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日経平均は続落、「下方に大きく振らされやすい」条件揃う

2021/8/20 12:11 FISCO
*12:11JST 日経平均は続落、「下方に大きく振らされやすい」条件揃う  日経平均は続落。184.52円安の27096.65円(出来高概算5億9000万株)で前場の取引を終えている。  19日の米株式市場でNYダウは3日続落し、66ドル安となった。連邦準備理事会(FRB)が年内にも量的緩和の縮小(テーパリング)に踏み切る可能性が強まったことが引き続き警戒され、新型コロナウイルス変異株の流行で世界経済の減速懸念も根強く、景気敏感株を中心に売りが出た。一方、決算を発表した半導体のエヌビディアを中心にハイテク株の一角に買いが入り、ナスダック総合指数は0.1%の上昇。米国株がまちまちとなるなか、本日の日経平均は42円安からスタートすると、朝方は前日終値を挟みもみ合う展開となった。ただ、前場中ごろを過ぎると香港などのアジア株下落を受けて下げ幅を広げ、一時27034.58円(246.59円安)まで下落した。  個別では、トヨタ自<7203>が売買代金トップで2%の下落。会社側が9月の減産を正式発表し、観測報道で前日の取引終盤にかけて売りが広がった流れが続いている。これに伴いデンソー<6902>は7%の下落。商品市況の下落を受けて前日に続きJFE<5411>や三井物産<8031>などの軟調ぶりが目立ち、これまで堅調だった郵船<9101>などの海運株も大幅安となっている。その他、ソフトバンクG<9984>は3%の下落で、レーザーテック<6920>などが軟調。また、乾汽船<9308>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、第一三共<4568>が3%超上昇し、塩野義<4507>や任天堂<7974>もしっかり。SMBC信託銀行と証券代行業で提携すると報じられたIRJHD<6035>などが急伸し、レオパレス21<8848>が東証1部上昇率トップとなっている。  セクターでは、海運業、輸送用機器、非鉄金属などが下落率上位。一方、電気・ガス業、陸運業、その他製品などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の55%、対して値上がり銘柄は40%となっている。  本日の日経平均は米国株が高安まちまちだった流れから前日終値近辺でスタートしたが、その後弱含みの展開となっている。引き続き27000円台前半での底堅さ発揮に期待する向きが少なくないものの、前日には7月末に付けた直近安値(27272.49円、取引時間中)を割り込んでおり、トレンド悪化を危ぶむ声もあった。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりと前日までより増加。一定の押し目買いが入っているのだろう。  個別・業種別動向を見ると、NY原油先物相場の大幅続落などを受けて市況関連セクターの売りが続いている。比較的健闘していた海運業もこうした流れに抗えず大きく値を崩した。9月減産報道をきっかけに売りが広がったトヨタ自だが、通期の生産台数見通しに変更はないとの会社発表にもかかわらず続落となっている。株価下落前の株価純資産倍率(PBR)水準は決して低くなく、良好な環境が想定されていたのだと考えられる。優良輸出企業の堅調な業績は強気派の拠り所の1つだっただけに、株式相場全体への影響も大きいだろう。一方、内需・(景気変動の影響を受けにくい)ディフェンシブセクターへの投資資金シフトがより鮮明となっている。  新興市場ではマザーズ指数が+0.32%と反発。IT系の多い新興株も景気敏感株からのシフト先となっているようで、日経平均に比べればしっかりした動きとなっている。ただ、7月後半からの下げが大きかった割に、やはり戻りの鈍い印象は拭えない。本日は3週間ぶりのIPO(新規株式公開)があり、FLN<9241>が公開価格比+74.7%、シイエヌエス<4076>が+55.2%という初値を付けた。もちろん堅調な出足ではあるが、ともに公募・売出し規模の小さいIT・インターネット系銘柄であることから、環境さえ良好なら公開価格の2倍以上の初値も十分あり得ただろう。2社の初値結果を見ても、個人投資家のセンチメントは大きく改善していないと考えられる。  前日の米国市場ではハイテク株やディフェンシブ株の一角に買いが入り、18日の引け際のような全面安とならなかった点でまずまず安心感があった。とはいえ、10年債利回りの低下(債券価格は上昇)、原油を中心とした商品市況の大幅下落が続き、景気減速懸念は一段と強まっている感がある。  ここ1~2週間ほどの当欄の内容を見返して頂きたいが、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の面では8月のミシガン大学消費者態度指数や7月の住宅着工件数などの相次ぐ予想下振れ、センチメントの面では米バンク・オブ・アメリカ(BofA)の機関投資家調査おける世界経済の見通し悪化、流動性の面ではマネーサプライ(M2、通貨供給量)の国内総生産(GDP)対比での伸び鈍化と、あらゆる面で強気相場の転機の兆しが見られる。米国株に比べ伸び悩んでいたとはいえ、日本株もその影響を強く受けるだろう。  また市場環境としては、26日からの米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前にした様子見ムードから積極的な売買が期待しづらい。これらを踏まえると売り方優位の地合いになりやすいと考えられ、日経平均が下方に大きく振らされる場面が出てくることも想定しておく必要があるだろう。  中国株等の動向も気掛かりで、足元の上海総合指数と香港ハンセン指数は揃って1%超下落している。中国経済の減速懸念に中国政府による規制強化への警戒感も再燃しており、アジア時間中の各国株式相場に影響を与えるだろう。後場の東京市場も引き続き不安定な相場展開となりそうだ。(小林大純) 《AK》
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