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アールテック・ウエノ Research Memo(6):実用化すれば世界でも初の治療薬で末端市場規模は500億円

2014/12/22 18:08 FISCO
*18:08JST アールテック・ウエノ Research Memo(6):実用化すれば世界でも初の治療薬で末端市場規模は500億円 ■新薬開発動向 新薬の開発パイプラインとして、アールテック・ウエノ<4573>は網膜色素変性治療薬として開発中の「ウノプロストン点眼液(UF-021)」、重症ドライアイ治療薬として開発中の「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU-101)」に加えて、2014年10月よりアトピー性皮膚炎や乾癬などの治療薬として開発中の「VAP-1阻害剤(RTU-1096)」の臨床試験を開始しており、これら3つのパイプラインが今後の同社の収益けん引役になるものとして注目されている。また、「ウノプロストン(UF-021)」については、アカデミア(大学)の研究により加齢黄斑変性治療薬としての適応の可能性も見えてきている。以下、それぞれの開発品の動向について簡単に紹介する。 (1)網膜色素変性治療薬「ウノプロストン点眼液(UF-021)」 網膜色素変性とは進行性の夜盲で、視野狭窄を主な症状とし、失明に至ることがある遺伝性の疾患。日本では視聴覚障害原因の第3位(60歳以下では第1位)となっている。現在まで低分子化合物による有効な治療法は確立されておらず、日本では難病特定疾患に認定されるなど、社会的要請の強い新薬と言える(英国、米国では特殊型網膜色素変性において遺伝子治療が施行されている)。同治療薬を用いることによって、失明に至るまでの期間を延長する効果がある。 実用化すれば日本だけでなく世界でも初の治療薬となり、市場を独占できる可能性もある。患者数は国内で約4万人、世界では100万人超と推計されており、末端市場規模はそれぞれ20億円、500億円規模になる。 2013年3月より国内で第3相臨床試験(180症例)に入っており、2014年10月に有効性試験を終えている。遅くとも2015年3月までに試験の有効性が明らかとなる見通しで、良好な結果が得られれば、オーファンドラッグ制度※による製造販売承認申請を行う予定となっている。このため早ければ、通常品目であれば12ヶ月程度だが、申請後9ヶ月で承認が下りる可能性があり、2017年3月期の上市が見込まれる。 ※オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)制度:国により、医療上の必要性が高いにも関わらず、患者数が少なく研究開発の進まない医薬品・医療機器の開発を支援する目的で作られた制度。対象患者数が国内で5万人未満であること、代替する医薬品や治療法が無いこと、また、既存の医薬品などと比較して著しく高い有効性または安全性が期待されること、などが指定要件となる。また、支援措置としては、開発助成金の交付、税制優遇措置(開発費の12%を税額免除)、優先承認審査(審査機関の短期化)、最長10年間の独占販売機会(通常4年間)などがある。 治療薬がないことで高薬価が期待され、年間売上高としてピーク時で20億円程度(末端市場、患者投与率80%で試算)を想定している。「レスキュラ」と同様、眼科分野に販路を持つ医薬品企業と、2016年3月期中に販売契約を締結することが予想される。粗利益率は市場価値の高さから判断すると80~90%程度が期待でき、卸価格を末端価格の半値程度と想定したとしても、ピーク時には年間で8億円程度の粗利益が見込める計算になる。また、同製品はオーファンドラッグに指定されており、上市後10年間の独占販売期間が与えられ、高い収益性を維持することも可能である。 海外市場への展開においては、スキャンポ社に事業化権を付与している(日本、中国、台湾、韓国除く)。現在、進めている第3相試験のデータ結果をスキャンポ社と共有しながら、欧米ではスキャンポ社が治験を進めていくことになる。早ければ2015年にも米国で治験申請を行う可能性はあろう。米国市場では日本の3倍の患者数が想定されるため、上市されれば売上高拡大に弾みがつくことになる。欧米でも既にオーファンドラッグ指定を取得しており、10年間の独占的販売権が付与されるため、中期的な収益へのインパクトは大きいと言えよう。 また、「ウノプロストン」については加齢黄斑変性治療薬としての開発の検討も開始している。加齢黄斑変性とは網膜部分の中心部(黄斑)が加齢によって病変し、視力が低下していく病気のことで、「萎縮型(ドライ型)」と「滲出型(ウェット型)」とに分類される。今回、開発を検討するのは「滲出型」(出血などにより、黄斑に障害が生じるタイプ)で抗VEGF治療薬を投与後に出現・拡大する地図状萎縮(視力低下要因となる)を対象とした治療薬である。 香川大学による臨床研究では、抗VEGF薬治療後に生じる地図状萎縮の拡大に対して「ウノプロストン(UF-021)」が抑制効果を有するとの研究結果が発表されており、医療現場でのニーズが高いこともあって、同社では臨床試験を開始するための準備を開始した段階にある。早ければ2016年3月期中にも第1相臨床試験を開始するものと見込まれる。 「滲出型」の加齢黄斑変性の患者数は、日本で約33万人、米国ではその数倍以上とみられている。加齢黄斑変性は、欧米で失明原因の第1位となっている病気でもあるだけに、今後の開発動向が注目されよう。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《FA》
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時価総額 36,482百万円
眼科・皮膚科に特化した創薬ベンチャー。レスキュラ点眼液は世界45カ国、50万人以上に実績。商業化権譲渡後も収入あるスキーム。16.3期は2桁増収増益を計画。TOBによる実質MBOで15年8月に上場廃止。 記:2016/03/27