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日豪技術産業シンポジウムが国内で初開催、元統合幕僚長の岩崎氏「豪州の日本への高い熱意を感じる」
2019/12/16 14:50
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*14:50JST 日豪技術産業シンポジウムが国内で初開催、元統合幕僚長の岩崎氏「豪州の日本への高い熱意を感じる」 2019年11月21日に「日豪技術産業シンポジウム」が初めて在京のオーストラリア(豪)大使館で行われた。翌日はグランドヒル市ヶ谷ホテル内で主として豪軍が保有する豪州技術により製作された装備品等の展示会が行われている。このうち、本日は豪大使館内で行われたシンポジウムを紹介したい。 その前に最近の日豪関係について述べる。最近といっても特に第2次安倍内閣発足後、豪州のアボット首相政権との関係がかなり親密となり、日豪関係が格段に深化し始めた。当然のことながら、この関係は政治的な関係のみならず、経済や安全保障面にも及んだ。2013年には日豪ACSA(物品・役務相互提供協定)が開始され、同年には両国の高い信頼性を表すISA(日豪情報保護協定)ができ、2017年には新日豪ACSAでより緊密な関係となった。従前は豪州との共同訓練や演習等はほぼなかったものの、最近では陸海空とも共同訓練や能力構築支援(Capacity Bld)をかなり活発に行っている。また、我が国は2014年に「防衛装備・技術移転」を可能とし、豪州とも協定を締結、2015年には船舶の設計段階で必要な模型実験に係る技術、シミュレーション評価、それらを基に実艦の性能を推定する技術に関しての日豪共同研究が行われている。 今回はこのような環境の変化の下でのシンポジウム及び装備品等の展示会であった。今回の「日豪防衛技術産業シンポジウム」は豪州国防大臣の訪日と合わせて行われた。シンポジウムの豪側参加者は前国防大臣であり、現在防衛輸出促進庁長官のJohnston氏、統合能力局長のMcDnald空軍大将のお二人で、日側は防衛省前装備庁長官の深山氏と私であった。司会者のほうから4名のご紹介があった後、直ちに私への質問で討論が開催された。私への質問は、「昨年末、『新防衛計画の大綱』が策定されたが、策定時の最大の懸念(インド太平洋地域の安全保障に影響を及ぼす脅威等)は何か?」であった。私は当然周辺国の脅威や懸念事項について詳しく述べた。内容的には北朝鮮の核実験や各種弾道弾発射は我が国にとって重大な脅威であり、国連議決違反であり決して許されることではない事。また中国に関しては自国の一方的な論理で力による秩序変更を繰り返しているが、このことも決して認められない事等を述べた。 その後、議論が進展して防衛装備・技術協力に移行した。私は、今回の「防衛計画の大綱」にもかなり強調されている国外との装備技術協力について説明するとともに、深山前長官からは実務的な両国が抱える問題点等が指摘された。McDnald局長は参加者の中で唯一の現役であり、必ずしも忌憚のない本音ベースで喋りにくかった部分があったかも知れないが、概していえばフランクなまた実効的な議論ができた。 今回の討論や展示会等を通じて豪州の日本への高い熱意を感じさせられた。私は、日豪関係がこれまでより以上に進展することを願って止まない。米国は我が国とっては縁を切れない同盟国であるものの、一国にだけ頼る危険性を認識しながら、多国間との連携を徐々に拡大すべきと感じた次第である。 日豪には各種の会議が存在する。日豪防衛交流(各幕僚長クラスと豪軍各本部長との会議、各軍種のスタッフ会議、共同訓練・演習等)や政府レベルの防衛大臣会議、外務大臣を入れた所謂、2+2会議、そしてtruck1.5と呼ばれる官民が入った会議(この場合の民とは、官僚や軍人のOBとか各研究所の研究員とかが主)が存在している。豪の地域戦略研究所(IFRS;Institute for Regional Study)が行っている年次会議は豪米日の参加国会議であるが、大変有意義な会議である。(2019.11.28) 岩崎茂(いわさき・しげる) 1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。 《SI》
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