の最終仕様の確定作業と製造委託先メーカーの選定を進めている段階にある。量産型試作機を完成後に、2018年に実施した臨床試験結果との再現性評価を行った上で承認申請を行い、2020年内の販売開始を目指す。まずは米国市場で展開し、いずれは世界での普及拡大を目指している。網膜疾患患者は世界で1億人を超えており、今後も高齢化の進展によって患者数の増加が見込まれることから、眼科疾患の革新的診断ソリューションとして成長ポテンシャルは大きい。 ※510(k)申請…市販前届出制度。米国内で医療機器を販売する際に、既に販売されている類似製品があれば安全性や有効性において同等以上であることを確認できるデータをFDA(米国食品医薬品局)に提出することで、販売の許認可が得られる制度。申請後、FDAが90日以内に販売承認の可否判断を行う(質問・追加データ要請等の時間を除く)。 スターガルト病※を適応症とするエミクススタトの臨床第3相試験(被験者数約160名)については、2018年11月より欧米約10カ国で開始されており、2019年内の被験者登録終了及び2021年内の試験終了に向けて順調に進んでいるものと見られる。また、網膜色素変性を対象とした遺伝子治療については、2020年の非臨床試験開始、及び2021年のIND(臨床試験用の新医薬品)申請を目指し、遺伝子治療薬の開発ノウハウを持つ企業と共同で開発が進められており、今のところスケジュールどおりに進んでいる模様だ。同社が開発を進めている遺伝子治療は失明患者の視機能回復を目指すプロジェクトであることから、今後の動向が注目される。 ※スターガルト病は遺伝性の若年性黄斑変性で、症状の進行とともに視力の低下や色覚障害を引き起こし、有効な治療法がいまだ確立されていない稀少疾患。患者数は欧米、日本で合計約15万人弱と少ない。 なお、NASAとの宇宙飛行士向けの小型OCT開発プロジェクトについては、複数の協力企業とグローバルなバーチャルチームを組み、3〜4年を目途に開発を進めていく計画となっている。開発受託費用については売上高として計上される可能性が高い。業績への影響は軽微なものの、NASAとの共同開発を開始したことによるレピュテーション効果が期待される。 2. 業績動向 2019年12月期第1四半期の連結業績は、事業収益の計上がなく、営業損失で749百万円(前年同期は750百万円の損失)となった。臨床試験費用の増加により研究開発費が前年同期比75百万円増加した一方で、人件費等を中心に一般管理費が同76百万円減少したことにより、営業損失額は前年同期並みの水準となった。2019年12月期の営業損失は3,200百万円(前期3,273百万円の損失)を見込んでおり、予定どおりの進捗となっている。なお、2019年12月期第1四半期末の手元資金は11,063百万円となっており、当面の事業業活動資金は確保されている。 ■Key Points ・「PBOS」、スターガルト病治療薬候補、網膜色素変性の遺伝子治療に加えて、新たに有人宇宙探査に携行可能な超小型OCTの開発にも注力 ・「PBOS」は眼疾患領域における革新的な遠隔診断ソリューションとなる可能性 ・開発ステージのため損失が続くものの、経営体制の再構築は完了する (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《MH》
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時価総額 3,499百万円
眼科領域特化のバイオベンチャー。ウェアラブル近視デバイス、遠隔眼科医療モニタリングデバイス等を手掛ける。医療機器分野に経営リソースを重点的に投下。双日九州との業務提携で中国市場における販売拡大目指す。 記:2024/10/11