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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆活況感なき、いざなぎ超え◆
2017/11/12 10:15
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*10:15JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆活況感なき、いざなぎ超え◆ 〇10月経済指標に重たさ、活況感出ず〇 12年12月からの景気回復局面が「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月までの57カ月間)を超え、02年2月からの小泉景気拡大(73カ月)に次ぐ、戦後2番目の長さとなったことが8日に確定したと報道された(9月で58カ月間)。堅調な世界経済を背景に、企業が海外需要の取り込みに成功したことが大きく、企業業績の拡大が示している。一方、この間の一人当たり現金給与の伸びは1.6%にとどまり、雇用拡大による名目総雇用所得の伸びも7.7%にとどまり、生活実感の改善は乏しいと指摘される。とりわけ、14年消費増税の影響もあって個人消費の停滞感が続く。人口減・高齢化の影響、構造改革の不透明感など、多層的な懸念が圧迫していると見られる。 8日、セブン-イレブンの国内既存店連続増収記録が62カ月で止まったと発表された(10月、0.5%減)。全国コンビニは9月で連続4ヵ月前年比減収となっており、一人勝ちの構図も全体に圧された感がある。6日には、100円ショップの中で、最も順調に伸びているとされてきたセリア(2782)が10月既存店マイナスに転落した。前年のうるう月の反動があった2月以来。 連続台風の影響が大きいとされるが、超人手不足環境ながら先行き雇用・所得不安、残業代減、増税・社会保障負担増ラッシュ懸念など、消費マインドが改善してこない構図がある。全体の消費はインバウンド需要があり、株高効果も指摘されている(10月消費者態度指数は4年1ヵ月ぶりの高水準に持ち直し)が、NISAの失敗(売買制限などがあり、消費性向の高い「あぶく銭」を生む構造になっていない)など、株高恩恵は限定的だ。10月の日銀アンケート調査で、「景況感は変わらない」が71.0%を占めた。 余談だが、中国で「AI教師に5兆円投入、1400万人教師に失業危機」とか、英国建設業界「2040年に60万人超の雇用消失」とか、雇用不安の話題に事欠かない。国内でも先月からメガバンク計3.2万人分リストラとか、電力会社や東芝中堅社員家庭の生活崩壊などがネットで話題だ。足元の人手不足で、海外労働者の大量流入気配があり、日本でも「移民問題」が燻る。サラリーマンの話題は「働き方改革」だ。 景況感に力強さを欠く一因に、アベノミクス各論が成功していない点も挙げられる。クールジャパン事業は「戦略なき膨張、投資案件ほぼ全損」と伝えられ、海外インフラ案件でも計画倒れが多い(日本車両のサンフランシスコ鉄道車両事業撤退が象徴的)。医療改革は病院倒産危機に直面し、災害多発もあって地方活性化は停滞しているなど。(各論の立て直し策は相場シナリオの注目点になる) 全体の景気回復長期化に覆い隠され、政策効果の議論が乏しい。結果的に超金融緩和の持続観となって、株高構造を支える面もある。海外勢の影響が大きいが、国内要因からはムード的には株高バブルにはなり難いので、米株の後を追うように、ジリ高イメージが次第に強まって来ると想定される。 以上 出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/9号) 《CS》
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