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日経平均は反発、「米雇用統計」「首都決戦」経て趨勢変わらず

2021/7/6 12:16 FISCO
*12:16JST 日経平均は反発、「米雇用統計」「首都決戦」経て趨勢変わらず  日経平均は反発。127.62円高の28725.81円(出来高概算4億1000万株)で前場の取引を終えている。  5日の米株式市場は独立記念日の振替休日で休場だった。ただ、欧州の主要株価指数はおおむね小じっかりとなり、本日の日経平均は自律反発に期待した買い優勢で79円高からスタート。朝方に一時マイナスへ転じると、米株価指数先物の時間外取引での上昇を追い風に28748.23円(150.04円高)まで上昇する場面があった。しかし、今週後半には上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り需要が7000~8000億円規模で発生するとされているほか、引き続き新型コロナウイルス感染拡大への警戒感も根強く、買いが一巡すると伸び悩む場面も見られた。  個別では、任天堂<7974>が2%超の上昇。日経平均のルール変更が決まり、新規採用への期待が改めて高まったようだ。外資系証券の投資判断引き上げやフッ素化学品工場に関する報道が見られたダイキン<6367>は3%超上昇している。その他売買代金上位もソフトバンクG<9984>、レーザーテック<6920>、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>など全般堅調。また、今後の経営方針を開示したファインデクス<3649>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、三菱電<6503>は不正検査問題を巡る新たな報道が嫌気されて軟調。良品計画<7453>は決算発表後の売りが続き4%超下落している。また、ネクステージ<3186>は好決算ながら材料出尽くし感から急落し、ペッパー<3053>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。  セクターでは、空運業、鉱業、石油・石炭製品などが上昇率上位。産油国の減産規模縮小を巡る協議が中止され、原油先物相場の上昇とともに関連銘柄が買われた。一方、医薬品、証券、海運業など4業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は31%となっている。  欧州株や時間外取引での米株価指数先物の上昇を受けて、本日の日経平均はひとまず反発して前場を折り返した。日足チャートを見ると、28500円近辺では自律反発が期待されやすい面もあるとみられる。もっとも前日の下落分を埋め切れず、上値の重さは拭えない。米休場明けとあって、ここまでの東証1部売買代金は8500億円あまりと低調。新興市場ではマザーズ指数が-0.21%と続落している。Enjin<7370>が大幅続伸するなど直近IPO(新規株式公開)の循環物色の動きも見られるが、やや勢いが鈍ってきた感はあり、個人投資家にも株式相場全体の上値の重さが嫌気されつつあるのだろう。  先週末に発表された米6月雇用統計の内容は既に多く解説がなされているので割愛するが、初期反応として長期金利の低下やハイテク株のアウトパフォームが観測されたあたり、「インフレ高進・景気加速」を意識した投資シフトにつながる内容ではなかったのだろう。景気敏感色の強い日本株にとって追い風となりづらい。ちなみに前日の株価指数先物の取引は米休場に伴い低調だったが、外資系証券は全般にやや売り越しだった。もっとも、連休明けの米市場が雇用統計の内容を消化してどのように動くか注視したいところでもある。  国内要因としても、週末にかけてETFの分配金捻出に絡んだ売り需要が発生するとみられていることから、積極的な買いは手掛けにくいところ。また、4日投開票の東京都議会議員選の結果から政局の不安定化を警戒する声もある。  衆院解散・総選挙を前に注目された首都決戦は、自民党が33議席を得て都議会第1党に返り咲いたものの、公明党(前回と同じ23議席)と合わせて過半数という目標には届かなかった。都民ファーストの会は前回の「小池旋風」の反動で議席を減らしつつも、31議席と自民党と僅差の第2党に踏みとどまった。自民党内では投票直前まで「45議席以上は堅い」との見方もあったとされているだけに、こうした情勢をひっくり返した小池百合子都知事の政治センスには舌を巻かざるを得ない(自民党との関係など政治的な立ち位置をキープしたうえでこの選挙結果を導いた点である)。  筆者はこの結果が直ちに国政での政権交代につながるなどとは考えておらず、市場関係者からもそうした声が聞かれる。浮動票が多い都市部の特性が影響した面もあるだろうし、自民党は前回より議席を増やし、主要派閥の領袖が一致して菅義偉首相の続投を支持する姿勢を示している以上、選挙結果の責任を問う声は広がらないだろう。しかし、自身の当落を不安視する議員が増えれば自民党内の力学が変わる可能性は十分ある。以前当欄で述べたが、小泉純一郎元首相の政権運営術を見てもわかるとおり、「党公認と公明党の選挙協力が取り付けられるか」は大方の議員にとって死活問題であり、自民党内において権力の源泉となる。来たる総選挙の情勢を不安視する議員が増えるほど、これらを握る者が力を増していく可能性が高い。  既に衆院選の公認を巡るさや当てが伝わっていることからも、注視すべきは与野党対決以上に自民党内の情勢だろう。  さて、前述のとおり今晩の米市場では3連休を経て雇用統計の内容をどのように消化したか見極めたいところだし、6月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数の発表も予定されている。後場の日経平均も伸び悩む展開になるとみておきたい。(小林大純) 《AK》
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