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ミルボン Research Memo(7):中長期成長をより確実にするための先行投資を決断

2017/8/18 15:18 FISCO
*15:18JST ミルボン Research Memo(7):中長期成長をより確実にするための先行投資を決断 ■中期事業構想と中長期の成長戦略 2. 中長期成長に向けた『先行投資』 ミルボン<4919>はコーセー<4922>との協業による化粧品ビジネスへの参入など、中長期的成長に向けた各種取り組みを行っている。これらの取り組みは収益貢献の時期が今中期事業構想期間終了後となる2020年12月期以降となるものも多い。しかし、それに向けた布石を打つ作業や準備といったものは、今中期事業構想期間において着手しないと間に合わないという側面があるのも事実だ。 今般、同社はそうした中長期的成長をより確実にするために今着手すべき施策を取りまとめた。これらの施策は費用の発生が確実視されることから『先行投資』と呼称している。一方、先行投資からの収益に関しては今中期事業構想期間においてはほとんど期待しにくいことから、同社は先行投資の詳細と合わせて今中期事業構想の最終年度業績計画の下方修正をも発表した。 先行投資は現時点では4項目から成っている。以下ではそれぞれについて詳述する。 (1) 化粧品事業の人員増強とその育成教育 同社は2017年1月25日にコーセーとの間で資本業務提携を行い、美容室を対象として化粧品事業を展開することを発表した。先行投資のうちの1つはこの化粧品事業についての人材の充実を図ることだ。前述のように同社の販売手法は、フィールドパーソン(FP)と呼称される営業担当者が美容室への技術指導や製品情報の提供、経営アドバイスなどを行い、自社商品の販売増へとつなげるというものだ。 化粧品事業においてもこれと同様の事業モデルが採用されることを見据え、同社は化粧品を対象としたFPの育成をスタートさせることを決断した。同社のFPはフィールドエデュケーター(FE)とフィールドセールス(FS)に大別されるが、化粧品という新製品を扱う上ではしっかりとした知識、スキルを有するビューティーエデュケーター(仮称)を育成することが重要という判断から、ここの人材強化を図ることが今回の具体的内容だ。 化粧品事業の合併会社は、2017年7月31日に設立された。今後のスケジュールは、現時点では詳細は明らかにされていない。その後2018年を通じて市場調査や情報収集、製品の企画・開発、従業員の教育、販売企画などが行われ、2019年をメドに製品が市場に投入されるというのが、大まかな今後のスケジュールとされている。こうした事業であるため、化粧品事業の人材投資の規模感やスケジュールも今後の展開次第で変更される可能性があると弊社ではみている。 (2) 欧州等のグローバル展開 同社の海外展開では、韓国や中国では存在感のある事業規模にまで成長し、アジアNo.1という目標は視野に入ってきている。しかし同社が長期的に目指すのはプロフェッショナル向けヘア化粧品市場でのグローバルNo.1だ。その1つのステップとして同社は、2017年5月にドイツに欧州拠点を開設した。また米国ではミルボンUSAがプレミアムブランド“milbon”への全面切り替えを行っているのは前述のとおりだ。 欧米市場の本格攻略のためには、商品ラインナップにおいてヘアケア用剤だけでは不十分であり、ヘアカラー剤の存在は不可欠というのが同社の認識だ。すなわち、グローバル展開における先行投資は、欧米人を対象としたヘアカラー剤の新製品の開発と市場投入がその主な内容となる。 開発においては中央研究所が大きな役割を果たすことになる。中央研究所の陣容は現在約110名体制であるが、同社は今後10年間、毎年8名程度のペースで人員を増強し、10年後には180~190名体制とする計画だ。先行投資の具体的内容は、中央研究所における研究者の増員を中心に、欧米用ヘアカラーの開発費用になるとみられる。 (3) コーポレートブランディングの加速 これは端的に言えば会社の知名度や認知度を向上させることと言えるが、同社の事業モデルは言わばBtoBであるため、TVCMやネット広告などの広告宣伝費の投下を意味するわけではない。しかし同社は、事業モデルBtoBtoCへ転換をはかっており、「ミルボン」の信用度を一般顧客に高めることが中心的施策となるとみられる。 現在のステージで同社が必要と考えるブランディングとは、“大阪の企業”からの脱皮であり、換言すれば“東京の企業”への転身である、と弊社では理解している。その意味では、次に述べる本社の東京移転とも重なる項目と言える。 (4)本社の東京移転 同社は2017年11月をめどに、本社を大阪から東京に移転することを決定した。新本社は東京都中央区の京橋エドグラン内となる予定だ。登記上の本店は大阪に残すが、社長は東京に常駐し、“東京本社”、“東京の企業”としてのイメージを強く打ち出す方針だ。 先行費用の具体的あり方としては本社費用とともに役職員の転勤に関わる費用が中心となる見込みだ。同社は前述の中央研究所の人員増強計画に絡んで、本社を現在の大阪市都島区からの移転を計画していた。当初は大阪市北区梅田への移転を予定していたが、前述のようなコーポレートブランディングの一環として東京移転を決定した経緯がある。 本社の東京移転の効果や収益貢献を数値の形で示すことは難しいが、弊社では東京移転は実体的に大きな意義があると考えている。化粧品事業に関し、コーセーとの協業を進める上では、両社のトップが近接して存在していることの意義が大きいことは疑問の余地はない。また、人材採用難の時代にあって、新卒・既卒の採用活動において東京・京橋に本社を置くことはプラスの効果をもたらすと期待される。その他にも東京本社をメリットとして生かせる機会は数多いと考えられ、弊社では本社東京移転の判断は、将来において過去を振り返った時に、大きな転機と評価される事象になるものと考えている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之) 《HN》
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