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カンロ Research Memo(4):2014年12月期の営業損失は、カルピスブランドの販売中止という特異要因による

2018/5/25 15:04 FISCO
*15:04JST カンロ Research Memo(4):2014年12月期の営業損失は、カルピスブランドの販売中止という特異要因による ■カンロ<2216>の収益構造 1. 収益構造とターニングポイント キャンディ市場の競争激化などにより、2000年代後半から売上総利益率と販管費率がともに悪化し、営業利益は減益傾向を続けていた。それが2014年12月期、ついに営業損失に陥った。しかし2015年12月期以降は、売上総利益率と販管費率をともに改善しながら営業利益の増益幅を拡大、2016年12月期には2012年12月期の水準へと戻している。 営業損失の主因は、当時主力製品の1つだったカルピスブランドの飴やグミの販売を中止したため、売上高が200億円レベルから2013年12月期の180億円レベルへと急減したことである。味の素<2802>が2012年に、商標権を持つカルピス株をアサヒグループホールディングス<2502>に譲渡、カルピスの商標使用権が解約されたことが背景にある。この緊急事態に急遽、当時計画されていた海外進出や新規菓子開発を中止して対応したものの、売上高急減による固定費率の悪化を賄いきれず、2014年12月期に営業損失に陥ってしまったのである。 しかしながら、最悪期の2014年12月期も製造費用の中身は率としてバランスが崩れなかった。これは、カルピスブランド製品の採算が平均的であったということもあるだろうが、それ以上に、同社の原価構造が製品に大きく依存していないことを示している(原価は、包材や原材料の価格変動や高付加価値製品の構成比変化に短期的に影響を受ける場合がある)。つまり、一定以上の売上高を上げれば固定費率が下がって一定以上の利益を稼げる、比較的安定した収益構造だということができる。カルピスの場合はその逆で、売上高の急減に見舞われたため、固定費率が急上昇するというアンラッキーに見舞われたのである。また、販管費率も大きく悪化しなかった。販管費は、代理店手数料や人件費の比率が下がっていることから、変動費的コストの減少や短期リストラによって対応したと思われる。カルピスブランドのアンラッキーによって、かえって同社収益構造の安定性が垣間見られたと言えるだろう。 カルピスブランドの販売中止が、老舗が進化するきっかけになったということができる。カルピス後の収益急回復は、7つの主力ブランド(カンロ飴、ノンシュガーグルメシリーズ、金のミルク、健康のど飴シリーズ、ボイスケアのど飴、ノンシュガーのど飴シリーズ、ピュレグミシリーズ)に経営資源を集中したことで売上高が急速に戻り、固定費率が下がったことが理由と言える。なお、その後製造原価内労務費、販管費内人件費がともに上昇気味だが、業績回復見合いのボーナス増や深謀遠慮の開発人材の強化が背景であり、将来を見越した先行費用と言えるだろう。 ターニングポイントの後、収益は回復しつつあるが依然不満 2. 長期収益動向 長期的な収益動向から現在の収益水準を考える。まず2000年以降、販路としてはコンビニエンスストアの成長、製品としては機能性製品やグミの拡大によって、売上高・利益ともに拡大した。しかし2000年代半ばをピークに売上高は微減を続け、利益率は急速に悪化した。競争激化や少子高齢化などキャンディを取り巻く環境の変化が背景にあると考えられ、そのボトムがカルピスブランドを販売中止した2014年12月期である。その後は、水準はまだまだ不満だが、各種施策によって利益をV字回復させている。長期的に見ても2014年12月期はまさにターニングポイントだったと言える。そして2017年12月期には、経常利益は直近ピークの2007年12月期の1,492百万円を望める位置まで戻ってきたのである。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《NB》
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