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東京センチュ Research Memo(4):「船舶・航空機」や「太陽光発電」などの資産が順調に拡大

2018/10/18 15:14 FISCO
*15:14JST 東京センチュ Research Memo(4):「船舶・航空機」や「太陽光発電」などの資産が順調に拡大 ■決算概要 東京センチュリー<8439>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比3.7%増の1兆122億円、営業利益が同2.4%増の737億円、経常利益が同7.5%増の790億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.6%増の513億円と増収増益となり、「経常利益」は9期連続、「当期純利益」は7期連続で過去最高益を更新した。 特に、「経常利益」が期初予想を上回る増益(前期比55億円増)となったのは、CSIリーシング連結化の通期寄与を主因として国際事業分野が増益(前期比約18億円増)となったことに加え、国内リース事業及びスペシャルティ事業分野による収益貢献(合算で前期比約40億円増)※が大きかった。また、国内オート事業分野も着実な利益成長(前期比約6億円増)を続けている。 ※国内リース事業分野における収益性の向上やスペシャルティ事業分野における航空機リースの拡大などが増益に寄与したほか、貸倒費用の減少等も利益の押し上げ要因となった。 一方、セグメント資産残高についても、注力するスペシャルティ事業分野(航空機ビジネスや太陽光発電等)及び国内オート事業分野の拡大により前期末比2.8%増の3兆3,302億円に増加した。これまでより伸び率が緩やかな水準にとどまったのは、厳しい事業環境が続くなか採算重視の案件対応が影響したと考えられる。量から質への転換を目指す同社にとっては、ある程度想定された結果であろう。 財政状態については、セグメント資産残高の積み上げなどにより、有利子負債は前期末比2.8%増の2兆8,107億円、総資産は同5.0%増の3兆7,595億円に増加した。自己資本も内部留保の積み増しにより同11.6%増の3,960億円となり、この結果、自己資本比率は10.5%(前期末は9.9%)に改善した。 また、資本効率を示すROA(総資産経常利益率)も2.2%(前期は2.1%)と向上していることに加え、ROE(自己資本当期純利益率)は大幅な増益に伴って13.7%(前期は12.9%)に上昇している。 各事業分野別の業績は以下のとおりである。 1. 国内リース事業分野 セグメント資産残高は前期末比3.3%減の1兆4,030億円となった。前述のとおり、厳しい事業環境(国内リース市場の縮小や競争激化等)が続くなかで、採算重視の案件対応が影響したと考えられる。ただ、今後の事業拡大や収益性の改善に向けては、川崎重工業<7012>との提携によるロボットレンタル事業※1や月島機械<6332>とのバイオガス発電事業※2、ビープラッツ(株)<4381>とのサブスクリプションビジネス※3など、有力パートナー企業との協業による事業性ビジネスの推進において一定の方向性を示すことができた。 ※1 川崎重工業と共同で、作業用ロボット派遣(レンタル)事業を展開。人手不足に悩む企業向けにサービスを開始。 ※2 月島機械が得意とする「下水道分野での創エネルギー事業及び単体機器ビジネス」と同社の「環境・エネルギー事業での実績及び金融・サービス機能」を組み合わせることで、下水処理場で発生する消化ガスを用いたバイオガス発電を実施する計画。同社が標ぼうする「循環型経済社会の実現への貢献」に向けた取り組みとしても注目される。 ※3 ソフトウェアやサービス等の利用形態の一つで、「モノ」を買う・借りるのではなく、利用量・利用期間に応じて利用料を支払う形態のこと。 2. スペシャルティ事業分野 セグメント資産残高は前期末比8.8%増の9,756億円と順調に拡大した。注力する「航空機」や「環境・エネルギー」が好調であった。特に、「航空機」については、ACGへの出資がセグメント資産残高の増加に寄与した。 また、「環境・エネルギー」についても、京セラとの合弁事業による太陽光発電事業が順調に伸びている。太陽光発電事業におけるセグメント資産残高は大型太陽光発電所の稼働開始等により638億円(前期末の約2.5倍)と大きく拡大し、稼働済み太陽光発電所も75ヶ所(前期末は55ヶ所)、出力も235.5MW(前期末は104.9MW)と増えている。今後も大型発電所を中心に、順次稼働予定である。その他にも、セカンダリー市場での稼働済み太陽光発電所の取得や、台湾での水上太陽光発電事業への新規参入※にも取り組むなど、日本・アジアでの太陽光発電事業の総投資額が2,000億円規模まで拡大する見込み。 ※優良パートナーとの共同事業として2018年4月から順次稼働予定(最大発電出力約5MW)。 3. 国内オート事業分野 セグメント資産残高は前期末比12.3%増の5,158億円、車両管理台数(総数)も641千台(前期末比46千台増)と順調に拡大した。日本カーソリューションズのセグメント資産残高は前期末比7.2%増の3,341億円、オリコオートリースは同25.2%増の1,533億円、ニッポンレンタカーサービスは同14.0%増の358億円とそれぞれが伸長した。特に、成長余地の大きい個人向けオートリース(オリコオートリース)の伸び率が、ここ数年、高い水準で推移している。また、法人向けオートリース(日本カーソリューションズ)は、ソリューションサービスの強化※に加えて、日本たばこ産業(株)の連結子会社であった(株)ジェイティクリエイティブサービスの車両4,000台を譲り受けるなど、M&Aによって規模を拡大。今後、事業としての発展性が期待されているレンタカー事業(ニッポンレンタカーサービス)については、フランチャイズ制の見直しに伴う全拠点直営化を完了し、グループ運営の強化や新規事業への展開に向けて体制を整えた(詳細は後述)。 ※NTTコミュニケーションズ(株)との共同によるAIを活用した安全運転サービスのほか、新たなBPOサービスの開発(顧客の車両管理業務をクラウド上で一元的に行うシステム)など。 4. 国際事業分野 海外アライアンス戦略の推進によりオート、非日系資産の拡大を図り、セグメント資産残高は前期末比0.4%増の4,357億円となった。また、収益面でもCSIリーシングの通年寄与などにより北米地域で大幅な増益となっており、好調に推移していると言えるだろう。2018年3月末のグローバル資産残高(船舶・航空機等のスペシャルティ事業分野を含む)は9,955億円にまで拡大し、全体のセグメント資産残高の約30%を占めるなど、海外ビジネスの比重が高まっている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) 《HN》
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